タイムトラベル 本と映画とマンガ

 本ブログは、タイムトラベルファンのために、タイムトラベルを扱った小説や論文、そして映画やマンガなどを紹介しています。ぜひ気楽に立ち寄って、ご一読ください。

2026年03月

東京少女4

東京少女

製作:2008年 日本 上映時間:98分 監督:小中和哉

 てっきり本作の原作は漫画や小説かと思いきや、正確には林誠人の脚本をもとにした 映画オリジナル作品であった。混同しやすいのは、林誠人と笹原ひとみの共著によるノベライズが映画より若干先に出版されている点である。その後、シリーズとしてテレビドラマ化もされているが、現時点で公式の漫画やアニメ化は確認されていない。

 物語は、地震の折にうっかり階段から落としてしまった携帯電話が、ワームホールを経て100年前の世界へとタイムスリップするところから始まる。落としたのはSF作家を夢見る女子高生・未歩(夏帆)、そして明治時代で携帯を手にしたのは、夏目漱石の門人で小説家を志す青年・時次郎だった。

 常識からすれば通じるはずのない電波が、月の出ている時間だけ時を越えて通じるという奇蹟。その不可思議な交流のなかで、二人は徐々に親しくなり、やがて月の出の下で会話することが習慣となる。さらに昼間に日比谷の松本楼でカレーライスのデートを重ね、銀座の老舗で100年先に届く買い物をするなど、物語は独特の幻想感に包まれる。

『オーロラの彼方へ』や『リメンバー・ミー』のように「時を超える電波」を扱った作品は珍しくない。しかし、本作が放つ魅力は、時間を越えた同時デートや未来への贈り物、そして夏目漱石という実在人物の絡め方にある。

 また老舗の老女が登場するわずか数分のシーンで、自然に心の扉が開き、涙が溢れて止まらなかった。ほんの数分のシーンであったが、私にとっては本作最大の見どころだったのかもしれない。このシーンの具体的な説明は省きたいが、ぜひ自分の目で確かめてもらいたいものである。


評:蔵研人

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ファーストキス 1ST KISS

ファーストキス 1ST KISS

★★★☆
製作:2025年 日本 上映時間:124分 監督:塚原あゆ子

 あれほど深く愛し合って結婚したはずなのに、いつの間にか長い倦怠期に沈み込んでしまった夫婦。結婚15年目を迎えた二人は、ついに「離婚」を決意する。ところが離婚届を提出するその日に、夫・駈が見ず知らずの子どもを救おうとホームから飛び降り、命を落としてしまう。

 悲嘆の中、妻のカンナは首都高のトンネルを走行中に、駈と出会う直前──15年前へとタイムスリップしてしまう。若き日の駈と再会した彼女は、忘れかけていた想いが胸に甦り、やはり自分は駈を愛していたのだと気付く。そして、15年後に訪れるあの悲劇から彼を救うことを心に誓う。

 タイムトラベルもので「好きな人を救うため、何度もタイムループを繰り返す」という設定自体は決して新しいものではない。だが本作は、その装置を用いながら、「夫婦とは何か、愛は時間に耐えうるのか」という問いを静かに投げかける、『大人のためのラブストーリー』なのである。とりわけ子どものいない熟年夫婦にとっては、胸に迫るものがあるだろう。

 また、ヒロイン・硯カンナを演じた松たか子の成熟した演技には、今回も深く唸らされた。49歳を迎えた彼女が20代の姿を演じてもほとんど違和感がなく、その自然な若々しさには驚かされるばかりだ。こうした表現力も含め、彼女が第49回日本アカデミー賞優秀主演女優賞に輝いたのは当然のことだと感じた。


評:蔵研人

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