ANON アノン

★★★☆
製作:2018年 米国・英国・ドイツ 上映時間:100分 監督:アンドリュー・ニコル

 タイトルのANONとは「匿名」を意味するようだ。近未来が舞台なのだが、人の記憶が記録・検閲されるようになった世界を描いている。個人情報やプライバシーが全て無視される恐ろしい時代の到来なのだが、そのお陰で犯罪のない世界を構築することができたのである。

 ところがある日記憶の読めない女が登場し、同時に不可思議な殺人事件が頻発するようになってしまう。主人公のサル刑事は匿名化したある女性が犯人ではないかと推察し、自らオトリ捜査を実行するのだが、事態は驚くべき方向へと向かうのだった。

 テーマはユニークだし、アナログ映像にデジタル映像をブレンドしたビジュアルも、いかにもSFに染まってなかなかお洒落な雰囲気を醸し出している。ただストーリー的には、単調で余り深みがなく説得力も感じられないのが残念だ。またオマケのようなエッチシーンも、男性観客にはありがたいものの、単なる時間稼ぎにしか感じられなかった。


評:蔵研人