
製作:2023年 米国 上映時間:99分 監督:ラスティ・カンデッフ
タイトルの通り、本作には「ボタンを押した瞬間から57秒だけ過去へ戻れる」という、なんとも都合のよい指輪が登場する。
57秒という中途半端な短さに、「そんな時間で何ができるのか」と首をかしげたくなる。だが、暴漢に襲われる直前や事故の瞬間に使えば、生死を分ける一手にもなり得るではないか。
恋に落ちた相手の好みを探るため、会話を何度もやり直すこともできるだろうし、結果が即座に出るルーレットのような賭博なら、短時間で大金を得ることすら夢ではない。
これらは劇中でも実証済みだが、では他にどんな使い道があるのだろう。
巻き戻せるのは、たった57秒。出来事の原因が1分以上以前にあるなら、その本質を変えることは難しい。しかし偶発的な事故や失敗であれば、その57秒の猶予だけで未来を丸ごと塗り替えることができる。
たとえば交通違反で止められたとき。
万引きや痴漢の冤罪を疑われた瞬間。
テスト中、カンニングが見つかった場面。
麻雀で不用意に振り込んでしまったとき。
あるいは、王手の連続で詰め切れなかった将棋の終盤。
そんなとき、ボタンひとつでやり直せるのだから、納得いくまで何度でも挑めばいい……などと考えてしまう自分が、少し情けない。思いつく使い道が、ろくでもないことばかりというのも実に悲しいね。トホホホホ。
タイムループ作品としての着想は興味深く、57秒という制約も絶妙である。ただ、その面白い設定に対して、物語そのものはやや掘り下げ不足に感じられた。
また出演者では、モーガン・フリーマンの存在感が際立っていた一方、それ以外のキャラクターには強い魅力を見出しにくい。アイデアは光っているのに、ドラマとしての奥行きがもう一歩届かなかった──そんな惜しさの残る一本であった。
評:蔵研人
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