★★★☆
著者:劇団ひとり
それにしても劇団ひとりは器用な男である。もともとは漫才師にはじまり、お笑い芸人、作詞家、俳優、作家、監督、脚本家と何足ものわらじを履き続けている。
この小説については、タレントだから出版されたのかもしれないが、それにしてもなかなか味があって面白かった。だからこそ本人が準主役で映画化され、脚本と監督まで手掛けているのであろう。
映画のほうを先に観て、その解説用も兼ねてあとで小説を読んでみた。ストーリーは、ほとんど映画と変わらないが、映画のほうは小説の登場人物を少し絞ってシンプルに仕上げており、ラストもかなり説明不足のまま終劇となっていた気がする。
ただ先に観た映画のほうが感動的だったのは、先手有利という定石なのであろうか。いずれにせよ、234頁とそれほど長くないし、気取らず分かり易い文章なので、誰が読んでもあっという間に読破してしまうことだろう。
なおストーリーの概略については、映画のレビューの中で触れているため、ここでは省略することにした。もしストーリーを知りたければこちらの記事を覗いてみて欲しい。
評:蔵研人