著者:ジェイムズ・P・ホーガン

 時間を盗むエイリアン?により、ある条件下での時間がだんだん歪んでくる。そしてその犯人を、主人公である警察官が捜査するというストーリーである。
 日本のSFだったら、なんとなく筒井康隆あたりが書きそうなテーマだが、たぶん彼が書けば、荒唐無稽のドタバタ劇になってしまうだろう。ところが本作品は、ある程度のユーモアを香辛料としながらも、時間についての物理学上のハードな考証にも、決して力を緩めていないところが素晴らしい。

 時間が歪む謎について解明するために、霊能者、物理学者、神父たちと次々にインタビュ一するのだが、一番関係のなさそうな神父さんが一番役立つのは、以外であり皮肉ぽくって愉快だった。この作品は小説としては面白いが、映画化して好評を得るのは、かなり難しいかもしれないね。
 
評:蔵研人