タイムトラベル 本と映画とマンガ

 本ブログは、タイムトラベルファンのために、タイムトラベルを扱った小説や論文、そして映画やマンガなどを紹介しています。ぜひ気楽に立ち寄って、ご一読ください。

2025年11月

タイム・スプリンター3

タイムスプリンター

製作:2024年 インド 上映時間:97分 監督:ラジャラム・ラジェンドラン

 椅子のような外観をしたタイムマシンによって“15分前”へと飛ばされてしまった主婦が、何度も同じ時間を繰り返す————そんな設定の物語である。舞台は廃工場のみ、登場人物も8名に限られた、いかにも超低予算のC級映画といった趣だ。

 しかし着想自体は興味深く、思わず2007年のスペイン映画『タイムクライムス』が脳裏をよぎる。ただし本作はストーリーの厚みに欠け、冒頭の宇宙服の意味を含めて全般的に説明不足が目立つ。

 またようやく盛り上がりの兆しを見せたかと思えば、終盤で失速してしまったのが非常に残念であった。内容からすれば97分の尺はやや冗長で、30分ほどの短編で十分だったのではないだろうか。

 とはいえ、主婦役を演じたあの“おばちゃん女優”の存在感だけは、しっかりと評価しておきたい。

評:蔵研人
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ザ・フラッシュ

ザ・フラッシュ

★★★☆
製作:2023年 米国 上映時間:144分 監督:アンディ・ムスキエティ

 亜光速の超スピードによって自らを“タイムマシン”と化し、過去へと飛んだフラッシュ。彼は亡き母を救い、無実の罪で逮捕された父を助けるため、禁断の「過去改変」に手を染めてしまう。

 その代償として時空は大きく歪み、世界は奇妙な姿へと変貌する。バットマンは老境に達し、ワンダーウーマンもアクアマンも存在せず、本来いるはずのスーパーマンの代わりにスーパーガールが空を翔ける。そして、かつてスーパーマンの宿敵であったゾッド将軍が現れ、地球は再び壊滅の危機へと追い込まれる。

 スーパーガールは可憐でありながら冷静沈着、その立ち姿はまさに凛とした強さを感じさせる。また、伝説的存在であるマイケル・キートンが約30年ぶりにバットマンとして帰還したことは、往年のファンにとっては胸が熱くなる瞬間だ。一方で、フラッシュがややコミカルに描かれすぎている点や、ラストのオチが軽妙に寄りすぎている点は、もう少し抑えてもよかったのでは、と感じさせる部分もある。

 いずれにせよ、タイムトラベルものはつくづく難しい。自由度の高さゆえに物語の可能性は無限に広がるが、一歩誤れば「荒唐無稽な話」として終わってしまう危うさを孕む。だからこそ、このジャンルは常に魅力とリスクが隣り合わせなのだ。


評:蔵研人

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2067

2067

★★☆
製作:2020年 オーストラリア 上映時間:114分 監督:セス・ラー二ー

 2067年、地球の酸素は急速に枯渇し、人類は人工酸素に依存して生き延びていた。だがその供給を独占する巨大企業クロニコープ社は、もはや人々の生命線そのものを支配していた。そこへ突然、407年後の未来から「イーサンを未来へ送れ」という謎のメッセージが届く。渋る青年イーサンは、周囲の説得によってタイムマシンに乗り込み、未知の未来へと跳ぶ。
 彼が目にしたのは、緑に覆われ廃墟と化した都市、そして自らの死骸だった——。それは希望の象徴なのか、それとも人類滅亡の証なのだろうか……。

 序盤の設定とビジュアルには確かな魅力がある。タイムマシンのデザインも印象的で、物語がどこへ向かうのかという期待を抱かせる。しかし、物語が未来に移ってからの展開は一気に停滞し、閉ざされた空間で同じ思考を繰り返すようなもどかしさが残る。人類の運命という壮大な主題に対し、演出も脚本も小さくまとまり、やがて観客の興味を手放してしまうのだ。

 後に調べたところ、物語の核心は、イーサンが父親譲りの知性を駆使してクロニコープ社の陰謀を暴き、人類再生の道を切り拓く過程にあるという。しかし、その構造や動機づけが映画の中で十分に描かれず、観る者にとっては断片的な象徴の羅列にしか映らない。

