製作:2005年 フランス 上映時間:105分 監督:ミシェル・ゴンドリー

 なかなか興味を惹くお洒落なタイトルで、かつ内容もこのタイトルに十分に凝縮されている。2005年製作のフランス・イタリア合作映画で、監督・脚本は、あの『エターナル・サンシャイン』のミシェル・ゴンドリーである。そして主演は『私だけのハッピー・エンディング』のガエル・ガルシア・ベルナルと、問題作『アンチクライスト』での大胆な熱演が話題になったシャルロット・ゲンズブールなのである。

 またこの作品の内容をひとことで言ってしまえば、シャイで臆病な青年とクールで知的な女性の恋愛模様を、青年が見る夢と現実を交錯させながら描くロマンチック・ラブストーリーということになる。
 青年の夢と現実がゴチャゴチャになっているため、ちょっと分かり辛いが、夢のほうは背景がクラフト創りになっている。ただ余りにも青年の奇行が続き過ぎるのが難点。純粋な心を持っているのだと思うのだが、結局彼は、最後まで病的な夢想癖から抜け出せないのである。

 このあたりの展開が、ちょっとモタモタし過ぎて物足りない。『一秒タイムマシン』をもっと活用すれば、もっと面白くなったかもしれないが、全く別の映画になりそうだ。いずれにせよ、この監督は、一体何を表現したかったのだろうか・・・。悪くない映画だと思うのだが、つかみ所のない映画とも言えるだろう。

評:蔵研人