
製作:2022年 スペイン 上映時間:108分 監督:ナチョ・G・ベリーリャ
スペイン製のタイムトラベル映画という点で、まず珍しさが際立つ一本である。
物語は1991年の夏、ガスパール家の休暇から始まる。娘ルルは父親と口論した末、ボーイフレンドと姿を消してしまう。残された家族三人は気晴らしにパドルボートで沖へ出るが、突然の嵐に巻き込まれ遭難寸前に。なんとか岸へ戻ったものの、そこに広がっていたのは見慣れぬ光景───スマホ、セルフィー、トラップミュージックがあふれる摩訶不思議な世界だった。
そう、彼らは2022年へとタイムトラベルしてしまったのである。
そこで家族は、ルルが恋人に殺されていたという衝撃の事実を知り、元の時代に戻って娘を救おうと奔走する。果たして彼らは過去を変えられるのか……。
本作は随所に『バック・トゥ・ザ・フューチャー』へのオマージュを散りばめたSFコメディーだが、下ネタや父親の独りよがりなドタバタがやや鼻につく場面もある。これがスペイン流の笑いなのかもしれないが、日本の観客には好みが分かれるだろう。
コメディーでありながら、ラストは意外なほど唐突でショッキングだ。しかし“過去を変えるには何かを差し出さねばならない”というテーマを示した点では、ある種の誠実さを感じさせる。そうした意味では、単なるドタバタに終わらない良心的な作品と言えるのかもしれない。
評:蔵研人
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