イフ・オンリー

製作:1998年 英国、スペイン 上映時間:92分 監督:マリア・リポル

 タイムトラベル専門ブログを主宰しているしょーすけさんの『浮浪雲のように』で知ったイギリス映画である。かなり面白い作品なのだが、なぜかDVD化されていない。あれこれ探した結果、運良くオークションで入手することが叶った。

 浮気したことをうっかり恋人のシルヴィアに告白し、即彼女に三行り半をつきつけられたヴィクター。終焉した恋を絶ち切れない彼は、シルヴィアの結婚式の前日、泥酔してゴミ箱の中で寝てしまう。
 それから不思議なゴミ収集人が現れて、魔法の呪文を唱えると、ヴィクターはシルヴィアと別れる直前の過去に戻っていたのだった。そこで彼はもう一度やり直し!。今度はシルヴィアを大切にし、浮気もやめるのだが・・・。

 時間の繰返しによって自分の人生をリセットする作品としては、『恋はデ・ジャヴ』や『タイムアクセル12:01』などがあるが、この作品でのやり直しは、たったの一回である。またとくにタイムパラドックス等にも言及していない。過去に戻るというのは一つの手法であり、どちらかといえば「人生をリセットしたらどうなるのか?」というテーマが主目的のようである。

 よくある手法ではあるが、人生は一筋縄ではゆかないのか、運命という定めには逆らえないのか、単純にハッピーエンドに終らないところに含蓄を感じてしまった。ラストシーンは皮肉めいているが、ある意味優しさを感じる展開でもある。またペネロペ・クルスのたどたどしい英語と、初々しいルックスも必見である。

評:蔵研人