
★★★☆
製作:2025年 日本 上映時間:124分 監督:塚原あゆ子
あれほど深く愛し合って結婚したはずなのに、いつの間にか長い倦怠期に沈み込んでしまった夫婦。結婚15年目を迎えた二人は、ついに「離婚」を決意する。ところが離婚届を提出するその日に、夫・駈が見ず知らずの子どもを救おうとホームから飛び降り、命を落としてしまう。
悲嘆の中、妻のカンナは首都高のトンネルを走行中に、駈と出会う直前──15年前へとタイムスリップしてしまう。若き日の駈と再会した彼女は、忘れかけていた想いが胸に甦り、やはり自分は駈を愛していたのだと気付く。そして、15年後に訪れるあの悲劇から彼を救うことを心に誓う。
タイムトラベルもので「好きな人を救うため、何度もタイムループを繰り返す」という設定自体は決して新しいものではない。だが本作は、その装置を用いながら、「夫婦とは何か、愛は時間に耐えうるのか」という問いを静かに投げかける、『大人のためのラブストーリー』なのである。とりわけ子どものいない熟年夫婦にとっては、胸に迫るものがあるだろう。
また、ヒロイン・硯カンナを演じた松たか子の成熟した演技には、今回も深く唸らされた。49歳を迎えた彼女が20代の姿を演じてもほとんど違和感がなく、その自然な若々しさには驚かされるばかりだ。こうした表現力も含め、彼女が第49回日本アカデミー賞優秀主演女優賞に輝いたのは当然のことだと感じた。
評:蔵研人
にほんブログ村








