我妻さんは俺のヨメ
★★★☆

原作:蔵石ヨウ 漫画:西木田景志

 ルックスはそこそこだが、学力ゼロでスポーツ音痴のさえない男子高校生の青島等。学校一の美少女で学力抜群で水泳部のエースであり、かつ性格の良い学園マドンナ我妻亜衣。全く正反対で、全然釣り合いの取れないこの二人……。
 ところがある日、青島が10年後にタイムスリップする能力を得て未来を覗くと、なんと自分とあの我妻さんが結婚しているではないか!! これが全13巻に亘るこのストーリーのはじまりなのだった。
 ただし状況の変化によって未来は変化することがあり、あるときはハーフ美女の「下妻シルヴィア」、またあるときは漫画家を目指す美少女「伊富蘭」、さらにあるときは、美人教師の梶先生と結婚しているのである。これはパラレルワールドなのだろうか、それとも実はタイムスリップではなく、青島の単なる妄想なのかと勘繰ってしまうのだ。

 この青島という主人公、さえないさえないと言われながら、実はかなりモテまくっているではないか。それにひっついたり離れたり、妄想とかタイムスリップといった展開はなんとなく江川達也原作の『東京大学物語』の前半と似ているような気がしたのは決して私だけではないはずである。ただ『東京大学物語』のようなエロっぽいくだりは殆んどなく、童貞まっしぐらのおバカで品の悪いギャグマンガといったところであろうか。

 また原作者の蔵石ヨウ氏の年齢は不詳なのだが、登場人物たちの名前を見た限りではかなり年配なのかな……。だって青島等とは、青島幸男と植木等のドッキングだし、DX団のメンバーも、小松正男=小松政夫、伊東志郎=伊東四朗、中本高次=仲本工事、小野靖史=小野ヤスシだものね。もっと言えば女子三人組の葉隠メンバーだって、伊富蘭=伊藤蘭、藤村美紀=藤村美樹、田中良子=田中好子という元キャンディーズのパクリじゃないの、ははは。
 まあ少なくとも男性読者には面白いマンガだと思うが、タイムトラベルものとして期待するのはやめたほうが良いかもしれない。あくまでも「青島の妄想」をタイムスリップに置き換えたおバカストーリーなのだと解釈したほうがよいだろう。

評:蔵研人