タイムトラベル 本と映画とマンガ

 本ブログは、タイムトラベルファンのために、タイムトラベルを扱った小説や論文、そして映画やマンガなどを紹介しています。ぜひ気楽に立ち寄って、ご一読ください。

 タイムマシン、タイムトラベル、タイムスリップ、時間ループ、パラレルワールド、時間に関係する作品を収集しています。まだまだ積読だけで読んでいない作品がたくさんあるのですが、順次読破したら本ブログにて感想を発表してゆきますね。

二百年の子供4

著者:大江健三郎

 ノーべル賞作家「大江健三郎」が書いたとは思えない不思議なタッチの本である。恐らく彼がこのような小説を書くのは、最初で最後になるであろう。
 「二百年の子供」というタイトルは、120年前の過去と80年後の未来をタイムトラベルした3人兄弟の話だからなんだね。これはSFとかファンタジーというよりも、お伽ばなしというほうが似合っているかもしれない。

 三人でシイの木のウロに入って、手を繋いで同じことを念じると、その念じた時代にタイムリープするのだ。本当にタイムトラべルしているのか、はたまた同じ夢を観ているのかは最後まで謎のままである。
 ただ薬やナイフを置いてきたり、手紙や石笛を持ってきたり出来たのだから、夢ではないのだろう。しかし複数で同時に見るリアルな夢が、実はタイムトラベルなのかもしれない、というアイデアは仲々面白いよね。

 兄は知的障害者、兄思いの妹は感情の起伏が激しく、弟は機敏で老成している。とても個性のある兄弟達だが、三人三様で見事にジョイントするのだ。そして妹も弟も、兄のことを「真木さん」呼ぶのもユニークである。
 この小説は、2003年1月から10月まで、読売土曜朝刊に掲載されたジュブナイルである。これより9年前に大江氏は、ノーべル文学賞を受賞し、作家としての締めくくりを迎えたのであろうか。

 この作品では、子供と老人との関わりや、今という時間の大切さを優しく書き綴っている。少年少女向けと言いならがら、なかなか味のあるテーマと文章で紡ぎ込まれてあった。
 読み易いのであっという間に読了してしまう。まだ未読の方は、機会があれば是非読んでみて欲しいね。

評:蔵研人


10ミニッツ・アフター3



製作:2005年 米国 上映時間:87分 監督:デヴィッド・ヴァン・エッセン

 
 世界中の時間を、10分間だけ戻せる携帯用タイムマシンが完成。そしてマシンを奪った銀行強盗を追跡するドタバタSFである。低予算のB級映画だが、アイデア勝負の一発作品といったところか。
 ただタイムマシンを使うのが、序盤の銀行内と、ラストの飛行機内だけというのが大不満である。銀行以降はいつタイムマシンを使うのかと、引っ張りに引っ張り続けて、結局ラストに一回だけとはね・・・。

 これではインチキ見世物小屋に、騙されて入ったようなものである。中途半端なアクションはどうでもいいから、もっとB級に徹して、タイムマシンでいろいろいたずらして欲しかったんだが。
 この映画、なんだかこのラストシーンのためにだけあるような感じだ。これでは観客の心を掴めるはずはないよね。
 たまたま僕の好きなテーマで、アイデアが面白かったので、エコヒイキして★ひとつ大おまけである。もう少しストーリーを捻って、続編を創ってくれないかなあ。

評:蔵研人


時の行者 全三巻4

作者:横山光輝

 戦国時代末期から江戸時代中期にかけて、10年ごとに変らない風貌で現れる謎の少年。この少年は未来からのタイムトラベラーで、その目的はなかなか明かされないのだが、ラスト間近になってやっと明確にされる。
 少年は高熱線銃やバリヤー発生装置を身に着けているため刀や鉄砲などが通じず、昔の人々にはまるで超能力を駆使する行者に見えてしまう。ただ反撃を行う際には、一時的にバリアーを解除しなくてはならないし、長時間バリアーを張っていると窒息するという弱点がある。そのため二度不覚を取ってしまい、捕まって拷問にかけられてしまう。

 主な登場人物は、織田信長、豊臣秀吉、石田三成、後藤又兵衛、徳川家康、本多正純、徳川忠長、天草四郎、由井正雪、堀田正信、徳川吉宗、天英院、徳川吉通、大岡越前、紀伊国屋文左衛門、徳川宗春、徳川家重など錚々たる歴史上の人物が多い。また関ヶ原の戦い、大坂の役、宇都宮釣り天井事件、島原の乱、生類憐みの令、享保の改革、天一坊事件、宝暦の一揆などなど歴史上の重大事件を扱っているので、歴史入門書としても役に立つかもしれない。
 ただタイムトラベルものとしては、タイムパラドックスも発生せず、タイムトラベル手法についても今一つはっきりしないため、時間系のSFとしては少々物足りなさを感じてしまうだろう。まあ忍者を未来人に置き換えた『伊賀の影丸』だと思って読めば、かなりのめり込めるかもしれないね。

