★★★☆

製作:2014年 米国 上映時間:106分 監督:ディーン・イズラライト

 何度も過去へのタイムトラベルを繰り返しているうちに、段々と制御不能な事態を招いてしまう若者5人を描いたSFサスペンスである。またこの作品は、ファウンド・フッテージという手法を使い、私の大嫌いな手持ちビデオカメラで写したPOV形式の低予算映画なのだ。
 ファウンド・フッテージとは、撮影者が行方不明などになり、それまで埋もれていた映像という設定の作品のことをいう。またPOV形式とは、カメラの視線と登場人物の視線を一致させるようなカメラワークのことを言い、『クローバーフィールド』、『クロニクル』、『プロジェクトX』などでも採用されている。
 これにより臨場感抜群でリアルな映像を創生しているつもりなのだろうが、ともかく私自身はこの「ゆらゆら、ザラザラ」した映像を観ていると船酔い状態となり、吐き気を催してしまうので、途中で目を閉じるか席を立ちたくなるのだ。

 そんな訳で、この映画も途中で気分が悪くなり、何度中座しようと思ったことか。ところがタイムマシンが登場すると、なんとか落ち着いて映像を見れるようになったのだから不思議なものである。そのタイムマシンが稼働するとき、空間を揺るがすようなエネルギーの暴発シーンがなかなか素晴らしく、一時的に低予算であることを忘れさせてくれたのが嬉しかった。
 
 また何度も過去をやり直すのだが、何かを変えることにより別の何かも変わってしまう、という因果律に逆らうことが出来ない。なんとなくあの『バタフライエフェクト』を彷彿させられるような展開でそれなりに面白かったのだが、過去での行動が余りにも単純だし、いくつかの矛盾点が目立ったのも残念でならない。もう少し手直しすればかなり完成度があがったと思うのだが・・・。

評:蔵研人