タイムトラベル 本と映画とマンガ

 本ブログは、タイムトラベルファンのために、タイムトラベルを扱った小説や論文、そして映画やマンガなどを紹介しています。ぜひ気楽に立ち寄って、ご一読ください。

2025年07月

『終わりに見た街』(2024年版ドラマ)


終わりに見た街

★★★☆

原作:山田太一 脚本:宮藤官九郎
出演:大泉洋、吉田羊、三田佳子、堤真一、奥智哉

 原作小説が発表されたのは1981年であり、本作はその現代的リメイクにあたる。時代の変化に伴い現代パートの設定は大幅に変更されていたが、それ自体は自然な対応といえるだろう。ただし、序盤の現代描写はやや冗長で、コミカルな演出も過剰気味に感じられた。これは脚本を手がけた宮藤官九郎の作風が色濃く反映された結果とも言える。

 なお、タイトルに「2024年版」と付したのは、1982年に細川俊之主演で初めてドラマ化され、2005年には中井貴一主演で再度リメイクされているからである。つまり本作は三度目の映像化である。

 1982年版・2005年版はどちらも原作者・山田太一が脚本を手がけており、特に1982年版は原作に極めて忠実で、「戦争反対」のメッセージを正面から伝える重厚なSFドラマとなっていた。2005年版も現代設定や登場人物の職業に若干の調整はあったものの、基本的には原作の骨格を踏襲している。

 一方、本作は現代パートに宮藤流のユーモアが前面に出ており、導入部はやや軽薄にも映った。しかし、家族がタイムスリップしてからは物語が原作の流れに戻り、緊張感のある展開へと移行していく。特に三田佳子が演じる認知症の母という新たな設定は、物語に深みと感情の複雑さを与えており、印象的であった。

 なぜ今、この作品が再び映像化されたのか。その背景には、世界各地で再び戦争が現実のものとなっている状況があるのかもしれない。序盤のコミカルな演出とは裏腹に、物語の終盤では戦争の恐怖と理不尽さが強烈に描かれ、最終的には原作同様、救いのない現実を突きつけるような結末へとたどり着く。
 なおあらすじについては、過去に原作小説の評論をまとめたものがあるので、次のURLをクリックして欲しい。

タイムトラベル 本と映画とマンガ : 終わりに見た街


評:蔵研人

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また君と出会う未来のために


また君と出会う未来のために

★★★☆
著者:阿部 暁子

 仙台の大学に通う支倉爽太には「ある秘密」があった。九歳のころに海で溺れ、その瞬間に時を超えて2070年の世界へ迷い込んだことがあるのだ。現代に戻ったあとも、未来で助けてくれた女性を忘れられずにいたが、八宮和希という天才的なピアニスト青年に「自分も過去から来た人に会ったことがある」と告げられるのだった。
 この八宮和希は、前作『どこよりも遠い場所にいる君へ 』で主役だったので、本作はその続編というか亜流といった作品なのだろう。ただどちらを先に読んでも違和感は湧かないはずである。

 本作は全5章に分類され、仙台の会員制クラブでアルバイトをしている主人公の支倉爽太と、面倒見の良い先輩の尾崎幹也、そしてその友人である八宮和希との遭遇で始まる。そして和希は、爽太の同級生である圭と千晴と組んで、駅コンでピアノ四重奏を奏でて絶賛されることになるところまでが、「第一章 はぐれ三重奏とピアニスト」なのである。

 さらには「第二章 昔行った未来の話」では、爽太が九歳のころに海で溺れて2070年の世界へタイムスリップし、五鈴と言う女性に助けられた時の思い出話へ突入してゆく。またそれを受けて「第三章 過去のかけらが眠る島で」では、前作『どこよりも遠い場所にいる君へ 』で主役だった和希が、かつて過去からタイムスリップしてきた七緒と遭遇した島へ爽太を連れて二人旅をすることになる。

 そして「第四章 虚偽と祈り」では、未来の話で謎だった五鈴の正体などが解明されるのだが、だいたいぼくが想像していた通りだったのでそれほどの驚きや感動はなかった。とここまでは、優れた筆力を駆使していろいろな話を練り込んだバランスの良い小説という印象を受けた。
 ただ残念ながら「最終章 彼と彼女の未来のために」を一気に読み抜いたあとには、期待していたような高揚感が湧かなかったのだ。もちろん決して悪いエンディングではないのだが、何となく端折られたような気分が残って十分なカタルシスを得られなかったのが悲しいね。