評:蔵研人

イエスのビデオ 3

著者:アンドレアス・エシュバッハ  翻訳:平井吉夫

 イスラエルの遺跡発掘で、2000年前の人骨と一緒にビデオカメラの取扱説明書が発見される。だがそれがソニー製のビデオカメラの取扱説明書だと明かしてくれるまでに、約60頁も退屈な前置きを読まされるのだ。
 出だしからこの調子だから、物語のテンポは甚だ良くない。何度か途中で投げようかと思ったが、そもそも翻訳モノは序盤の我慢が必要なのだ。そう自分に言い聞かせながら、とうとう上巻のラストに近づいてしまった。

 さすがにこの辺りになると、やっとボルテージが高まってくる。それにしても長いおあずけを食らったものだ。やっとストーリーに変化が現れて、暫くはむさぼるように読んだが、ビデオの存在はいまだ行方不明のままなのである。
 思いがけない場所で、やっとビデオを見つけ、それを確認するのが下巻の276頁あたり。しかしビデオに写された映像は、まだまだ観ることが出来ない。どうしてこれほどひっぱる必要があるのだろうか。

 やっとラスト近くになってビデオ映像が判明するのだが、ここはかなり感動するところである。そしてラストのドンデン返し。この終盤の構成は驚くほど巧みだ。この上下約800頁の長編小説は、まるでこのラスト前のわずか8頁のために存在しているといっても過言ではない。
 この小説を読むに当たっては、SFとかタイムトラべルを期待しないほうがよいだろう。むしろ冒険アドべンチャーとか、ミステリー好きの人にお勧めである。そしてまさに映画向きな作品といえよう。
 ・・・と考えていたのだが、なんと2003年に『サイン・オブ・ゴッド』というタイトルで映画化されているではないか。のちにこの映画をDVDで観たのだが、今一つの完成度であり「映画向けの作品」と吹聴してしまったことを後悔している今日この頃である。

評:蔵研人

バブルヘGO!!~タイムマシンはドラム式~4

製作:2006年 日本 上映時間:116分 監督:馬場康夫 主演:阿部寛

 1990年のバブル崩壊を阻止するため、洗濯機型のタイムマシンに乗って、17年前の東京にタイムスリップするというSFコメディー。
 バブル全盛期のディスコやワンレン・ボディコンなど懐かしい映像が楽しめるが、いささか極端な描き方をしている。ギャング達とのおマヌケなアクションには興ざめしたが、全搬的に楽しい映画だった。

 広末涼子の芸者姿は、いやに色ぽいね。もともと瓜ざね顔なので和服と日本髪が良く似合う。今後は時代劇に出演してみたらどうだろう。
 阿部寛のメイクは上出来で、17年間の顔と雰囲気の使い分けが見事だった。思わずバック・トウ・ザ・フューチャーの、父親役のメイクを思い出してしまった。邦画のメイク技術も進歩したものである。

 一番印象に残ったシーンは、ディスコシーンではなく、建造中のレインボーブリッジを見上げながらの、東京湾クルーズである。船内で踊り狂う若者達を尻目に、突然現代のステップで踊り出す広末涼子。それを見た若者達が一瞬ハッとして、全員踊るのを止めてしまうシーン。あの一瞬の空気感は何とも言えなかったね。
 タイムマシンものとしては、突込み所も多いが、バブル時代のファッションや芸能人達、街の風景や流行などなど、懐か楽しい雰囲気が盛り沢山である。余り深く考えずに、バブルに戻って楽しもうじゃないか。

評:蔵研人

君の名残を5

著者:浅倉卓弥

 本作はタイムスリップというSFアイテムを使った「歴史小説」であるが、このタイトルからは全くその内容を想像出来ないよね。また著者は10年間に亘って本作の構想を暖めていたという。そして本作を書きたいがために小説家になったらしい。だからこの作品を読んでいると、その確固たる情熱がヒシヒシと伝わってくる。

 著者の『平家物語』 に対する造詣の深さには、ただただ感心するばかりだが、ことに「木曽義仲」に対するラブコールは強烈である。まるで著者こそが「巴御前」の化身であるかの如く義仲にのめり込んでいた。
 この物語の舞台は、平家の衰退と源氏の台頭する時代にある。そしてその時代を確立させるために、なくてはならなかった三人の人物を、未来から呼び寄せるのだ。 

