タイムトラベル 本と映画とマンガ

 本ブログは、タイムトラベルファンのために、タイムトラベルを扱った小説や論文、そして映画やマンガなどを紹介しています。ぜひ気楽に立ち寄って、ご一読ください。

 タイムマシン、タイムトラベル、タイムスリップ、時間ループ、パラレルワールド、時間に関係する作品を収集しています。まだまだ積読だけで読んでいない作品がたくさんあるのですが、順次読破したら本ブログにて感想を発表してゆきますね。

マンガで読むタイムマシンの話2

マンガで読むタイムマシンの話
画:秋鹿さくら

 過去に物理学者の都筑卓司がブルーバックスで著した『タイムマシンの話』をマンガ化したものである。そのご本家都筑卓司氏の『タイムマシンの話』はかなり昔に読んだことがあるのだが、かなり難解だったのでマンガ版なら分かり易いだろうと思って買ってみた。

 ところが残念ながら肝心のタイムトラベル理論の部分になると、マンガと言うよりは図説のオンパレードとなり、ご本家の原作本の図をそのまま転用しているだけに終始しているのだ。また余計なマンガストーリーが組み込まれているばかりか、ページ数もかなり省エネ化しているため、大幅に省略された内容に成り下がっていた。

 これでは逆に、ご本家の原作本のほうが分かり易いではないか。もっとも難しいものを易しく解説するということは、それなりに難しい作業であり、十分な知識を有している必要がある。それを銀杏社構成とされているものの、物理学素人の漫画家に委ねること自体に無理があったのかもしれないね。読者に易しく分かり易く説明するという使命より、マンガなら売れるだろうという安易な発想が残念であった。


評:蔵研人
 

ヴィルトゥス3

ヴィルトゥス

著者:信濃川日出雄

 西暦185年の古代ロ-マ帝国では、暴君第17代皇帝・コンモドゥスが格闘技に明け暮れ、ローマ帝国は荒廃しつつあった。その行く先に憂いる側室・マルキアは、時を操る秘術を使い、失われたローマ人の魂『ヴィルトゥス』を抱く男を未来より召還する。その男こそ2008年に住む柔道世界一の日本人・鳴宮尊であった。
 
 本作のテーマは、未来より召喚された鳴宮尊が、悪政を続けるコンモドゥスを暗殺することだと思っていたのだが、どうも雲行きがおかしい。そもそも召喚されたのは鳴宮だけではなく、彼と同じ刑務所に収監されていた男たち数名なのだが、その半数以上は召喚されてすぐ殺害される。
 さらに鳴宮はじめ生き残った者たちも、強制的に奴隷闘士にさせられ、ギリシャの孤島にある悪名高い興行主ガムラの養成所に送られてしまうのであった。そしてコンモドゥス暗殺どころか、この孤島での訓練や鳴宮の過去についての話などに終始するばかりなのだ。
 またコンモドゥス暗殺は歴史通り元老院議員達によって実行されるのだが、裏切りなどが絡んでうまくゆかない。そして突然中途半端な形で、全5巻をもって終了してしまうのである。

 なんだなんだこの話は、と思ったら実はこの5巻までは第一部であり、 第二部としてタイトルを『古代ローマ格闘暗獄譚SIN 』と変更し、主人公を第一部ではいじめられっ子だった神尾心に替え、さらに掲載誌も週刊誌から月刊誌へ移行しているのだ。なぜこのような数々の変更がなされたのかは不明であるが、第二部は余り面白くなかったし全6巻で完結となっている。
 第一部と二部を通算しても僅か11巻にしかならないのだから、本来ならわざわざ大袈裟に二部構成にする必要もないはずである。もしかすると第一部の描き方などに何か問題が生じたのかもしれない。いずれにせよ原因不明のまま第一部は終了してしまったのである。

評:蔵研人

アゲイン!! 全12巻

アゲイン
★★★☆

著者:久保ミツロウ

 著者の作品の多くは本作も含めて『週刊少年マガジン』へ連載しているし、名前も男名なのでてっきり男性漫画家だと思い込んでいた。ところがよくよく調べてみると、本名が久保美津子という48歳の女性だったのだ。また著者はかなりの遅筆で作品数も少ないのだが、代表作の『モテキ』が大ヒットし、TVドラマや実写映画化されている。

