君と僕のアシアト
著者:よしづきくみち

 サブタイトルが「タイムトラベル春日研究所」と記されているように、本作はタイムトラベル系のマンガである。ただタイムマシンで過去や未来に自由に跳び回るのではなく、春日市内に固定された「脳内タイムトラベル」であり、過去20年間に収集したデーターを利用するため、タイムトラベル範囲は過去20年間に限定されているのだ。

 主役は脳内タイムトラベル春日研究所所長の風見鶏亜紀という美女だが、脳内タイムトラベル装置を発明したのは彼女の亡父である。この脳内タイムトラベルサービスを利用するには1回40万円かかるのだが、荒唐無稽で信じる人が少ないためか、宣伝が行き届いていないためか、利用客は極端に少なく破産寸前といった状況なのである。

 たまに訪れる客の悩みと脳内タイムトラベルの話がいくつか続いて行くというパターンでコミック誌に連載されていたのであるが、「死んだ妹が実は生きているのでは、それどころか姉まで存在していた」といったテーマとも繋がっているのだった。結局はタイムトラベルだけではなく、パラレルワールドも絡んでくるのだが、だんだん複雑になってきてラストはなんだかよく分からないまま終わってしまった。
 それにしても著者のよしづきくみちの画風は丁寧で美しい。ことに美少女の絵が実に美麗である。やはりイラストレーター出身だからであろうか……。

評:蔵研人