著者:眉村卓

 短編ではあるが、いつまでも心に残る味わい深い作品であった。主人公の伊藤は、昭和の時代から幕末へとタイムスリップし、そこで新選組の隊員として働くことになる。そしてまた現代に戻って守衛の仕事をするのだが・・・。

 これだけでは、よくあるドタバタSFと変わらないのだが、この作品はラストの落とし方が凄いのである。それを明かすとネタバレになるのでやめておくが、つまり「逆転の発想」とでも言っておこうか。
 かって『幕末未来人』というタイトルで、NHKでドラマ化されている。DVD化されているので、出来れば原作と併せて観ることを薦めたい。なおこの作品は、眉村卓の短編集『思いあがりの夏』または『虹の裏側』に収録されている。

評:蔵研人