タイムトラベル 本と映画とマンガ

 本ブログは、タイムトラベルファンのために、タイムトラベルを扱った小説や論文、そして映画やマンガなどを紹介しています。ぜひ気楽に立ち寄って、ご一読ください。

2026年05月

メモリー 記憶の追体験2

メモリー

製作:2019年 ボリビア、コロンビア 上映時間:86分 監督:セルジオ・ヴァルガス・パス
 
 ボリビア製の映画を観るのは、おそらくこれが初めてだ。
 タイムスリップと記憶再生という好みのテーマだったので、世評が芳しくないことは承知のうえで鑑賞した。しかし正直に言えば、物語の面白さも、作品が何を語ろうとしているのかも掴みきれなかった。

 舞台は近未来。ある企業が、独自のテクノロジーによって利用者の記憶を呼び起こし、特定の過去の瞬間を鮮明に再現するサービスを提供している。最愛の夫を亡くした老女は、その寂しさを埋めるようにこのサービスに没頭し、美しい記憶の世界に浸り続けていた。
 彼女は会社の資金を私的に使い込み、娘の制止を振り切って過去の世界に逃避し続ける。しかしある日、システムエラーが発生し、彼女の大切な記憶がすべて失われてしまう。

 そこへ突然、メモリー社の技術者が現れる。彼は母親を安楽死させたことへの後悔から、過去へ戻るための独自のタイムトラベル理論に取り憑かれていた。
 彼の主張によれば、記憶の活性化は特殊なエネルギーを生み出し、それがタイムスリップを可能にするという。そのエネルギーとは、老女が放つ“過去への強烈な憧れ”であり、記憶だけが過去へ飛んでしまったのだという。

 しかしその“過去”は実際にはパラレルワールドであり、現実の延長線上には存在しない────。物語はそのような方向へ進んでいくのだが、設定は中途半端で、作品が本当に描きたかった核心は最後まで見えてこなかった。
 結果として、テーマの魅力に対して作品の完成度が追いつかず、消化不良のまま終わってしまった印象が強い。


評:蔵研人 
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リバース 過去の代償3

リバース

製作:2021年 英国 上映時間:96分 監督:ジム・イーヴス

 家族を顧みず、酒に溺れ、職場の同僚との不倫関係に溺れていたアーリン。そんなある夜の飲酒運転が悲劇を呼び、同乗していた一人息子を失い、仕事も家庭も失うことになる。絶望の淵で、彼女の前に一人の男が現れ、「不可能を可能に」と書かれたチラシを手渡す。最初は無視するアーリンだったが、精神に異常をきたす日々の中で、チラシに記された『エンデバー・インスティテュート社』を訪れる決心をする。

 そこは、過去をやり直すことができるという不思議な施設だった。無理やり薬を飲まされ、目を覚ますと、数日前に戻っており、死んだはずの息子が目の前にいた。今度こそ、酒も浮気もやめ、誠実に生きようと決意するアーリン。しかし、過去の記憶が交錯するたびに異常な行動に走り、何度過去をやり直しても事態はうまく収まらない。

 観客として、これは単なるタイムループ映画なのだろうか、あるいはアーリン自身に何か秘密があるのか────脳内に埋め込まれたチップが暴走するサイボーグの可能性さえ、頭をよぎる。しかし、確たる答えには至らない。ストーリーはやや粗削りでありながら、結末への期待は募るばかりだった。
 ところが、いつの間にか物語は予想外で余り期待しないエンディングへと突入し、いくつもの謎を残したまま幕を閉じてしまう。とても後味が悪いし、消化不良で残酷な結末にも共感できなかった。


評:蔵研人

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私タイムトラベル出来るんです!3

タイムトラベル

製作:2024年 日本 上映時間:約120分 監督:渡邊 豊

 本作は、前半が1話5分・全12話のTVドラマ形式、後半が『私タイムトラベル出来るんです! THE MOVIE』として劇場公開されたという、少々変則的な構成を持つインディーズ作品である。もっとも、近年ではアニメ作品などでもテレビシリーズと劇場版を連動させる手法は珍しくない。とはいえ本作の場合、前半が「次回へ続く」という以上に、物語の輪郭すら掴みきれないまま突然終わってしまうため、かなり戸惑わされた。

