製作:2006年 日本 上映時間:118分 監督:河野圭太 主演:西田敏行
「いや~映画ってほんとにいいですね!」と思わず叫びたくなるほど超・面白い映画だった。ジャンルは珍しいファンタジックコメディといったところだろうか。
デパートに勤務する椿山課長は、仕事中に突然死してしまう。だが天国に行く前に、初七日まで地上に戻ることを許される。そしてそこで、今まで知らなかったことが、次々と解明されてゆくのである。
ところで彼が地上に戻ると、絶世の美女に変身していたのである。天国の使者曰く、全く正反対の姿に変身させたというのだ。この椿山課長にブクブクの西田敏行、変身後のスレンダーな美女に伊藤美咲とくれば納得、そして大笑い間違いなし。
原作はここのところ映画づいてきた「浅田次郎」なのだが、因みに私はまだこの小説を読んでいない。
さて、西田敏行と伊藤美咲という、美女と野獣のような組合せが、意外と良かったね。それに美女の伊藤美咲は、シリアスな役よりコミカルな役のほうが向いているようだ。
また蓮子役の志田未来もなかなか可愛いい。彼女も死ぬ前は、少年だったのだが、蘇ると少女になってしまうのだ。
施設で育った彼女(彼)は、実の父母に会いに行く。ここから先はネタバレになるので、詳しくは書かないでおこう。ただ例え姿形が変わっても、我子を見分ける母性愛に感動してしまった。
あと椿山課長の同僚で、元カノジョの知子を演じた余貴美子が良い。彼女は目尻が下ったほのぼのフェイスで、私の好きなタイプの女性である。だから真実を知ったら、余計に切なくなってしまった。
この作品のテーマは、生きているときは判らないことが沢山あるということだろうか・・・。人生には、知らないほうが良いこともある。だが椿山課長にとっては、真実を知って本当に良かったのではないかと思った。
館内は笑いが絶えなかったが、時々すすり泣く声も聞こえた。またラストシーンも清々しく、こうした作品にありがちな後味の悪さは全くなかったね。久し振りに本当に映画らしい邦画にめぐり逢った気がしたものである。ただもうひと捻りがあると、100点満点だったのだが・・・。
評:蔵研人