製作:2009年 日本 上映時間:112分 監督:中村義洋 原作:伊坂幸太郎
1975年に、先取りし過ぎてヒットしなかったパンクバンド「逆鱗」の、最後の曲が『FISH STORY』。この曲の途中には約1分の空白があり、その空白の中で女性の叫び声を聞いた者は、将来世界を救う英雄になるという。
1982年には、お人良しで気弱な大学生が、合コンで知り合った霊感女に、いつか世界を救うと予言される。そして帰りの車中で、『FISH STORY』を聞き、曲の空白の部分で女性の叫び声を聞く。奇妙に思い車外に出ると、近くの暗闇で意外な出来事に遭遇してしまう。
そして2009年、小さい頃から「正義の味方」になる訓練を続けていた青年と、女子高生が船上で知り合う。そこでいきなりシージャックに巻き込まれ、女子高生は犯人にピストルを付きつけられるのだった。
いよいよ運命の2012年、彗星と地球の衝突まであと5時間と迫る。人類は確実に滅びるはずだ。ただ唯一残された希望は、5人の正義の味方の登場と心を打つ音楽だという。
そしてこの4つの時空がリンクし、見事な結末を迎えることになるのだ。荒唐無稽な発想と、各所に散りばめられた謎、そしてラストにそれらを全て巧みに収束させる。まさに伊坂ワールド全開の、巧妙な脚本と演出ではないか。
ちなみに『フィッシュストーリー』とは、「魚物語」ではなく、「ホラ話」という意味である。まさに本編そのもの!。
評:蔵研人