
製作:1990年(アメリカ)|上映時間:119分|監督:ロバート・ゼメキス
タイムトラベル映画の金字塔ともいえる超有名シリーズ、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』三部作の完結編である。もちろんシリーズの中で一番完成度が高かったのは第一作だと思うが、どの作品も魅力にあふれており、三作すべてを絶賛したい。
ただ特にこの第3作は、西部劇仕立てという大きな趣向の変化があり、前2作とはまた違った視点で楽しめるところが新鮮だった。そして、美人教師クララとドクとのラブストーリーにも心を奪われた。今作の主役はマーティーではなく、ドクと言っても過言ではないだろう。
また、マーティーが「クリント・イーストウッド」と名乗った瞬間から、脳内ではあの『夕陽のガンマン』のメロディーが流れ出し、思わず「あの決闘シーン」が蘇ってきた。すると実際に映画の中でそのシーンがパロディーとして再現されるではないか。この粋な“サービス”には、思わずニヤリとしてしまった。こうした細かな遊び心も、このシリーズの魅力のひとつだろう。
それにしても、クララを演じたメアリー・スティーンバージェンは本当に素敵な女優だ。当時は37歳ほどだったと思うが、2025年現在では72歳。それでも近年の写真を見る限り、歳を重ねても凄く品があって魅力的だ。これではドクが西部時代に残りたくなるのも無理はないよね。
「めでたしめでたし」がこんなに嬉しかった映画も、実に久しぶりだった。シリーズの有終の美を見事に飾ってくれた一作といえよう。
評:蔵研人