著者:新城カズマ
スラッシュが2つも入るタイトルなんて、そうザラにあるものじゃない。おかげでファィル名には使えないじゃないの(笑)。それにしてもこの作品は本当に小説なの?少なくとも前半はどちらかというと、小説仕立ての『時間テーマSF論』という感がしないでもない。
主な登場人物は、タイムトラべルが出来る悠有を除けば、老成したような高校生ばかりであり、しきりに蘊蓄をひけらかす。ことにSF作家の名前や作品名がポンポン飛び出すので、SFオタクには嬉し懐かしだが、そうでない人には耐えられないかもしれない。
それにストーリー展開が、えらくまどろっこしいと言うか、回りくどいのだ。まるでヒグマが潜んでいるブナの林道を、全く振り向きもせず、鼻唄まじりでのんびりと歩いているようである。
それに『プロジェクト』などと気取っているが、単なる『SF同好会』じゃないか。ストーリーのほうも前半は、この同好会での蘊蓄大会に終始し過ぎて退屈で死にそうだった。
それにこの物語にある地名は、全てが架空のものだというのに、もっともらしい地図を何枚も掲載する必然性がみえてこないのだ。いい加減にして欲しい。もう少し上手にまとめれば、わざわざ2冊にすることもなく、充分1冊に納まる内容である。
・・・と文句ばかり言いたくなる作品だが、後半になって急遽『学園ドラマ』から『ミステリー小説』へ脱皮し、ラストに至っては、まるで悠有のタイムトラべルの如く、猛烈な勢いで末来を通り抜けてしまうのだ。
しかしエンジンがかかるのが余りにも遅過ぎるよ。読み辛い文章と退屈なストーリーで、ここまで無理やり引っ張っておきながら、今度はあっという間に終ってしまうしね。
読了後の満足感もなければ、感動する場面もない。ただ著者が『夏への扉』と『ジェニーの肖像』の大ファンである、という確証だけが残った。しかしそれでも『SFが読みたい2006年版』でベストSF国内篇5位。さらに第37回星雲賞も受賞している。いつの間にか最近のSF小説は、オールドSFファンには、ついて行けなくなってしまったようだ・・・。
評:蔵研人








