著者:梶尾真治
リリカルファンタジー小説の御大・梶尾真治の短編集である。中味は表題の「ムーンライト・ラブコール」のほか、「アニヴァーサリィ」、「ヴェールマンの末裔たち」、「夢の閃光・刹那の夏」、「ファース・オブ・フローズン・ピクルス」、「メモリアル・スター」、「ローラ・スコイネルの怪物」、「一九六七空間」の8篇で構成されている。
表題作は月面基地勤務の彼から地球の彼女に届けられた、壮大な愛のメッセージを描いた超・ロマンチックな話であり、全般的に宇宙を舞台にした物語が多い、これらの短編がのちの大長編SF『怨讐星域』の下地になっていたのだろうか。
まあ全てそこそこ面白いのだが、私が期待していたタイムトラベルものは『一九六七空間』だけで、ちょっと淋しかったね。その『一九六七空間』とは、タイトル通りビートルズ全盛時代の1967年にタイムリープして青春をやり直す話である。よくある話であり、ラストの落としどころもいま一つで、私の期待には100%答えてくれなかったのが残念であった。
それにしても尾之上浩司氏が書いた本書の解説は、なんと22頁にも及ぶのである。その内容は梶尾真治の代表作のランキングとその書評に終始していて、梶尾真治超入門書そのものなのだ。それはそれで良いとしても、本書にに収められている作品の解説が「一つもない」のは、ある意味で手抜きではないのだろうか。
評:蔵研人








