タイムトラベル 本と映画とマンガ

 本ブログは、タイムトラベルファンのために、タイムトラベルを扱った小説や論文、そして映画やマンガなどを紹介しています。ぜひ気楽に立ち寄って、ご一読ください。

 タイムマシン、タイムトラベル、タイムスリップ、時間ループ、パラレルワールド、時間に関係する作品を収集しています。まだまだ積読だけで読んでいない作品がたくさんあるのですが、順次読破したら本ブログにて感想を発表してゆきますね。

ファウンテン 永遠に続く愛4

製作:2006年 米国 上映時間:97分 監督:ダーレン・アロノフスキー 主演:ヒュー・ジャックマン

 10年以上前に製作された映画だが、ネットではかなり酷評が多く、本作の上映館もかなり少なかった。だから眠くなっても仕方がないと覚悟して劇場に入ったのだが、予想に反してかなり素晴しい作品であった。そのことを裏付けるが如く最終日にもかかわらず、当時の銀座テアトルでは座席の半数以上が埋まっていたことを記憶している。

 テ一マは生と死と愛。既に語り尽くされたテーマだが、人間にとっては永久に解けない命題でもある。
 時空を超えて三つの世界を生きる主人公。そしてファンタジックに輝く美しい映像。それは最愛の妻が書き残した物語なのか、それとも主人公の精神世界なのだろうか。

 ファウンテンとは、聖書に記された「生命の泉」のことである。癌に冒された妻を救うため、必死になってそれを探す主人公。一方妻のほうは、死を受け入れる決心を固め、書き残した最終章の完成だけを夫に託すのだった。

 究極的には生も死も超越し、「人と自然と宇宙」がひとつに融合するのだろうか。あるいは死こそ本来の生への入口なのか。そんなことを示唆するような作品で、改めて人の進むベく道を考えさせられた。
 そして何といっても、ヒュー・ジャックマンとレイチェル・ワイズの熱演が、ジンジンと観る側の心に響いてくるのだ。この映画は観る人によって感じることが、だいぶ異なるかもしれない。だが私にとっては、忘れていた「何か」を思い出させてくれた名作品であった。

評:蔵研人

ねじの回転4

著者:恩田陸

 恩田陸の文章は、どことなく小麦紛とバターの香りがする。だから翻訳小説のような、お洒落な雰囲気が漂う。また2.26事件という語り尽くされた題材を扱いながらも、全く斬新さを失っていない。
 2.26事件を背景に、同じくタイムスリップするお話として、宮部みゆきの『蒲生邸事件』がある。こちらはどちらかというと、タイムスリップという手法を持いたミステリーといった趣だ。

 一方本作のほうは、ハードな部分は「シンデレラの靴」とか「懐中連絡機」とか「不一致」とか、耳ざわりの良い言葉を使って回避しているが、ある意味ガチンコのSF小説といってよいだろう。
 また実在した人物三人を主役に据えたり、天皇に対しても触れたりと、かなり生々しい展開に終始する。ただ女性がほとんど登場しないため、ストーリーに暖かさが感じられないのがちょっと寂しい。
 そのためか、『蒲生邸事件』のように感情移入が出来ないが、SF小説としては決して悪くはない。ただストーリーの結未については、もうひと捻りして欲しかったね。

評:蔵研人

死者は黄泉が得る4

著者:西澤保彦

 前半はかなり読み辛い。舞台が米国で固有名詞が憶え難いこともあるが、「死後編」と「生前編」の時間設定が異なることが原因であろう。
 次々とゾンビの館を訪れる女達。彼女達はゾンビ達に殺され、生前の記憶を消去され、ゾンビ達の仲間入りをする。しかしその割には、ゾンビ達は増えるどころか、だんだん減っているような感じなのだ。

 また生前の世界では、美貌の人妻クリスティンを取り巻く人々が、次々と殺害されてゆく。犯人はまるで『13日の金曜日』のジェイソンのような不気味な男のようだ・・・。
 なんだかよく判らないままに、「死後」と「生前」のストーリーがジグザグに進行してゆく。ミステリーとホラーをミックスしたような展開にドキドキするものの、やはり正直言って意味不明なのだ。