 さらに難解なのは、そのストーリー展開である。後半を観てもなお理解が追いつかず、結局もう一度見直すことになった。そしてようやく、次のような物語だったのではないかと整理できたのである。

 2053年1月。タイムマシンを開発した韮品博士は、何者かに追われ別荘へ逃げ込む。博士は助手の葱沢茉莉奈をタイムマシンで未来へ逃がすものの、自身は追手に殺害されてしまう。

 翌2054年。その別荘は売家となっており、女子大生・磯野桜子が不動産屋に案内されてやって来る。事故物件だと告げられながらも契約した桜子は、和室の床下からタイムマシンと反物質、さらに起動マニュアルを発見する。
 2036年へ跳ぶつもりで起動したはずが、初期設定のまま2024年へ飛ばされてしまう桜子。そこで偶然、若き日の韮品博士と遭遇する。しかし反物質とマニュアルを所持したまま、不審者として別荘を追い出されてしまうのだった。

 ここから物語は急速に視界を曇らせ始める。桜子が博士の名を口にしたことで、「なぜ彼女は博士を知っているのか」という疑問が生まれるのだ。後になって考えれば、物理学専攻の学生として著名な博士を知っていたのかもしれない。しかし、その説明がこの時点では示されないため、私は序盤に登場した葱沢茉莉奈と混同してしまった。結果として、以降の展開は霧の中を手探りで進むような感覚だった。

 別荘を追い出された桜子は、2024年の街を彷徨ううちに転倒し、頭を打って気を失う。彼女を助けたのは、まだ結婚前の若き日の父と母だった。当然ながら、二人は未来から来た娘の存在など知るはずもない。
 意識を取り戻した桜子は、急いで別荘へ戻り、韮品博士に未来から来たことを告げる。そして証拠としてマニュアルを見せようとするが、それが見当たらない。気絶していた間に失くしたのかもしれない────そう考え二人は、再び街へ探しに出る。

 映画版はさらに大胆に時空を飛躍する。2023年では学園の新理事長として葱沢茉莉奈が現れ、2037年では桜子の両親が研究中の“電話型タイムマシン”によって別次元へ跳ばされる。そして2054年では、かつて学園教師だった女性が総理大臣となって演説しているではないか。
 そこでは、死んだはずの桜子の父が生きており、逆に母は亡くなっていた。しかも父は、その女性総理と再婚している。ようやく理解しかけた物語だが、再び大きく姿を変える。そして、そこへまた葱沢茉莉奈が現れるのだから、観ているこちらの思考も時空の渦へ引きずり込まれていく。

 二度観てもなお腑に落ちない部分が残るのは、設定の多さに対して伏線や説明が圧倒的に不足しているからだろう。しかし不思議なことに、再鑑賞によって評価は少し上がった。混乱しながらも、「もう一度確かめたい」と思わせる力が、この作品には確かに存在している。

「人間が想像できることは、人間が必ず実現できる」
 おそらく、この言葉こそが本作の核なのだろう。粗削りで、整理不足で、ときに観客を置き去りにしながらも、“想像すること”への情熱だけは、最後まで失われていなかった。


評:蔵研人

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アナザー・タイム

アナザータイム
★★★☆
製作:2018年 米国 上映時間:89分 監督:トーマス・ヘネシー

 有能なアカウントマネジャーであるエリックは、高給取りでありながらも現実主義者で、狭い部屋に暮らし、当然マイカーも一台。将来に備えて着実に貯蓄を続けている。加えてイケメンとくれば女性に困るはずもないのだが、彼自身が心を動かされる出会いには恵まれてこなかった。

 そんな彼が、ある仕事でチームを組んだジュリアに“運命”を感じ、抑えきれない恋心を告白する。しかし彼女にはすでに婚約者がいた。「もっと早く知り合っていれば」と彼女は言うのだが、その言葉はエリックの胸に深く刺さる。

