タイムトラベル 本と映画とマンガ

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タイムパラドックス

ターミネーター:新起動/ジェニシス3

製作:2015年 米国 上映時間:125分 監督:アラン・テイラー

 12年ぶりにシュワルツェネッガーが本シリーズに復帰した、と言うことでオールドファンを中心に映画館は超満員であった。そして前半は懐かしいシーンの目白押しでオーッと声があがる。またターミネーターの皮膚は、人間の皮膚と同様に老けていくという設定には笑ってしまう。多分年を取ったシュワちゃんを正当化するために、無理矢理創った設定なのであろう。

 また無理矢理と言えば、今回はタイムマシンがフル稼働する訳だが、ジョン・コナーが死んでしまうためか、時間軸のズレがハチャメチャになってしまうのだ。過去が大きく改変されると未来が変わるのだが、本作では未来が変わったため過去も変わってしまうのである。結局辻褄が合わなくなり、苦し紛れにいわゆるパラレルワールドの世界に突入してしまうのだ。

 だから今までのシリーズとは全くスタンスの異なる作品になってしまったようである。つまり本作では、ターミネーターのT-800は、サラ・コナーの少女時代に、どういう訳か彼女を守るために未来から派遣され、まるで父と娘のようなホットな関係になっているのだ。そこに本来はジョン・コナーの父親になるはずだったカイルがやってくるという、ちょっともつれたストーリーに変化しているのだから驚いてしまう。

 いずれにせよ、複雑なタイムパラドックスが絡むだけではなく、本シリーズを知らない人でないと理解出来ないシーンも多いため賛否の分かれるところであろうか。だが67歳を迎えているシュワちゃんの頑張りようには拍手を送りたいし、サラ・コナー役のエミリア・クラークが微妙に可愛いのも○だね。ただ悪役のジョン・コナーを演じたジェイソン・クラークは、正直あんまり好きじゃないな。それにしても、エンドロール後のあのシーンは何だったのだろうか?まだまだ続編がある感じだね。

評:蔵研人

きみにしか聞こえない4

製作:2007年 日本 上映時間:107分 監督:荻島達也 主演:成海璃子、小出恵介

 1時間の時差があるケータイ電話の恋。まるで韓国映画『イルマーレ』のケータイ版じゃないか。原作者は映画化作品の多い人気作家の乙一であるが、小説のほうはまだ未読である。しかしこの映画を観て、原作のほうも無性に読みたくなってしまったのは、決して私だけではないだろう。

 話すことが嫌いで孤独な少女と、話したくとも言葉を持たない聾唖の青年のラブストーリーなのである。それをとり持つのが、道端に捨てられていた不思議な携帯電話だった。
 この電話は心で話す事で相手に通じるのである。だから聾唖者でも会話が出来ることになる。そのうえ電話器がなくとも大丈夫なのだ。それではなぜ携帯電話など拾う必要があったのかと言いたくなるが、たぶんこれはイメージなのだと考えるしかないだろう。

 この映画の見所は二つ。一つは壊れたものを丁寧に修理して、大切に使う聾唖青年の優しい心象風景。そしてもう一つは、終盤のタイムパラドックスへの挑戦である。1時間の時差が、ここで本領発揮するのだ。
 またもう一人のケータイ友達である「原田」の正体も同時に明かされる。その手際良さは実に見事な職人芸である。
 もしかすると始めに終わりありきで、終盤の数十分のために創られた作品なのだろうか。このあたりの感覚はあの絶品名作『いま、会いにゆきます』とも重なってくるのである。

評:蔵研人

 

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