製作:2002年 英国 上映時間:95分 監督:ハーレイ・コークリス
邦題の大げさなタイトルに比べると、原題は『メイの天使』とシンプルで、この映画の全てを語っているかのようだ。なぜこんな長ったらしく、派手な邦題を付けてしまったのだろうか。
トムの母親は、トムが所属するサッ力ーチームのコーチと愛し合う仲だ。彼女は別居中の夫と正式に離婚し、コーチとの結婚を望んでいる。そんな関係を知っているチームメイトたちに冷かされ、トムはふてくされて、コーチや母親に対しても反抗的だ。
ある日トムが、奇妙な犬の後をつけて森の中に入ると、そこには暖炉のある廃墟があった。犬に体当たりされたトムが、暖炉の中に転げこむと、なんとそこは第二次世界大戦中の世界だったのだ。
そこでトムは、孤児で変人のメイという少女と出会い、彼女や彼女の保護者達と数日間一緒に暮らすことになる。人見知り癖のあるメイであったが、なぜかトムにはすぐなついてしまったのだ。彼女にとって、不思議な感じのするトムは、まるで天使のようであったのだろう。だがトムのほうは、次第に元の世界に戻りたくなり、稲妻の光る晩に、現代に再びタイムスリップするのだった。
せっかく元の世界に戻ってきたトムだったが、現代で「あの時代の衝撃的な事実」を知り、再びメイのいる時代へ跳んでゆく決心をする。タイムスリップするためには、廃墟の暖炉とあの奇妙な犬と稲妻が必要だ。トムが森の中に入ると、廃墟の暖炉の前に薄汚れた老婆が犬と戯れているではないか…。
この老婆の存在は、映画好きの人ならすぐに、クリストファー・リーヴの『ある日どこかで』を思い出すに違いない。だがこちらの作品のエンディングはハッピーなので、きっと誰もがホッとするはずだ。
主人公も少年・少女だし、戦闘シーンも兵隊もほとんど登場しない。そのうえハッピーエンドとくれば、これはジュニア向けの作品なのかもしれない。だが大人でも十分楽しめる心温まるファンタジーに仕上っているので、DVDをレンタルしても決っして損はしないだろう。
評:蔵研人