製作:2005年 米国 上映時間:101分 監督:マーク・フォースター
この作品は、オープニングとエンディングが、メビウスの輪のように捻れて繋がってゆく。そしてエンディング直前の5分間がこの映画の全てとも言えるだろう。私にとってはなかなか興味深い作品であり、キャストも素晴らしいのだが、難解な内容のためか興行的には成功しなかったようである。
精神的に不安定な青年(ライアン・ゴズリング)が、精神科医(ユアン・マクレガー)に自分の自殺を予言する。同時に青年は、その日に雹が降ることも予言し、それが見事に実現してしまうのであった。
それ以来、精神科医は青年のことが頭から離れなくなる。そして何とか青年の自殺を食い止めようと奔走するうち、自分自身もだんだん虚構の世界にはまってゆくのだった。
永遠に続くラセン階段や、デジャブ現象、歪んでくる幻覚と現実の境界線。幻想的な映像と、各シーンの繋ぎかたは、実に見事である。
そして観客は多分よく分からないまま、スクリーンに釘付けとなり、感動的なエンディングを迎えるはずであった。確かにラストでどんでん返しが用意され、全ての謎が解明されるのだが…。しかしながら、単純な夢落ちではないものの、やはりこの手法は反則ではないだろうか。
評:蔵研人