ふたつの星とタイムマシン

★★★☆
著:畑野 智美


 本書は「小説すばる」に掲載された5作品に、書き下ろし2作を加えた短編集である。また表題作『ふたつの星とタイムマシン』という短編は見当たらないものの、タイムマシンを題材とした書き下ろし作として『過去ミライ』がその役割を静かに引き継いでいる。

 収録されている7つの短編を、簡単に紹介しておきたい。

1.過去ミライ
 大学教授が研究するタイムマシンに乗り、過去の自分へ「ある男性に告白するよう」仕向ける女性の物語。

2.熱いイシ
 「好き」か「嫌い」かを見分ける不思議な石をめぐるエピソード。

3.自由ジカン
 時間を自在に操る力を持つ少女を描いた、ささやかな成長譚。

4.瞬間イドウ
 テレポーテーション能力を使い、気軽に海外旅行へ飛び回るOLの日常。

5.友達バッジ
 服につけるだけで、いじめっ子とも自然と打ち解けてしまうバッジをめぐる物語。

6.恋人ロボット
 至れり尽くせりの恋人ロボットの発明によって、「人間の恋人」の存在意義が揺らぐ世界を描いた一篇。

7.惚れグスリ
 その名のとおり、媚薬をめぐる小さな騒動を描いている。

 いずれの作品も、近未来に芽生えるときめきや友情をやわらかく照らし出し、読後にほのかな温もりを残してくれる。そんな、優しい光を帯びたSF短編集である。


評:蔵研人

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