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2026年01月

モスラ3 キングギドラ来襲

モスラ3 キングギドラ来襲

★★★☆
製作:1998年 日本 上映時間:99分 監督:米田興弘

 モスラ映画の嚆矢は1961年にまで遡る。
 東宝が『ゴジラ』『ラドン』に続く新たな怪獣スターとして満を持して世に送り出した本作は、構想三年、製作費二億円、撮影日数200日という、当時としては破格のスケールを誇る特撮大作であった。
 その後もモスラは数々の作品に登場し、先の二怪獣と並んで「東宝三大怪獣」と称される存在となる。従来の怪獣映画に比して、より濃厚なファンタジー性を帯びている点が、この怪獣の大きな特徴である。

 本作『モスラ3 キングギドラ来襲』は、平成ゴジラシリーズ(1984年〜1995年)の終幕から、ミレニアムシリーズ(1999年〜2004年)開始までの空白期間に製作された、いわば“つなぎ”の怪獣シリーズであり、同時に「平成モスラシリーズ」の最終章でもある。

 最大の見どころは、数々の変身を重ねてきたモスラが、宿敵キングギドラを打ち倒すため白亜紀にタイムスリップし、究極の戦闘形態〈鎧モスラ〉へと姿を変え、最後の戦いに挑む場面だろう。
 本来であれば全く歯が立たない相手に対し、モスラは自らの弱点である身体の柔軟さを克服すべく、全身を金属のような外骨格で覆う。〈鎧モスラ〉は、キングギドラの強力な引力光線すら弾き返すほどの強度を備え、翼の前縁は鋭利な刃と化し、あらゆる物質を切断・破壊する“翼カッター”として機能する。

 本作には自衛隊や防衛組織は一切登場しない。描かれるのは、ただ空中で激突するモスラとキングギドラ、その二者の戦いのみである。ゴジラ映画に見られるようなプロレス的な肉弾戦もなく、純然たる空中戦に特化した構成だ。
 そんな中、プロレスラーの大仁田厚が主人公の少年の父親役で出演しているのは、どこか微笑ましくも可笑しい。いまだかつてないほど大勢の子役エキストラが登場する点も含め、本作はよくできた「お子様ランチ」のような一作だと言えるだろう。


評:蔵研人

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私の夫と結婚して

私の夫と結婚して

★★★★☆
2024年 韓国ドラマ & 2025年 日本ドラマ

 原作は韓国のネット小説で、2024年に韓国でドラマ化され大ヒットを記録した。本作はその日本版リメイクであり、舞台や俳優、脚本は日本向けに刷新されているが、制作には韓国のスタジオドラゴンが関わっている。
 
 末期がんで入院しているヒロインが、力を振り絞って久し振りに自宅に帰ると、親友と夫の不倫現場を目撃してしまう。挙句に夫の暴行によって命を落とすのだが、その瞬間に10年前にタイムリープし生き返ることになる。そしてここから、彼女を裏切った親友と夫への復讐劇が始まるのである——。

 同じ物語を語っているはずなのに、韓国版と日本版の『私の夫と結婚して』は、まるで異なる季節の空気をまとっている。ひとつは真夏の陽炎のように激しく、もうひとつは冬の朝の静けさをたたえている。同じ原作を抱きながら、二つの国はそれぞれの呼吸で物語を紡ぎ直し、まったく異なる表情を生み出した。

 韓国版のヒロイン、カン・ジウォンを演じるパク・ミニョンは、美貌と強度を兼ね備えた存在感で、裏切りの痛みを真正面から引き受ける。変身後の彼女は怒りも悲しみもためらわず解き放ち、その直線的な感情表現が物語を一気に加速させる。
 また悪役たちは鮮烈で、感情も過剰なほどに露わだ。さらに復讐は痛快で、人物たちの輪郭は真昼の太陽の下の影のようにくっきりと浮かび上がる。韓国ドラマ特有の濃度が、この物語を激情の詩へと押し上げている。

 一方、日本版でヒロイン神戸美紗を演じる小芝風花は、感情を外へ噴き出さない。怒りは胸の奥で静かに形を変え、悲しみは言葉にならないまま沈殿する。復讐は叫びではなく、淡々と積み重ねられる行為であり、ヒロインの歩みは夜明け前の薄明の中を進むようだ。足音は静かだが、その沈黙がかえって深い余韻を残す。日本版は、まるで感情の「余白」を描く作品のようだ。

 そしてラストの描き方も対照的だ。韓国版は二人の結婚後の幸福をこれでもかと丁寧に描き、人生の再生を強く印象づける。一方、日本版はプロポーズの瞬間で幕を閉じ、恋愛ドラマの王道とも言える余韻を選んだ。

 韓国版は火花散る激情の詩、日本版は心の底に沈む静かな詩。同じ旋律を持ちながら、前者は力強く響き、後者は細く長く震える。物語とは、語られる国の空気を吸い込み、そのリズムで脈打ち始めるものなのだと、改めて実感させられた。
 どちらも一気に観ることを避けられない秀作であり、気づけば睡眠時間が削られてしまうだろう。いずれにせよ、二つのドラマの優劣は単なる好みの問題にすぎない。


評:蔵研人
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