
製作:2019年 ボリビア、コロンビア 上映時間:86分 監督:セルジオ・ヴァルガス・パス
ボリビア製の映画を観るのは、おそらくこれが初めてだ。
タイムスリップと記憶再生という好みのテーマだったので、世評が芳しくないことは承知のうえで鑑賞した。しかし正直に言えば、物語の面白さも、作品が何を語ろうとしているのかも掴みきれなかった。
舞台は近未来。ある企業が、独自のテクノロジーによって利用者の記憶を呼び起こし、特定の過去の瞬間を鮮明に再現するサービスを提供している。最愛の夫を亡くした老女は、その寂しさを埋めるようにこのサービスに没頭し、美しい記憶の世界に浸り続けていた。
彼女は会社の資金を私的に使い込み、娘の制止を振り切って過去の世界に逃避し続ける。しかしある日、システムエラーが発生し、彼女の大切な記憶がすべて失われてしまう。
そこへ突然、メモリー社の技術者が現れる。彼は母親を安楽死させたことへの後悔から、過去へ戻るための独自のタイムトラベル理論に取り憑かれていた。
彼の主張によれば、記憶の活性化は特殊なエネルギーを生み出し、それがタイムスリップを可能にするという。そのエネルギーとは、老女が放つ“過去への強烈な憧れ”であり、記憶だけが過去へ飛んでしまったのだという。
しかしその“過去”は実際にはパラレルワールドであり、現実の延長線上には存在しない────。物語はそのような方向へ進んでいくのだが、設定は中途半端で、作品が本当に描きたかった核心は最後まで見えてこなかった。
結果として、テーマの魅力に対して作品の完成度が追いつかず、消化不良のまま終わってしまった印象が強い。
評:蔵研人
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