タイムトラベル 本と映画とマンガ

 本ブログは、タイムトラベルファンのために、タイムトラベルを扱った小説や論文、そして映画やマンガなどを紹介しています。ぜひ気楽に立ち寄って、ご一読ください。

ファンタジー

ジュブナイル

★★★☆

製作:2000年 日本 上映時間:105分 監督:山崎貴

 少年4人が不思議なロボットと出会い、地球の海を奪おうとしている宇宙人たちと戦うSFファンタジー。その少年たちが住んでいる場所は、近くに海や森のある田舎であり、まさに「スタンド・バイ・ミー」の世界と言えよう。
 タイトルの『ジュブナイル』とは、ティーンエイジャーを対象読者とする小説のことを指す。従って本作も少年たちが主役で、少年向けに創られた映画と言ってよいだろう。

 宇宙人たちが少しチンケで、画像合成も雑な感じがするのだが、15年前の和製VFXとしてはまあまあなのかもしれない。監督が山崎貴ということで、吉岡秀隆をはじめ数人が『ALWAYS三丁目の夕日』にも出演している俳優だったのは微笑ましい。また山下達郎の主題歌がとても心地良かったね。

 地球が壊滅するかもしれないのに、警察も自衛隊も出てこないし、子供たちだけで宇宙人と戦うという大人にはちょっと気恥ずかしくなる展開なのだが、少年たちが観ればきっと熱くなるのだろう。私的にはある程度予測済ではあったが、ラストの未来シーンがお気に入りである。それにしても、なぜこのDVDはレンタルしていないのだろうか。そのお蔭で中古品もかなりの高値で取引されているようである。

評:蔵研人

未来形J 3

著者:大沢在昌

 携帯電話配信で連載された小説だという。著者の大沢在昌の作品は初めて読んだのだが、私には余り縁のないハードボイルド系の『新宿鮫 無間人形』で第110回直木賞を受賞している。
 本作はハードボイルドではなく、ファンタジーなのだが、終盤になってヤクザが登場すると、それまでおとなしかった文章がたちまち活々としてきた。やっぱり著者はハードボイルド作家なんだね。

 ストーリーのほうは、未来世界から助けを求める「Jという名の少女」を救うため、物理学者・小説家・占い師・高校生・女子中学生の5人が結束して謎を追う、という展開である。なぜこの5人が選ばれたのかは、読んでのお楽しみだが、それぞれの特技を生かすためとだけ言っておこう。
 正直言って、SFとかファンタージーとしての完成度は余り高くはない。なんだか、大人を巻き込んだ「学園ミステリードラマ」といった香りもする。だが最終章を一般公募するという、画期的な企画により、ラストでだいぶSF色を施し、やっと少し挽回することが出来たようだ。

評:蔵研人

ファウンテン 永遠に続く愛4

製作:2006年 米国 上映時間:97分 監督:ダーレン・アロノフスキー 主演:ヒュー・ジャックマン

 10年以上前に製作された映画だが、ネットではかなり酷評が多く、本作の上映館もかなり少なかった。だから眠くなっても仕方がないと覚悟して劇場に入ったのだが、予想に反してかなり素晴しい作品であった。そのことを裏付けるが如く最終日にもかかわらず、当時の銀座テアトルでは座席の半数以上が埋まっていたことを記憶している。

 テ一マは生と死と愛。既に語り尽くされたテーマだが、人間にとっては永久に解けない命題でもある。
 時空を超えて三つの世界を生きる主人公。そしてファンタジックに輝く美しい映像。それは最愛の妻が書き残した物語なのか、それとも主人公の精神世界なのだろうか。

 ファウンテンとは、聖書に記された「生命の泉」のことである。癌に冒された妻を救うため、必死になってそれを探す主人公。一方妻のほうは、死を受け入れる決心を固め、書き残した最終章の完成だけを夫に託すのだった。

 究極的には生も死も超越し、「人と自然と宇宙」がひとつに融合するのだろうか。あるいは死こそ本来の生への入口なのか。そんなことを示唆するような作品で、改めて人の進むベく道を考えさせられた。
 そして何といっても、ヒュー・ジャックマンとレイチェル・ワイズの熱演が、ジンジンと観る側の心に響いてくるのだ。この映画は観る人によって感じることが、だいぶ異なるかもしれない。だが私にとっては、忘れていた「何か」を思い出させてくれた名作品であった。

評:蔵研人

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