 タイムスリップさせるパワーの源は、『神』としか考えようがないが、この小説の中ではそれを『時』と呼ぶ。タイムスリップしてくるのは、白石友恵こと「巴御前」のほか、原口武蔵の「武蔵坊弁慶」、北村志郎の「北条義時」である。
 この三人はもとの世界では、仲の良い友人だったりと縁の深い関係なのだが、過去の世界では敵対する関係に転換してしまう皮肉な定めなのだ。そしてそれぞれが、異邦人でなければ成し得ない歴史上の役割を担うのである。

 巴御前は木曽義仲の妻として、彼に剣道の指導をしながら命がけで彼を守る。そして義仲ともども、平家を京都から追い払う。武蔵坊弁慶はやはり源義経に剣道の技術を授け、平家を壇の浦にて滅ぼす役割だ。
 つまりこの二人の活躍により平家が滅亡し、源頼朝が天下をとることが可能になるわけである。さらには朝廷に対する恐れを全く持たない北条義時こそが、「鎌倉幕府」という盤石の組織を作り上げてゆく。

 これは定められた歴史の一幕であり、何人もこの事実を揺るがすことは出来ない。だからこそ過去を知る友恵や武蔵ですら、結局はその大きな流れに逆らうことは不可能だったのである。
 それにしても流石に、満を持して書き込んだお話だけに、もの凄い迫力であった。ところどころに脚色が見えるものの、結局は全てが見事に歴史にリンクしてゆく。

 また著者自身が白状している通り、手塚治虫の『火の鳥』での死生感も併せて描き切っている。それはこのお話の狂言まわし「覚明法師」の容貌や、その不幸な生い立ちが猿田彦にそっくりなこと。平清盛の狂態や後白河法皇の悪役ぶりが、まさに火の鳥での描き方と同一であることでも判る。
 この長い小説を読み終って、なにかホットするような、心が解き放たれるような、不思議な充足感が得られた。SF好きな人にも、歴史好きな人にも、映画好きの人にも自信を持ってお薦め出来る。会心の一遍であることは間違いないだろう。

評:蔵研人

椿山課長の七日間5

製作:2006年 日本 上映時間:118分 監督:河野圭太 主演:西田敏行

 「いや~映画ってほんとにいいですね!」と思わず叫びたくなるほど超・面白い映画だった。ジャンルは珍しいファンタジックコメディといったところだろうか。
 デパートに勤務する椿山課長は、仕事中に突然死してしまう。だが天国に行く前に、初七日まで地上に戻ることを許される。そしてそこで、今まで知らなかったことが、次々と解明されてゆくのである。

 ところで彼が地上に戻ると、絶世の美女に変身していたのである。天国の使者曰く、全く正反対の姿に変身させたというのだ。この椿山課長にブクブクの西田敏行、変身後のスレンダーな美女に伊藤美咲とくれば納得、そして大笑い間違いなし。
 原作はここのところ映画づいてきた「浅田次郎」なのだが、因みに私はまだこの小説を読んでいない。
 さて、西田敏行と伊藤美咲という、美女と野獣のような組合せが、意外と良かったね。それに美女の伊藤美咲は、シリアスな役よりコミカルな役のほうが向いているようだ。

 また蓮子役の志田未来もなかなか可愛いい。彼女も死ぬ前は、少年だったのだが、蘇ると少女になってしまうのだ。
 施設で育った彼女(彼)は、実の父母に会いに行く。ここから先はネタバレになるので、詳しくは書かないでおこう。ただ例え姿形が変わっても、我子を見分ける母性愛に感動してしまった。
 あと椿山課長の同僚で、元カノジョの知子を演じた余貴美子が良い。彼女は目尻が下ったほのぼのフェイスで、私の好きなタイプの女性である。だから真実を知ったら、余計に切なくなってしまった。

 この作品のテーマは、生きているときは判らないことが沢山あるということだろうか・・・。人生には、知らないほうが良いこともある。だが椿山課長にとっては、真実を知って本当に良かったのではないかと思った。
 館内は笑いが絶えなかったが、時々すすり泣く声も聞こえた。またラストシーンも清々しく、こうした作品にありがちな後味の悪さは全くなかったね。久し振りに本当に映画らしい邦画にめぐり逢った気がしたものである。ただもうひと捻りがあると、100点満点だったのだが・・・。

評:蔵研人

神はサイコロを振らない4

著者:大下英司

 10年前に宮崎空港を飛び立ったまま消息不明になっていたYS-11機と乗客68人が、突然羽田空港に戻って来たからさあ大変!。
 実は10年前にマイクロブラックホールに吸い込まれ、10年の時空を超えて再び地上に降り立ったのだと言う。たちまちこの大ニュースは、世界中を激震することになってしまうのだった。

