邦画にしては珍しく、3ヵ月のロングランを記録した作品である。またこの映画を観た知人の感想も、ネットの評価も非常に高く、当時はかなり気になっていた作品だった。
ジャンルとしては、純愛ファンタジーとでもいうのだろうか。韓国系のファンタジックなストーリー展開とやや似ているのだが、この作品のほうが完全に勝っているはずだ。
ストーリーのほうは、妻に先立たれた父と幼い息子が、梅雨の間だけ亡妻(母)と会い、夏の訪れとともに、やがて妻は、別世界へ帰ってしまうという、現代版かぐや姫のようなお話である。
竹内結子の知的な美しさと、ごっつい風貌に似合わず、優しく純な心を持つ中村獅堂と、可愛い子役のアンバランスな取り合せが、不思議なくらいぴたりとはまっていた。
また美麗な映像と山合いの静かなロケーションが、ファンタジックな雰囲気を盛り上げ、観客の心を優しく包み込んでくれたような気もする。
そして竹内結子が別世界へ戻ってからの、メビウスの輪と鏡の裏側を観るような展開には、かなり感動させられた。同時に、精密機械のように巧みに練りあげられた、職人芸のような脚本にも脱帽せざるを得ないだろう。
これで前半少しモヤモヤしていた謎が全て解明され、すっきりとした形でエンディングを迎えることが出来たのである。そしてタイトルの『いま、会いに行きます』の意味も判るはず・・・。
もちろん、涙もろい私は何度もハンケチのお世話になってしまったが、この作品が発する『純愛オーラ』に、周囲の老若男女の全員が、そして映画館全体が涙色に染まってしまったのである。
評:蔵研人








