
★★★☆
製作:2023年 日本 上映時間:88分 監督:中村貴一朗
17歳の夏休み。文化祭の実行委員となった沖芝樹と加藤恵那は、高校の教室で待ち合わせをしていた。早めに到着した沖芝が机に顔を伏せて眠っていると、13時に恵那が現れ、彼を起こす。ところが13時5分になった瞬間、沖芝の周囲に異変が起こり、時間が再び13時へ巻き戻ってしまう。こうして、このたった5分間のループが延々と続くことになる。
校舎の外へ出ても状況は変わらず、怪しそうな用務員や生徒会室を調べても手がかりはない。それどころか自殺しても、すべては5分前へ戻ってしまう。なぜ5分間なのか、何が原因なのか、まったく先が読めない。物語はほぼ同じ場所での5分間を繰り返すため、興味は“謎の解明と結末”へと一点に集中していく。
やがて沖芝は恵那への強い好意と欲望を抑えきれず、衝動的に彼女に襲いかかってしまう。もしここでエッチを完遂してしまったら……。それではただのアダルトビデオに堕してしまう。しかしそれも叶わず、彼の想いは果てしなく一方通行のまま空回りしていく。
終盤、病院のベッドシーンでようやくループの理由が明かされるが、その真相はあまりにも切なくて救いようがない。そして明るかった教室も暗がりに沈み、心には重たい靄がかかる。悲しい、実に悲しい物語だった。
本作はアイデア重視のB級作品ではあるものの、沖芝役の青木柚の確かな演技力と、恵那を演じた坂ノ上茜の可憐さは大いに評価したい。ただ、5分間の繰り返しがあまりにも長く続くため、次第に退屈感が募る。もしループの長さを30分ほどにして、物語にもう少し幅を持たせていれば、より深みのある作品になったのではないだろうか。
評:蔵研人
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