 本作は、3年間の高校生活を友達も出来ず部活にも入らず自堕落に生きてきた今村金一郎が、卒業式の日に急階段から転がり落ち、3年前の入学式の日にタイムスリップしてしまい、もう一度高校生活をやり直すというお話である。まあ最近ではよくあるストーリーなのだが、応援団員として活躍するというところがユニークかもしれない。
 さらにそのときの応援団長が美女だと言うところも珍しい設定である。と思ったら、よしづきくみちが本作より以前に『フレフレ少女』という女応援団長を描いたマンガを発表していたんだね……。

 もちろん応援団だけの話では退屈してしまうので、野球部の話や演劇部の話を絡めながら応援団の内情などを描いてゆく。画風は一見シリアス気味なのだが、あの『鬼滅の刃』同様、おバカなギャグ絵を織り込むという最近流行りの手法を用いている。
 登場人物も個性的でユニークなキャラばかりなので笑いながら読んでいるうちに、あっという間に読了してしまった。ただ最終回の話が分かり難く、中途半端な締めくくりだったのは残念だったな。
 またアゲイン後の今村が、余りにもモテモテで一体誰と結ばれるのかが興味深いのだが、なんとなく「なぜそんなにモテるんだ!」といった不自然感が湧いてきたことも否めなかった。たぶんある意味で『モテキ』の亜流作品なのかもしれないね。

評:蔵研人
 

時空旅行者の砂時計

 時空旅行者の砂時計
★★★☆
著者:方丈 貴恵

 序盤は主人公の加茂が瀕死の妻を救うため、謎の人物マイスター・ホラに導かれてタイムスリップするまでの経緯と、タイムスリップについてのいくつかのありきたりな蘊蓄が並ぶ。そのあとは加茂が探偵になりすまし、竜泉家で起こった二人の殺人事件について調査するという流れになる。舞台は1960年の竜泉家別荘で、登場人物は竜泉家の一族とその関係者という構成になっている。広い敷地と複雑な人間関係が絡む話なのだが、人物相関図や建物の図面などが挿入されているので分かり易くありがたかった。

 SFやファンタジーの匂いを振り撒いてはいるが、横溝正史 の長編推理小説『犬神家の一族』のオマージュ作品と言っても過言ではないだろう。ただ本作は真犯人を暴くだけではなく、閉ざされた館の中で起きた不可能犯罪の手法や犯行理由、さらにマイスター・ホラとは何者なのか、果たして加茂の妻は助かるのか、加茂は2018年に戻ることができるのか、といった諸々の謎の解明にも興味を惹かれてしまうはずである。

 もちろん終盤になれば、全ての疑問や犯人の動機などが明かされることになるのだが、タイムトラベル絡みのトリックはやや反則臭いし、次々に殺人が起きているのに、「全く警察に連絡しない」といった現実離れした展開にはやや馴染めなかった。まあ密室殺人をタイムトラベル手法を使ったパズルゲームに仕立てたミステリーと割り切って読めば、その巧みに準備された構成力には脱帽するしかないだろう。また爽やかで優しさの滲んだ締めくくり方にも、大いなる拍手を送りたい気分である。


評:蔵研人

そろそろタイムマシンで未来へ行けますか?

そろそろタイムマシン

★★★☆
著者:斎田興哉

 著者はJAXAにも勤務経験のある工学博士で、宇宙ビジネスのコンサルタントだという。だから本書は小説でもマンガでもない。タイトルを見る限りでは、タイムマシンやタイムトラベルの解説本なのかと勘違いしてしまうだろう。
 もちろんタイムトラベルやタイムマシンについての記載もあるのだが、それは30ある質疑応答の中の一つに過ぎない。本書の目的は、大人にも満足でき子供にも分かり易い「超・科学入門書」のようである。

