★★★☆
製作:2017年 日本 上映時間:119分 監督:古澤健
またまた邦画の常とう手段であるマンガの実写映画化作品である。従ってかなりいい加減で荒唐無稽なストーリーなのだ。ただアニメ化されたくらいだから、そこそこ面白いということにしておこう。
せっかく大学院を卒業したものの、新卒入社した会社を3カ月で自主退職してしまった海崎新太27歳。その後何度も再就職の面接を受けるのだが、前社を3カ月で退職したことが祟り、どこの会社でも不合格となってしまう。
それでなんとかコンビニのバイトで生活の糧を凌いでいる海崎だったが、ある日「リライフ研究所」所員を名乗る謎の男が現れる。そして男は海崎に、薬で見た目だけ若返り、1年間高校生活を送るという実験をしないかと言う。
余りにも胡散臭くて気が進まない海崎だったが、生活の保障が得られると聞いて、半ばヤケクソ気味に被験者になることを承諾。こうして27歳の男が、10歳年下の女子高校生との恋に頭を悩ませ、青春を謳歌する高校生活がスタートするのだった。
それにしても、本作はタイムトラベルもののようで、実はそうではないみたいだ。つまり主人公が10年前にタイムスリップするのではなく、外見だけが10歳若くなり、そのまま現在の高校へ通うというだけではないか。従ってタイムトラベルものではなく、学園恋愛ものだと考えて観賞したほうが良いだろう。
またこの実験が終わると、体験したことは全て主人公の記憶から消去されてしまう。さらに主人公と接触した人々の記憶の中からも、主人公の存在自体が喪失してしまうのである。
どうもこの設定には無理があり過ぎる。主人公の記憶だけなら、薬や手術などで切り取ることが可能だが、クラスメイトや先生など、主人公と接した人すべての記憶を操作することは不可能ではないか。いくら原作がマンガだからと言っても、このあたりの矛盾はしっかりとフォローしておくべきだろう。
またラストのどんでん返しは、ほぼ予想通りだったものの、清々しい気分になれるハッピーエンドで納得できるかもしれない。また主演の中川大志はじめ、クラスメイトの6人もそれぞれ個性的で、それなりに青春の匂いを漂わせていたので違和感もなかった。
ということで、高校生はもちろん「青春時代をもう一度体験したい」と願っているおじさん、おばさんたちが観ても、そこそこ楽しめる映画に仕上がっていたことだけは間違いないと断言したい。
評:蔵研人