リバー 流れないでよ

★★★☆
製作:2023年 日本 上映時間:86分 監督:山口淳太

 人気劇団「ヨーロッパ企画」が手がけたオリジナル長編映画の第2作。冬の京都・貴船を舞台に、わずか2分間のタイムループを繰り返す人々の混乱と可笑しみを描いた群像コメディである。

 タイムループものが大好きな私だが、今回はその「わずか2分」という極端な短さゆえ、同じ光景が幾度となく繰り返される前半では、やや焦燥を覚えた。しかし、主人公だけでなく登場人物全員がループを自覚しているという設定は新鮮で、物語に独特のテンポと知的な面白さをもたらしている。

 一体、このループを生み出しているのは何なのか。そして、いつになったら彼らは時間の檻から解き放たれるのか。観る者もまた登場人物とともにその謎に翻弄され、時の流れを取り戻す瞬間を息を詰めて待ち続ける。終盤、ようやくその原因が明らかになる。心理的なトラウマや人間関係のひずみかと思われたそれが、実はまったく別の————物理学的な要因によって引き起こされていたと知ったとき、思わず膝を打つ。

 撮影は京都・貴船神社と貴船川のほとりに佇む老舗料理旅館「ふじや」の全面協力によって行われた。静寂に包まれた雪の貴船の風景が、時間の停止というテーマを見事に映し出しており、この場所なくしては成立しえない映画であったといえるだろう。

評:蔵研人
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