 従って内容的にはタイムトラベルのほか、UFOや宇宙人の存在、不老不死の生物、アイアンマンのようなスーツ、透明人間、予知能力、サイボーグ、核融合、などについての現状と可能性を科学的に分析し分かり易く解説している。まあこのような超常現象やSFの世界を、大真面目に分かり易く科学的に説明した本は読んだことがなかったので新鮮であった。
 ある意味勉強になったところもあるが、ちょっぴり物足りなさを感じたことも否めない。ただ文章の中から著者の懸命な努力を感じたので、それなりに評価してあげたいと思う。

評:蔵研人

鳥類学者のファンタジア3

鳥類学者のファンタジア

原作:奥泉光 画:望月玲子

 不可思議な音階がジャズピアニスト・希梨子を時空を超える冒険に巻き込んでいく。……謎の音階を探して、現代から第二次大戦中のドイツへと時空を超える旅を描いたマンガなのだが、とにかく音楽と宇宙の蘊蓄が脈絡もなく混在し難解で、凡人の私には理解しがたい内容であった。

 それもそのはず、原作が芥川賞作家・奥泉光の小説だったのである。原作は未読であるが、マンガでさえ理解不能なので、小説はさらに難解なのだろうか、いやたぶんマンガには不向きの原作なのかもしれないね。……ごめんなさい、いずれにせよもうこれ以上は、評論を書く元気も喪失してしまったようだ。あーあ、マンガを読んでこれほど疲れたのは、生まれて初めてかもしれない。

評:蔵研人

僕が殺された未来3

僕が殺された未来

著者:春畑 行成

 ある日のことである。僕こと大学生の高木のアパートに、60年後の未来から、大塚ハナという名の中学生がやってくる。彼女がはるばる未来からやってきたのは、3日後に高木が何者かに腹を刺されて殺されると言うことを伝えて、それを回避させるためだと言うのだ。そしてその犯人は、数日前に高木の片想い彼女である小田三沙希を誘拐した犯人と同一人物ではないかと言う。だからもうこれ以上小田三沙希誘拐事件には関わらないでくれと頼むのであった。だが高木は言うことを聞かないで、小田三沙希探しに奔走するのである。

 それにしてもなぜ小田三沙希が誘拐され、関係のない高木までが殺されなければならないのだろうか。登場人物は余り多くないのだが、そのほとんど全員が犯人候補である。まずは小田三沙希の父親、実姉、婚約者、ストーカー、さらにはなぜか高木の親友・健太郎までが含まれているのだ。

 とにかく軽いノリで読み易く、遅読派のぼくでもあっという間に読破してしまった。だからと言って凄く面白かったわけでもない。つまりストーリーが余りにも陳腐で、片想いの彼女に命を懸ける高木の行動にも全く共感できないし、テーマも犯人探しとその目的、そして大塚ハナの正体の三点だけに絞られているだけで、余りにも薄味過ぎて物足りないからだ。まあいずれにせよ、子供向けの作品なのだと承知すれば、腹も立たないかもしれないね。

評:蔵研人

-時の回廊- 昭和は遠くなりにけり4

昭和は遠くなりにけり

著者:辻真先

 本書の冒頭には、下記のような記載がある
「この拙作を、亡き広瀬正さんと亡き藤子・F・不二雄さんに捧げます。 かつて『マイナス・ゼロ』と『ノスタル爺』に感動した---辻真先』

 『マイナス・ゼロ』と『ノスタル爺』を読んだことのある人なら、本作を読み終えればすぐに「なるほど」と納得できると思う。つまりタイムマシンで昭和の懐かしい時代を回遊しながら、恋人を追いかけるラブファンタジーと、終盤のノスタルジックでもの悲しい結末がブレンドされているオマージュ作品なのである。ただしタイムマシンではなく、事故を利用したタイムスリップで時間を移動することになる。