 意気消沈した彼は、宇宙科学の番組で“タイムトラベルは理論上可能だ”と語るゴイヤー博士のビデオを目にし、もしジュリアが婚約者と出会う前に自分と出会っていたら────そんな思いに取り憑かれていく。行方不明となっている博士を探すため、エリックは博士の故郷アリゾナへ向かう。

 こうして彼は5年前へのタイムトラベルを試みるのだが、その準備に費やされる時間が実に長い。過去へ跳んでからラストまではわずか15分ほどしか残されておらず、本作は『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のような冒険譚ではない。

 しかし、タイムトラベルの理論づけは意外なほどしっかりしている。過去といっても“同じ世界の過去”に戻るのではなく、タイトルの「アナザー」が示す通り、分岐したパラレルワールドの過去であり、元の世界には戻れない────その感覚が丁寧に描かれており、私はそこに好感を覚えた。

 終盤があっけないためかネットでは不評も多いが、私は途中で“そうなるのではないか”という予感のようなものが芽生え、むしろ静かな納得を得た。人生は一度きり。悔いのない生き方を選ぶべきだという、控えめながらも確かなメッセージが、そっと胸に残る作品だった。


評:蔵研人

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57秒 復讐のタイムループ3

57秒 復讐のタイムループ


製作:2023年 米国 上映時間:99分 監督:ラスティ・カンデッフ


 タイトルの通り、本作には「ボタンを押した瞬間から57秒だけ過去へ戻れる」という、なんとも都合のよい指輪が登場する。
 57秒という中途半端な短さに、「そんな時間で何ができるのか」と首をかしげたくなる。だが、暴漢に襲われる直前や事故の瞬間に使えば、生死を分ける一手にもなり得るではないか。

 恋に落ちた相手の好みを探るため、会話を何度もやり直すこともできるだろうし、結果が即座に出るルーレットのような賭博なら、短時間で大金を得ることすら夢ではない。
 これらは劇中でも実証済みだが、では他にどんな使い道があるのだろう。
 巻き戻せるのは、たった57秒。出来事の原因が1分以上以前にあるなら、その本質を変えることは難しい。しかし偶発的な事故や失敗であれば、その57秒の猶予だけで未来を丸ごと塗り替えることができる。

 たとえば交通違反で止められたとき。
 万引きや痴漢の冤罪を疑われた瞬間。
 テスト中、カンニングが見つかった場面。
 麻雀で不用意に振り込んでしまったとき。
 あるいは、王手の連続で詰め切れなかった将棋の終盤。

 そんなとき、ボタンひとつでやり直せるのだから、納得いくまで何度でも挑めばいい……などと考えてしまう自分が、少し情けない。思いつく使い道が、ろくでもないことばかりというのも実に悲しいね。トホホホホ。

 タイムループ作品としての着想は興味深く、57秒という制約も絶妙である。ただ、その面白い設定に対して、物語そのものはやや掘り下げ不足に感じられた。
 また出演者では、モーガン・フリーマンの存在感が際立っていた一方、それ以外のキャラクターには強い魅力を見出しにくい。アイデアは光っているのに、ドラマとしての奥行きがもう一歩届かなかった──そんな惜しさの残る一本であった。


評:蔵研人

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タイムシフト2

たいむしふと

製作:2020年 米国 上映時間:85分 監督:ジェイコブ・バーンズ

 B級作品であり、初めから評価が低いことは承知していた。もちろんその理由は、この作品が私の大好きなタイムトラベルものであるからだ。
 古びた納屋の奥には、ドラム缶を寄せ集めて作られた“タイムマシン”のような装置が鎮座している。最初の実験台は猫、次に亡くなった発明者の娘がその装置に身を委ねる。過去へと跳ぶと、そこには常に過去の自分が存在しており、強烈な痛みとともに体調が徐々に崩れていく。

 登場人物としては、父親、隣人、酒場の男、マッチングアプリの相手、会社の上司、図書館職員などが時折姿を見せる。しかし一部を除き、彼らは物語にほとんど関与せず、何のために登場しているのか判然としない。結局のところ、作品には明確な主張も物語の推進力もなく、ただ「タイムシフトすると身体に異変が起こる」という現象だけが繰り返されるにすぎなかった。


評:蔵研人

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