評:蔵研人

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時を旅した花嫁3

時を旅した花嫁

著者:アン・スチュアート 訳:米崎邦子

 結婚式を目前に控えたスーザン・アポットは、誰もが羨むような聡明で礼儀正しく、未来に希望を抱く理想的な女性として描かれている。しかし物語の冒頭、彼女は珍しく苛立ちを見せる。母のメアリーや友人たちはそれを「マリッジブルー」と見なしていたが、実のところ、それ以上の違和感が彼女の中にくすぶっていた。婚約者エドワードは、裕福で愛情深く献身的な申し分のない男性だが、どうしても心が浮き立たないのである。

 そんな折、名付け親ルイーザの使いと名乗る放浪者ジェイクが現れ、かつて伯母のタルーラが着たという一着のウェディングドレスを彼女に託す。
 スーザンがそれを身にまとった瞬間、急に七色のまばゆい光が彼女を包み、気がつけば、50年前の世界へと迷い込んでいた。そこにはまだ少女だった母メアリーがいて、鏡に映る自分の姿は、かつて悲劇的な最期を迎えた伯母・タルーラだった。

 3日後に予定されているタルーラの結婚式。3日後の結婚式の日、彼女は列車事故で命を落とすと母のメアリーから聞いている。ではタルーラの心の中にタイムスリップしたスーザンの命も、あと3日間しかないことになる。
 果たしてスーザンは、タルーラの中に入り込むことで何を成し遂げようとしているのか。運命を変えるためなのか、それとも何かを学ぶためなのか――。

 物語の展開はテンポよく、時空を越えるという設定もありながら、読者を置き去りにしない分かりやすさがある。ラブロマンスとしての要素もふんだんで、映像化にも耐えうる構成だと感じた。

 一方で、主人公スーザンの人物造形にはやや違和感が残った。「理想的な女性」と紹介される彼女だが、実際には気が強く、どこか自信過剰な印象を受けたため、感情移入しにくかったのは否めない。その点で、彼女に魅力を感じづらく、なぜ複数の男性が彼女に惹かれるのか、説得力に欠けるようにも思えた。

 とはいえ、全体としては軽やかに楽しめる一冊であり、読後感も悪くない。「毒にも薬にもならない」と切って捨てるには、やや惜しい。肩の力を抜いて読む分には十分に満足できる、小説としての魅力を備えている。

評:蔵研人

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信長協奏曲

信長協奏曲 (映画)

★★★☆

製作:2016年(日本)/上映時間:126分/監督:松山博昭

 原作は石井あゆみによる同名マンガ。第57回小学館漫画賞(少年向け部門)を受賞し、「全国書店員が選んだおすすめコミック2012」でも第7位にランクイン。2016年9月時点で累計発行部数は450万部を超えるなど、まさに一大ヒット作となった。アニメ、実写ドラマ、そしてこの映画版と、三つのメディアで同時展開された点も異例だ。

 本作はその実写ドラマ版の続編にあたり、キャストも続投されているため、ドラマ未視聴の観客には若干ハードルが高い部分があるかもしれない。しかし、そこは“織田信長”という誰もが知る歴史上の人物の物語。背景が多少分からずとも、大筋は自然と飲み込めてしまうだろう。

 物語は、現代の高校生・サブローが突如戦国時代にタイムスリップし、瓜二つの織田信長と出会うところから始まる。気弱な本物の信長は、自分の代わりに“信長”として生きてくれと頼み、姿を消してしまう。
 歴史の知識もなく、戦を嫌うサブローは、「平和な世を作りたい」という思いだけで、この時代で信長として生きることを決意する。しかし彼は、本能寺の変で信長が死ぬ運命にあることさえ知らないのだった……。

 この設定だけでも十分ユニークだが、本作の面白さは「歴史をなぞるのか、それとも変えるのか?」という問いに終始するところにある。歴史の枠を超えた展開、パラレルワールド的な視点、そして主人公たちの心情の揺らぎが、物語に奥行きを与えている。

 なかでも、小栗旬演じるサブローと、柴咲コウ演じる帰蝶との戦国風ラブストーリーは、戦国という時代背景の中にささやかな人間ドラマを刻んでおり、終盤のどんでん返しと相まって、観終わった後には不意に胸が熱くなる。単なる歴史フィクションではなく、「信長とは何か」「生きるとはどういうことか」を問いかける一作だった。

評:蔵研人

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