タイムトラベル 本と映画とマンガ

 本ブログは、タイムトラベルファンのために、タイムトラベルを扱った小説や論文、そして映画やマンガなどを紹介しています。ぜひ気楽に立ち寄って、ご一読ください。

2026年06月

タイムトラベル家族 ~1991年から愛を込めて~3

タイムトラベル家族

製作:2022年 スペイン 上映時間:108分 監督:ナチョ・G・ベリーリャ

 スペイン製のタイムトラベル映画という点で、まず珍しさが際立つ一本である。

 物語は1991年の夏、ガスパール家の休暇から始まる。娘ルルは父親と口論した末、ボーイフレンドと姿を消してしまう。残された家族三人は気晴らしにパドルボートで沖へ出るが、突然の嵐に巻き込まれ遭難寸前に。なんとか岸へ戻ったものの、そこに広がっていたのは見慣れぬ光景───スマホ、セルフィー、トラップミュージックがあふれる摩訶不思議な世界だった。
 そう、彼らは2022年へとタイムトラベルしてしまったのである。

 そこで家族は、ルルが恋人に殺されていたという衝撃の事実を知り、元の時代に戻って娘を救おうと奔走する。果たして彼らは過去を変えられるのか……。

 本作は随所に『バック・トゥ・ザ・フューチャー』へのオマージュを散りばめたSFコメディーだが、下ネタや父親の独りよがりなドタバタがやや鼻につく場面もある。これがスペイン流の笑いなのかもしれないが、日本の観客には好みが分かれるだろう。

 コメディーでありながら、ラストは意外なほど唐突でショッキングだ。しかし“過去を変えるには何かを差し出さねばならない”というテーマを示した点では、ある種の誠実さを感じさせる。そうした意味では、単なるドタバタに終わらない良心的な作品と言えるのかもしれない。


評:蔵研人


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消えた時間3

消えた時間

製作:2020年 韓国 上映時間:105分 監督:チョン・ジニョン

 都会から閑静な田舎町へ移り住んだスヒョクとイヨン夫妻。スヒョクは小学校教師として穏やかな日々を送っていたが、村人たちはよそ者に冷たく、さらにイヨンの奇妙な行動に不安を募らせていた。ある夜、彼女の“異常な状態”が村中に知れ渡り、ついには夜間だけ鉄扉の部屋に閉じ込められるという、異様な状況へと追い込まれてしまう。

 やがてその家で不審火が発生し、夫婦は焼死。村人たちの証言の曖昧さ、現場の違和感に疑念を抱いた刑事ヒョングは聞き込みを続けるが、誰も真実を語ろうとしない。そんな中、彼は無理やり強い酒を飲まされ、気がつくと“別人”になっていた。村人たちが彼を「先生」と呼ぶことから、どうやら死んだスヒョクに成り代わってしまったらしい……。

 物語は説明のないまま進み、観客は次第に“ここはパラレルワールドなのか”という疑念を抱く。しかし、そもそもヒョングがなぜ異世界に転送されたのかは語られず、終盤になっても謎は解明されない。オチも回収もなく、死んだはずの村人が鹿へと変化する場面に至っては、象徴性すら読み取れず戸惑いだけが残る。

 さらに途中から唐突にヒョングへ主役が交代するにもかかわらず、彼の背景がほとんど語られない点も惜しい。アイデア自体は悪くなく、俳優陣の演技も堅実であるだけに、脚本をもう一段練り込めば、より深みのある作品になったのではないか。非常に惜しく、残念な一作であった。


評:蔵研人

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