 作者の辻真先氏は、1932年に名古屋市生まれ、名古屋大学文学部卒業後NHKに入社している。さらにテレビ初期のディレクター、プロデューサーを務めたのち脚本家に転身し、『鉄腕アトム』、『エイトマン』、『ジャングル大帝』、『サザエさん』、『巨人の星』、『デビルマン』など、1500本超のアニメ脚本を執筆している。
 そして本作の主人公である鈴木太郎は、まるで著者の分身のような経歴で昭和時代を生き抜いてゆくのだ。また太郎が追いかけ続けるヒロイン江木速美は、華族出身ということから、もしかすると先日亡くなった久我美子がモデルなのかもしれないね。

 本書の目次を開くと、第1部 太郎、第2部 次郎、第3部 三郎というネーミングと、それぞれが前後した昭和時代に分類されている。はじめは何のことかと考えていたのだが、第2部を読み始めた時点でその意味が理解できるはずである。
 ラストはかなり駆け足になり、想定外の展開となってしまったが、この終わり方にはいろいろな感じ方があるだろう。ただ私自身は、やや暗い『ノスタル爺』色は排除しても、明るい『マイナス・ゼロ』色だけに染めまくって欲しかったかな……。

評:蔵研人

夏へのトンネル、さよならの出口

夏へのトンネル、さよならの出口

★★★☆
アニメ 監督:田口智久

 長ったらしいタイトルだが、『夏へのトンネル』の部分は、多分ロバート・A・ハインラインの小説『夏への扉』のオマージュなのであろう。と言うことは、ぼくの大好きなタイムトラベル系のストーリーと言うことになる。だから小躍りしながら本作を鑑賞してみた。

 ウラシマトンネルに入ると、なくしたものがなんでも手に入るという。ただしトンネルの中と外の世界では時間の進み方が大きく違っている。まさに竜宮城から帰った浦島太郎が、未来の世界に来てしまったのと同じことが起きるのである。だからトンネル内ではウロウロしていられない、急いで欲しいものを探し、全速力で戻らなければならないのだ。

 主役は掴みどころがなくぼやっとしているように見え、いつまでも過去の事故を心の傷として抱える高校生・塔野カオルと、不愛想だが芯の通った態度を貫きながらも、理想像を求める女子高生・花城あんずである。
 まず駅での二人の出会いに始まり、転校生ながらいじめっ子の同級生に強烈なパンチを見舞うあんずの行動に度肝を抜かれだろう。そしてカオルがみつけた謎のウラシマトンネルにもドキドキしてしまう。

 ただそれ以外にほとんどストーリーが無く、というよりストーリー間の繋がりが見つけられず、いつも二人だけの世界に閉じこもっているため、余り深みを感じられなかったのが残念である。だから終盤になってウルウルしたものの、激しい涙の嵐には遭遇しなかった。そのあたりの修正と、ラストのどんでん返しを用意できたなら、もっと素晴らしい作品に仕上がったと思うのだが……。

評:蔵研人

すばらしきかな人生4

すばらしきかな
原作:北原雅紀 作画:若狭星

  『素晴らしき哉、人生!』は1946年に製作された米国の名作映画であるが、本作はその名作映画のオマージュ版コミックといったところだろうか。
 もしもあの時に戻ることができたら、今の自分はこんな不幸にはならないはずだ……。と誰もが一度は考えたことがあるだろう。それを実現してくれるのが、バ-『ボレロ』のマスター・坂巻友郎である。
 ただしその代償は10年の寿命と引き換えだというのだ。仏のような顔付をしているマスターだが、果たして彼は天使か悪魔か死神なのだろうか……。

 本作はこのマスター・坂巻友郎が、藤子不二雄Aの『笑ゥせぇるすまん』のような狂言回しを務めるオムニバス方式を採用している。第一巻には『あの日に帰りたい』ほか9作が収められており全3巻の構成になっているのだ。全ての話がなかなか良くできているのだが、どうしても似たような話になり、オチが読めてしまうところが弱点かもしれないが、読み応え十分なことは間違いないので安心して欲しい。

 いずれにせよ、絵は綺麗だし、原作ものなので一つ一つの話は分かり易くしっかりしているし、全三巻という手ごろな構成なので誰にでも楽しめるだろう。ましてやタイムトラベルファンは必読かもしれないね。

評:蔵研人

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