 環境危機と人間の倫理をテーマにした意欲作であることは間違いないだろう。だが、優れた発想が必ずしもドラマを生み出すとは限らない。本作は、ビジュアルの美しさと思想の深みが乖離したまま、未来への扉の前で立ちすくんでしまった作品とも言えるだろう。


評:蔵研人
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トランス・フューチャー3

トランス・フューチャー

製作:2020年 ブラジル 上映時間:99分 監督:ブルーノ・ビニ

 物理学者のダニエルは、ある夜、高層ビルの屋上で何者かに襲われ、瀕死の重傷を負う。目を覚ました彼の傍らには、愛する恋人の冷たい亡骸が横たわっていた。さらに、犯人と思しき男は「今度はもっと急げ」という謎めいた言葉を残し、闇へと身を投げるのだった。

 一体何が起きたのか、そしてこの不可解な言葉の意味は何なのか。ダニエルはもちろん、観客もまた謎の渦に巻き込まれていく。やがて彼は、自らの研究テーマであるタイムトラベル理論を完成させ、過去へと遡る決意を固める。愛する人を救うため、そして真実を掴むために。

 伏線の張り方は巧みで、物語としての構築力も見事である。しかし、全体に画面が薄暗く、映像的にはやや観づらい印象を受けた。また、タイムマシンの造形が簡素で、物語の壮大さに比してスケール感を欠いていたのが惜しい。さらに結末には、もう一段のひねりが欲しく、どこか尻切れトンボのような余韻を残す。

 それでも、本作が描く「過去と現在、愛と罪の交錯」は観る者の心を捉えて離さない。ダニエルの姉を演じた女優も印象的で、物語に一抹の温度を与えている。もしあと一歩の完成度があれば、名作と呼ぶにふさわしい作品となっていたかもしれない。


評:蔵研人
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タイムマシン2024

タイムマシン2024

★★☆
製作:2024年 カナダ 上映時間:80分 監督:アリストメニス・ツルバ

 H・G・ウェルズの名作とはまったく無関係の映画であることは承知していた。加えて、あまり評判の芳しくない作品だということもわかっていた。だが、タイムトラベルものに目がない私としては、見過ごすわけにはいかなかった。

 物語はこう始まる。
 事故で行方不明になった両親を探すため、深い森に分け入った少年。彼は突如として謎のエイリアンに追われ、逃げ込んだ先の円盤状の乗り物をUFOと思い込む。だがそれは、じつはタイムマシンだった。内部にはひとりの少女が潜んでおり、驚いた少年が倒れた拍子に起動スイッチを押してしまう。かくして二人は白亜紀の世界——恐竜の咆哮が響く時代へと跳んでしまう。

 やがてティラノサウルスの襲撃を受け、マシンは崖下に転落し破損してしまう。修理には「純銀が必要だ」とAIが告げる。少年たちは銀脈を求めて荒野を進むが、その道中では次々と恐竜たちが襲いかかる……。

 物語はこのようにテンポよく展開してゆくものの、CGの完成度はいまひとつで、ストーリーも直線的だ。おそらく子ども向けのB級アドベンチャー映画として創られたのだろう。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』や『ジュラシック・パーク』、『E.T.』といった名作の影響も随所に見られる。

 また、劇中では「歴史は変えられない。しかし未来は変えられる」といった哲学めいた台詞が語られるものの、結末ではあっさりと過去を改変してしまう。せっかくのテーマを安易なハッピーエンドで締めくくってしまったのは、少々残念であった。


評:蔵研人
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オーバー・スピード 時空を超えた目撃者3

オーバー・スピード

製作:2020年 ロシア 上映時間:83分 監督:アンドレイ・ザギドゥーリン

 ロシア製のSF映画である。現在ではロシアとの貿易が制限されているだけに、この作品はウクライナ侵攻以前に輸入されたものだろうか——そんな時代背景を思わず意識してしまう。

 物語の中心にあるのは、特定の場所で心拍数が200を超えると時間を超越するという「時間周波理論」。理屈としては荒唐無稽だが、その突飛な発想がかえって新鮮で、不思議な説得力すら感じさせる。

