製作:2007年 台湾 上映時間:102分 監督:ジェイ・チョウ
 
 作曲家、歌手、俳優の三枚看板を背負う天才青年ジェイ・チョウが、監督・主演・脚本・音楽を務めたファンタジックで切ないラブストーリーである。またヒロインは『藍色夏恋』のグイ・ルンメイ、父親役を香港の名優アンソニー・ウォンが演じている。

 ピアノを勉強するために、父が教師を務める音楽学校に転校してきたシャンルン(ジェイ・チョウ)は、卒業式の日に取り壊しが予定されていると言う旧校舎のピアノ室で、神秘的なメロディを奏でるシャオユー(グイ・ルンメイ)という名の女性と出会う。シャンルンは、どこか謎めいた雰囲気の彼女が気になって仕様がない。それで雨の降る帰り道に、彼女を自転車に乗せて家まで送って行く。

 それから二人は、いつも一緒に帰るようになり、互いに淡い恋心を抱くようになる。だが、なぜかシャオユーは時々学校を休んで、シャンルンを心配させるのだ。そんなある日、シャオユーはとんでもない誤解をしてしまい、それを境に二度と登校して来なかった。心配になったシャンルンが、彼女の家を訪れるのだが、年老いた母親に門前払いを受けてしまう。それから先、彼女はどうなってしまったのか、一体彼女は何者だったのか、などなど・・・謎と秘密の正体を知りたくてウズウズしてくる展開となって行く。

 映像、音楽、歌、ピアノ演奏、女優のどれもが、凛として美しい。そしてお話のほうは、ちょっとミステリアスで、ロマンチックでリリカルな流れである。そして終盤は、見事などんでん返しでエンディングを向かえる。突っ込みどころもあると思うが、少なくとも私にとっては、まさに理想的な映画であった。この映画を紹介してくれたブログ『浮浪雲のように』のしょーすけさんにお礼を言いたいね。

評:蔵研人