 ところが終盤になると、生前の連続殺人の謎が、まるで難解なパズルを解き明かすように一挙に解明される。実に凝りに凝りまくっていて、お見事としか言いようが無いが、さらにその後にも「ドンデン返しの扉」が幾重にも張り巡らされているのだ。
 圧倒的に見事な結末とは言え、前半の出来事の大半は霧のかなたである。それで結局もう一度ページを戻して再確認することになる。まるでメビウスの輪の内側を歩いているうちに、いつの間にか外側に出てしまったような気分である。ただラストの「あれ」は何を意味するのだろうか。

評:蔵研人

デジャヴ4

製作:2006年 米国 上映時間:127分 監督:トニー・スコット 主演:デンゼル・ワシントン

 海兵隊員とその家族達が、続々とフェリーに乗りこんでくる。ミシシピー川でお祭りでもやるのであろうか。女の子がデッキの上から、人形を落としてしまう。可愛そうな人形は、海の中へ吸い込まれしまう。

 やがてフェリーは定刻に出発し、ブラスバンドの奏でる派手なマーチと、カーステレオから流れる古い音楽が重なり合う。そしてクレセント・シティ橋に近づいたとき、突然フェリーが大爆発する。この悲惨なテロ行為により、なんと543名の命が犠牲となってしまうのだった。
 長いオープニングである。その後、捜査員役のデンゼル・ワシントンが登場して、やっと本編が始まるのだから・・・。

 路面電車の走る街に、渋味がかった映像。音楽も効果的だし、ストーリー展開もスピーディーで小気味良い。サイコロジカルなサスペンスが似合いそうだが、実はテクノロジカルなSFだった。
 ストーリーが急展開し、「タイム・ウィンドウ」という、102時間前の過去を写し出す装置が出現する。まるでグーグルアースのように、地図上で場所を指定して、拡大し3D表示してゆく。さらにこのシステムでは、家の中の映像まで覗き見出来てしまうのだ。

 なにか現在の衛星監視システムを思わせるようであり、かなり気味が悪い。実際に我々も、衛星で私生活を覗かれているのだろうか。ただしこのシステムで覗くのは、過去の映像なのである。それがリアルタイムに、まるで現在の出来事の如く写し出されてゆく。
 ところでこれは一種のタイムトラべルであり、なかなか斬新で面白いアイデアではないか。思わずその後の展開に期待してしまったが、メモを過去に送るところから、どこにでもあるタイムマシンに成り下がってしまったのがやや残念だ。

 また可視範囲が限定していることと、ゴーグルの存在には全く説得力がない。たぶんアクションシーンにこだわり、ゴーグルを使ったカーチェイスシーンを挿入するための方便だったのだろう。このサーカスまがいのカーチェイスは、全く必然性がないばかりか、ストーリー全体のバランスを崩してしまった。
 またラストの展開は、思った通り再びあの長いオープニングシーンに繋がる。まさに最初のオープニングで、デジャヴを見たと言えるだろう。
 映画を観ている途中では、なぜラストで犯人がフエリーに戻ったのかが良く判らなかった。あの車を観て戻ったこと。逮捕されたとき、いやに落ち着いて「運命は変えられない」とほざいていたこと。
 もしかして、犯人も別のシステムを使って、未来から跳んできたのだろうか、あるいはデジャヴ能力を持つ超人だったのかもしれない。

評:蔵研人

なぎさの媚薬24

著者:重松清

 悲惨な女性の思い出を秘めて、渋谷の街を歩いていると、伝説の娼婦が現れ、セックスをしながら、男を過去に運ぶという。そして男に、不幸のどん底に沈んだ女を救わせるのだ。
 なんだかマンガのような話を、直木賞作家が大真面目に書き綴る。週刊ポスト誌に連載されたシリーズを、オムニバスにまとめた単行本の二冊目で、「哲也の青春」と「圭の青春」の2作が納められていた。

 どちらも似たような過激な性描写が多く、それが少しくどく感じられる。週刊ポスト誌の要求なのかもしれないが、もう少し控え目に描いたほうが、逆にもっと欲情すると思うのだが・・・。
 どちらかと言えば、僕には「圭の青春」のほうがお気に入りである。この作品では、義姉へのあこがれと郷愁が見事に融合し、心の琴線に熱いものが触れた思いがした。

