刻刻

★★★☆
著者:堀尾省太

 活発な女性・佑河樹里は、誘拐された兄と甥を救うため、「止界術(しかいじゅつ)」という不思議な術を操る祖父とともに、時間が静止した世界---“止界”へと踏み込む。止まった時の中で救出を果たすつもりだったが、それは実愛会という新興宗教団体が仕掛けた罠であった。

 止界の中には、樹里と祖父のほかにも、時間の止まった世界で自由に動ける実愛会の信者たちが大勢潜んでいた。絶体絶命の状況の中、祖父の瞬間移動術と、「神ノ離忍(カヌリニ)」と呼ばれる管理人の怪物的存在の登場によって、樹里たちは辛くも危機を脱する。そして、この永遠に終わらない一日の世界で、佑河家と実愛会の、終わりなき戦いが幕を開ける。

 作画や作品全体の雰囲気には、どこか岩明均の『寄生獣』を想起させるものがある。ただし、『刻刻』の物語の大半は同じ舞台での戦いに終始しており、『寄生獣』のように強烈なテーマ性や普遍的メッセージが込められているわけではない。

 そのため、総合的な完成度では『寄生獣』には及ばないものの、「止界での戦い」に特化したユニークな設定と、全8巻という手頃なボリュームには好感が持てる。しかしながら、クライマックスにおける樹里の止界脱出方法にはやや唐突さがあり、物語の締めくくりとしては力不足に感じられたのが惜しまれる。


評:蔵研人

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