 連続殺人事件の現場で常にランニングをしていたことから、容疑者として指名手配される主人公。自らの無実を証明するため、彼は心拍数を限界まで高め、時空を越えて真犯人を追う。しかし、過去と現在を行き来しても、なかなか真実には辿り着けない——。物語そのものはやや散漫だが、最後に待ち受ける意外な結末が印象的である。

 ただし、捜査担当の女性刑事が突如として主人公に抱きつき、そのまま性的関係を結んでしまう展開は、ご都合主義のそしりを免れない。とはいえ、彼女の魅力的な存在感が作品に華を添えているのも確かだ。観客へのサービス精神と受け取れば、苦笑しつつも許してしまうだろう。


評:蔵研人
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MONDAYS このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない4

MONDAYS このタイムループ

製作:2022年 日本 上映時間:82分 監督:竹林亮

  一週間のタイムループを延々と繰り返す広告代理店の社員たちの奮闘を描いた、異色のSFコメディである。舞台はほとんどが狭いオフィスの一室、登場人物もほぼ無名の俳優十名足らずという超低予算作品だ。

 タイムループという題材自体はもはや珍しくないが、限られた空間で登場人物全員が徐々にその異常事態を理解していくという構成が新鮮である。さらに、「上司にだけループの存在を気づかせなければ終わらない」という設定は、日本のサラリーマン社会に根付く上下関係や同調圧力を痛烈に風刺しており、笑いの中に鋭い社会批評を潜ませている。

 タイムループの原因は部長にあるものの、当の本人だけがその事実に気づかない。社員たちは一丸となって部長に現状を理解させなければ、永遠に同じ一週間を繰り返す羽目になるのだ。その過程で、彼らが組織の中で自我を越え、協働していく姿が描かれていく。

 出演者は無名の俳優が多いが、いずれも個性的で説得力のある演技を見せている。中でも、キャリア志向の女性社員・吉川朱海を演じた円井わんの存在感が際立っていた。彼女はこれまでも個性派俳優として様々な作品に出演しており、本作でも確かな印象を残している。

 本作はタイムループ映画としての完成度も高いが、それ以上に『カメラを止めるな!』のように、発想と構成の妙で勝負した低予算映画として光る一篇である。派手な映像やスター俳優に頼らず、脚本と演出の力で観客を引き込むその姿勢は、まさに日本インディーズ映画の醍醐味と言えるだろう。
 ただ、テレビドラマでも成立しそうな規模の物語であるため、「映画館で観る価値」をどう判断するかは観る者に委ねられている。しかし、それを含めてもなお、本作がもたらす小さな驚きと温かな余韻は、現代の映画シーンに確かな意義を刻んでいる。


評:蔵研人

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リバー 流れないでよ

リバー 流れないでよ

★★★☆
製作:2023年 日本 上映時間:86分 監督:山口淳太

 人気劇団「ヨーロッパ企画」が手がけたオリジナル長編映画の第2作。冬の京都・貴船を舞台に、わずか2分間のタイムループを繰り返す人々の混乱と可笑しみを描いた群像コメディである。

 タイムループものが大好きな私だが、今回はその「わずか2分」という極端な短さゆえ、同じ光景が幾度となく繰り返される前半では、やや焦燥を覚えた。しかし、主人公だけでなく登場人物全員がループを自覚しているという設定は新鮮で、物語に独特のテンポと知的な面白さをもたらしている。

 一体、このループを生み出しているのは何なのか。そして、いつになったら彼らは時間の檻から解き放たれるのか。観る者もまた登場人物とともにその謎に翻弄され、時の流れを取り戻す瞬間を息を詰めて待ち続ける。終盤、ようやくその原因が明らかになる。心理的なトラウマや人間関係のひずみかと思われたそれが、実はまったく別の————物理学的な要因によって引き起こされていたと知ったとき、思わず膝を打つ。

 撮影は京都・貴船神社と貴船川のほとりに佇む老舗料理旅館「ふじや」の全面協力によって行われた。静寂に包まれた雪の貴船の風景が、時間の停止というテーマを見事に映し出しており、この場所なくしては成立しえない映画であったといえるだろう。

評:蔵研人
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