タイムトラベル

製作:2024年 日本 上映時間:約120分 監督:渡邊 豊

 本作は、前半が1話5分・全12話のTVドラマ形式、後半が『私タイムトラベル出来るんです! THE MOVIE』として劇場公開されたという、少々変則的な構成を持つインディーズ作品である。もっとも、近年ではアニメ作品などでもテレビシリーズと劇場版を連動させる手法は珍しくない。とはいえ本作の場合、前半が「次回へ続く」という以上に、物語の輪郭すら掴みきれないまま突然終わってしまうため、かなり戸惑わされた。

 さらに難解なのは、そのストーリー展開である。後半を観てもなお理解が追いつかず、結局もう一度見直すことになった。そしてようやく、次のような物語だったのではないかと整理できたのである。

 2053年1月。タイムマシンを開発した韮品博士は、何者かに追われ別荘へ逃げ込む。博士は助手の葱沢茉莉奈をタイムマシンで未来へ逃がすものの、自身は追手に殺害されてしまう。

 翌2054年。その別荘は売家となっており、女子大生・磯野桜子が不動産屋に案内されてやって来る。事故物件だと告げられながらも契約した桜子は、和室の床下からタイムマシンと反物質、さらに起動マニュアルを発見する。
 2036年へ跳ぶつもりで起動したはずが、初期設定のまま2024年へ飛ばされてしまう桜子。そこで偶然、若き日の韮品博士と遭遇する。しかし反物質とマニュアルを所持したまま、不審者として別荘を追い出されてしまうのだった。

 ここから物語は急速に視界を曇らせ始める。桜子が博士の名を口にしたことで、「なぜ彼女は博士を知っているのか」という疑問が生まれるのだ。後になって考えれば、物理学専攻の学生として著名な博士を知っていたのかもしれない。しかし、その説明がこの時点では示されないため、私は序盤に登場した葱沢茉莉奈と混同してしまった。結果として、以降の展開は霧の中を手探りで進むような感覚だった。

 別荘を追い出された桜子は、2024年の街を彷徨ううちに転倒し、頭を打って気を失う。彼女を助けたのは、まだ結婚前の若き日の父と母だった。当然ながら、二人は未来から来た娘の存在など知るはずもない。
 意識を取り戻した桜子は、急いで別荘へ戻り、韮品博士に未来から来たことを告げる。そして証拠としてマニュアルを見せようとするが、それが見当たらない。気絶していた間に失くしたのかもしれない────そう考え二人は、再び街へ探しに出る。

 映画版はさらに大胆に時空を飛躍する。2023年では学園の新理事長として葱沢茉莉奈が現れ、2037年では桜子の両親が研究中の“電話型タイムマシン”によって別次元へ跳ばされる。そして2054年では、かつて学園教師だった女性が総理大臣となって演説しているではないか。
 そこでは、死んだはずの桜子の父が生きており、逆に母は亡くなっていた。しかも父は、その女性総理と再婚している。ようやく理解しかけた物語だが、再び大きく姿を変える。そして、そこへまた葱沢茉莉奈が現れるのだから、観ているこちらの思考も時空の渦へ引きずり込まれていく。

 二度観てもなお腑に落ちない部分が残るのは、設定の多さに対して伏線や説明が圧倒的に不足しているからだろう。しかし不思議なことに、再鑑賞によって評価は少し上がった。混乱しながらも、「もう一度確かめたい」と思わせる力が、この作品には確かに存在している。

「人間が想像できることは、人間が必ず実現できる」
 おそらく、この言葉こそが本作の核なのだろう。粗削りで、整理不足で、ときに観客を置き去りにしながらも、“想像すること”への情熱だけは、最後まで失われていなかった。


評:蔵研人

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