
★★☆
製作:2020年 オーストラリア 上映時間:114分 監督:セス・ラー二ー
2067年、地球の酸素は急速に枯渇し、人類は人工酸素に依存して生き延びていた。だがその供給を独占する巨大企業クロニコープ社は、もはや人々の生命線そのものを支配していた。そこへ突然、407年後の未来から「イーサンを未来へ送れ」という謎のメッセージが届く。渋る青年イーサンは、周囲の説得によってタイムマシンに乗り込み、未知の未来へと跳ぶ。
彼が目にしたのは、緑に覆われ廃墟と化した都市、そして自らの死骸だった——。それは希望の象徴なのか、それとも人類滅亡の証なのだろうか……。
序盤の設定とビジュアルには確かな魅力がある。タイムマシンのデザインも印象的で、物語がどこへ向かうのかという期待を抱かせる。しかし、物語が未来に移ってからの展開は一気に停滞し、閉ざされた空間で同じ思考を繰り返すようなもどかしさが残る。人類の運命という壮大な主題に対し、演出も脚本も小さくまとまり、やがて観客の興味を手放してしまうのだ。
後に調べたところ、物語の核心は、イーサンが父親譲りの知性を駆使してクロニコープ社の陰謀を暴き、人類再生の道を切り拓く過程にあるという。しかし、その構造や動機づけが映画の中で十分に描かれず、観る者にとっては断片的な象徴の羅列にしか映らない。
環境危機と人間の倫理をテーマにした意欲作であることは間違いないだろう。だが、優れた発想が必ずしもドラマを生み出すとは限らない。本作は、ビジュアルの美しさと思想の深みが乖離したまま、未来への扉の前で立ちすくんでしまった作品とも言えるだろう。
評:蔵研人
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