 一方の「哲也の青春」は、ロックグループという馴染みの薄いテーマのためか、やゝ感情移入し辛かったね。
 ストーリー的には、どちらも良く練り込まれており、直木賞作家の力量をみた思いがする。こんな小説を読んでいると、僕も一人で夜の渋谷を歩いてみたくなってしまった。

評:蔵研人

二百年の子供4

著者:大江健三郎

 ノーべル賞作家「大江健三郎」が書いたとは思えない不思議なタッチの本である。恐らく彼がこのような小説を書くのは、最初で最後になるであろう。
 「二百年の子供」というタイトルは、120年前の過去と80年後の未来をタイムトラベルした3人兄弟の話だからなんだね。これはSFとかファンタジーというよりも、お伽ばなしというほうが似合っているかもしれない。

 三人でシイの木のウロに入って、手を繋いで同じことを念じると、その念じた時代にタイムリープするのだ。本当にタイムトラべルしているのか、はたまた同じ夢を観ているのかは最後まで謎のままである。
 ただ薬やナイフを置いてきたり、手紙や石笛を持ってきたり出来たのだから、夢ではないのだろう。しかし複数で同時に見るリアルな夢が、実はタイムトラベルなのかもしれない、というアイデアは仲々面白いよね。

 兄は知的障害者、兄思いの妹は感情の起伏が激しく、弟は機敏で老成している。とても個性のある兄弟達だが、三人三様で見事にジョイントするのだ。そして妹も弟も、兄のことを「真木さん」呼ぶのもユニークである。
 この小説は、2003年1月から10月まで、読売土曜朝刊に掲載されたジュブナイルである。これより9年前に大江氏は、ノーべル文学賞を受賞し、作家としての締めくくりを迎えたのであろうか。

 この作品では、子供と老人との関わりや、今という時間の大切さを優しく書き綴っている。少年少女向けと言いならがら、なかなか味のあるテーマと文章で紡ぎ込まれてあった。
 読み易いのであっという間に読了してしまう。まだ未読の方は、機会があれば是非読んでみて欲しいね。

評:蔵研人


10ミニッツ・アフター3



製作:2005年 米国 上映時間:87分 監督:デヴィッド・ヴァン・エッセン

 
 世界中の時間を、10分間だけ戻せる携帯用タイムマシンが完成。そしてマシンを奪った銀行強盗を追跡するドタバタSFである。低予算のB級映画だが、アイデア勝負の一発作品といったところか。
 ただタイムマシンを使うのが、序盤の銀行内と、ラストの飛行機内だけというのが大不満である。銀行以降はいつタイムマシンを使うのかと、引っ張りに引っ張り続けて、結局ラストに一回だけとはね・・・。

 これではインチキ見世物小屋に、騙されて入ったようなものである。中途半端なアクションはどうでもいいから、もっとB級に徹して、タイムマシンでいろいろいたずらして欲しかったんだが。
 この映画、なんだかこのラストシーンのためにだけあるような感じだ。これでは観客の心を掴めるはずはないよね。
 たまたま僕の好きなテーマで、アイデアが面白かったので、エコヒイキして★ひとつ大おまけである。もう少しストーリーを捻って、続編を創ってくれないかなあ。

評:蔵研人


時の行者 全三巻4

作者:横山光輝

 戦国時代末期から江戸時代中期にかけて、10年ごとに変らない風貌で現れる謎の少年。この少年は未来からのタイムトラベラーで、その目的はなかなか明かされないのだが、ラスト間近になってやっと明確にされる。
 少年は高熱線銃やバリヤー発生装置を身に着けているため刀や鉄砲などが通じず、昔の人々にはまるで超能力を駆使する行者に見えてしまう。ただ反撃を行う際には、一時的にバリアーを解除しなくてはならないし、長時間バリアーを張っていると窒息するという弱点がある。そのため二度不覚を取ってしまい、捕まって拷問にかけられてしまう。