 ただこの事態を予測していた天才加藤教授によると、生還したYS-11機もろとも乗客全員が、3日後に再び消失してしまうというのだ。教授の理論が正しいのか、はたまた別の奇跡が起こるのか。
 『この胸いっぱいの愛を』と似たような展開だが、こららのほうが圧倒的にスケールが大きい。なにせ主な乗客・乗務員達の生還後のストーリーをパラレルに描いてゆくのだから・・・。

 著者の大下英司は、航空機に造詣が深く著書には戦記物が多い。だからメカニカルな説明も多く退屈な部分がある反面、説得力と迫真力が感じられる。
 タイトルの『神はサイコロを振らない』の由来は、アインシュタインが「偶然」を要素とする当時の量子力学を皮肉った言葉のようだ。
 日本の小説には珍しく、巻頭に登場人物の名前と特長が記されていたが、あとでそれがかなり役立つことになった。それだけ登場人物が多くて、名前とそのバックボーンを覚えることが大変なのである。
 またそれが、この作品の評価を分けることになるのだろう。スケールが大きくいろいろなサイドストーリーを楽しみたい人にはお薦めだが、心理描写や感情移入を楽しみたい人には、少し退屈で物足りないかもしれない。

 
 なお2006年に本作を原作とした連続TVドラマが放映されており、原作小説よりも評判が良いので、興味の湧いた方はDVDをレンタルしてみてはいかがであろうか。

評:蔵研人

恋はデジャ・ブ5

製作:1993年 米国 上映時間:101分 監督:ハロルド・ライミス

 私の「生涯べストシネマ」のうちの1本である。最近レンタルアップしたビデオテープを購入し、約20年振りに改めて鑑賞してみた。この作品を観るのはこれで4回目だが、飽きない、陳腐化しない、何度観てもワクワクして爽やかである。
 主演はビル・マーレイと私の憧れの君、「アンディ・マクダウェル」である。まあそれだけでも嬉しくなるのだが、ストーリーがとても面白いのだ。
 ビル・マーレイ扮する、イヤミで自己中な天気予報士フィルは、とある田舎町の聖燭節を取材に、アンディ・マクダウェル扮する美人プロデューサーのリタと同行する。

 ところが急に大雪になり、町から出られなくなってしまうのだ。そして翌朝ホテルで目覚めると、「昨日」に逆戻りしているではないか。しかもその状況が毎日毎日、エンドレスに繰り返されるのであった。
 フィルはこの退屈な繰り返しを、女性をくどいたり、悪ふざけをして楽しむことにした。やがてそれらに飽きた彼は、美人だが真面目でお堅い、リタを口説くことに専念する。
 彼女の好みを毎日調べあげて、手を変え品を変えアタックするのだが、あと一歩というところで巧くいかない。さてさて二人が、それからどうなるのかは、観てのお楽しみ!

 ・・・といった展開のラブコメであり、最後まで画面から目が離せなかった。
 ただ中盤、フィルが何度も生き返るシーンだけは、ちょっとしつこ過ぎるかな。一番のハイライトは、彼がけなげに何度もピアノレッスンに通って、パーティーで実力を発揮するシーンだね。
 本当にあれは良かった。最初は何故レッスンを受けているのか理解出来なかったが、後で「なるほどそんな遠大な計画だったのだ!」と感心しちゃったね。そして感動の余り、思わず涙ぐんでしまった。
 僕がアンディ・マクダウェルにメロメロになったのは、実はこの映画がきっかけなのである。

評:蔵研人

さよならの代わりに3

著者:貫井徳郎

 なんと綿密で用意周到なストーリーなのだろうか。ミステリーなのかSFなのか、最後の最後まで明かさないところがなかなか憎いね~。
 劇団『うさぎの眼』の一員である主人公和希は、未来からタイムスリップして来たと言い張る祐里とつき合ううちに、ある殺人事件に巻き込まれてしまう。
 この殺人事件の犯人が、なかなか判らない。終盤になって犯人が解明されると、なんだと思うくらい当たり前の人物が犯人だった。普通ならこいつが犯人だと思わせて、実は全く思いがけない人物が犯人だったりするものだが、このあっさりし過ぎた展開は、逆に新鮮に感じるから面白いものだ。

 またタイムトラベル中に、インターネット上のフリースペースを使うというアイデアが斬新で見事だったね。おそらく僕の知っている限りでは、初めて登場したタイムトリックである。
 ラストは実に切ない結末であるが、不思議と涙が出てこなかった。『さよならの代わりに』祐里が残した言葉が、明かるい別の未来での再会を暗示しているからであろうか。ヒシヒシと、心に染み込んで琴線に触れるような、しみじみとしたお話だった。

評:蔵研人

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