製作:2011年 米国 上映時間:93分 監督:ダンカン・ジョーンズ 主演:ジェイク・ギレンホール

 正確にはタイムトラべルではないのだが、『恋はデジャ・ブ』とか『ターン』とか『リプレイ』などのように、何度も時間を繰り返すストーリーである。私の大好きなテーマということもあり、ちょっと採点が甘いかもしれないが、最近観た映画の中では一番面白かった。

 テロによって、乗客全員が死亡する列車爆発事故が起こる。更なる犠牲を出さないため、政府の極秘ミッションが始動。「ある方法」によって犯人を探し出すというのだ。
 その「ある方法」とは、ある兵士の意識に、死亡した乗客の記憶を転送するという技術である。だがそのタイムリミットは8分間だという。つまり死者には、残像と同様に、絶命寸前8分間の記憶が残存しているという仮定による。
 だが8分間では何も出来ない。従ってこれを何度も繰り返すことによって、無駄を省き重要な事実だけを探り当てるのだ。ただ兵士の体力の限界もあるため、ある程度の回数しか繰り返すことは出来ない。

 実によく出来ている設定である。もしその8分間の中で、途中下車するなどして、事実と異なる行動をとったらどうなるのか。そして物語は核心に迫ってゆく…。またこの結末は、誰にも予測が困難だという。本作はタイムトラベルではなく、どちらかというとパラレルワールドだと言えば、何となく結未も予測出来るだろう。

 キャストは主役のコルター・スティーヴンス大尉に、『プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂』のジェイク・ギンレイホール。ヒロインのクリスティーナには、『デュー・デート』のミシェル・モナハンといったところ。
 双方ともなかなか役柄にはまっていたよね。またスクリーン上の主人公同様、初めは余り乗り気のしない女性だったミシェル・モナハンが、何度も繰り返して会っているうちに、だんだん愛しくなってきたから不思議である。
 この映画の内容については、余り詳しく語らないほうが良いだろう。とにかく決して損はないと思うので、劇場で観てもらうしかないね。

評:蔵研人