 主な登場人物は、織田信長、豊臣秀吉、石田三成、後藤又兵衛、徳川家康、本多正純、徳川忠長、天草四郎、由井正雪、堀田正信、徳川吉宗、天英院、徳川吉通、大岡越前、紀伊国屋文左衛門、徳川宗春、徳川家重など錚々たる歴史上の人物が多い。また関ヶ原の戦い、大坂の役、宇都宮釣り天井事件、島原の乱、生類憐みの令、享保の改革、天一坊事件、宝暦の一揆などなど歴史上の重大事件を扱っているので、歴史入門書としても役に立つかもしれない。
 ただタイムトラベルものとしては、タイムパラドックスも発生せず、タイムトラベル手法についても今一つはっきりしないため、時間系のSFとしては少々物足りなさを感じてしまうだろう。まあ忍者を未来人に置き換えた『伊賀の影丸』だと思って読めば、かなりのめり込めるかもしれないね。

評:蔵研人

イエスのビデオ 3

著者:アンドレアス・エシュバッハ  翻訳:平井吉夫

 イスラエルの遺跡発掘で、2000年前の人骨と一緒にビデオカメラの取扱説明書が発見される。だがそれがソニー製のビデオカメラの取扱説明書だと明かしてくれるまでに、約60頁も退屈な前置きを読まされるのだ。
 出だしからこの調子だから、物語のテンポは甚だ良くない。何度か途中で投げようかと思ったが、そもそも翻訳モノは序盤の我慢が必要なのだ。そう自分に言い聞かせながら、とうとう上巻のラストに近づいてしまった。

 さすがにこの辺りになると、やっとボルテージが高まってくる。それにしても長いおあずけを食らったものだ。やっとストーリーに変化が現れて、暫くはむさぼるように読んだが、ビデオの存在はいまだ行方不明のままなのである。
 思いがけない場所で、やっとビデオを見つけ、それを確認するのが下巻の276頁あたり。しかしビデオに写された映像は、まだまだ観ることが出来ない。どうしてこれほどひっぱる必要があるのだろうか。

 やっとラスト近くになってビデオ映像が判明するのだが、ここはかなり感動するところである。そしてラストのドンデン返し。この終盤の構成は驚くほど巧みだ。この上下約800頁の長編小説は、まるでこのラスト前のわずか8頁のために存在しているといっても過言ではない。
 この小説を読むに当たっては、SFとかタイムトラべルを期待しないほうがよいだろう。むしろ冒険アドべンチャーとか、ミステリー好きの人にお勧めである。そしてまさに映画向きな作品といえよう。
 ・・・と考えていたのだが、なんと2003年に『サイン・オブ・ゴッド』というタイトルで映画化されているではないか。のちにこの映画をDVDで観たのだが、今一つの完成度であり「映画向けの作品」と吹聴してしまったことを後悔している今日この頃である。

評:蔵研人

バブルヘGO!!~タイムマシンはドラム式~4

製作:2006年 日本 上映時間:116分 監督:馬場康夫 主演:阿部寛

 1990年のバブル崩壊を阻止するため、洗濯機型のタイムマシンに乗って、17年前の東京にタイムスリップするというSFコメディー。
 バブル全盛期のディスコやワンレン・ボディコンなど懐かしい映像が楽しめるが、いささか極端な描き方をしている。ギャング達とのおマヌケなアクションには興ざめしたが、全搬的に楽しい映画だった。

 広末涼子の芸者姿は、いやに色ぽいね。もともと瓜ざね顔なので和服と日本髪が良く似合う。今後は時代劇に出演してみたらどうだろう。
 阿部寛のメイクは上出来で、17年間の顔と雰囲気の使い分けが見事だった。思わずバック・トウ・ザ・フューチャーの、父親役のメイクを思い出してしまった。邦画のメイク技術も進歩したものである。

 一番印象に残ったシーンは、ディスコシーンではなく、建造中のレインボーブリッジを見上げながらの、東京湾クルーズである。船内で踊り狂う若者達を尻目に、突然現代のステップで踊り出す広末涼子。それを見た若者達が一瞬ハッとして、全員踊るのを止めてしまうシーン。あの一瞬の空気感は何とも言えなかったね。
 タイムマシンものとしては、突込み所も多いが、バブル時代のファッションや芸能人達、街の風景や流行などなど、懐か楽しい雰囲気が盛り沢山である。余り深く考えずに、バブルに戻って楽しもうじゃないか。

評:蔵研人

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