タイムトラベル 本と映画とマンガ

 本ブログは、タイムトラベルファンのために、タイムトラベルを扱った小説や論文、そして映画やマンガなどを紹介しています。ぜひ気楽に立ち寄って、ご一読ください。

 タイムマシン、タイムトラベル、タイムスリップ、時間ループ、パラレルワールド、時間に関係する作品を収集しています。まだまだ積読だけで読んでいない作品がたくさんあるのですが、順次読破したら本ブログにて感想を発表してゆきますね。

タイム・ジャンパー3

製作:2008年 ロシア 上映時間:116分 監督:アンドレイ・マリュコフ

 珍しいロシア映画であるが、ポスターが米国映画『ジャンパー』をパクリまくっているのはいかがなものか。『ジャンパー』は、テレポート能力を身につけた青年のお話。この作品は、現代から第二次大戦中にタイムスリップする話だが、タイムスリップは小道具として利用しているだけの「戦争映画」である。

 従ってタイムパラドックスなどを期待すると、カタルシスが得られない。だがそのことは別にして、ストーリーはなかなか面白いし、戦闘シーンもリアルで迫力がある。
 ネオナチや戦争崇拝、拝金主義と自己中心的な若者たちが、もし本当の戦争を体験すれば、愛国心を取り戻し、きっと今迄の浅はかな行動を反省するに違いない。…と言いたかったのだろう。現代ロシアが抱える悩みの一つを垣間見た気がする。

評:蔵研人

リセット5

著者:垣谷美雨

 北村薫の同名小説とはかなり趣きが異なり、ズバッと本音で切り込んでくるので、なかなか説得力があり、小説の中にぐいぐいと引き込まれてしまう。最近読んだ小説の中では抜群の面白さを感じた。
 ストーリーのほうは、高校の同期会に遅れた三人のおばさん達が、不思議なレストランの中で、三人揃って30年前にタイムスリップするところから始まる。

 三人の身分は、専業主婦の知子、キャリアウーマンの薫、苦界に身を落とした晴美である。それぞれが現状に大いなる不満を抱いており、人生をもう一度やり直せたらと願っていたのだ。
 三人の中で一番の美貌を誇る知子の不満は、高校時代のイケメン同級生と結婚したため、専業主婦となってしまい、あこがれの女優になれなかったこと。それでも理解のある夫なら、ある程度の許容範囲に収まっただろう。だが自分本位で、意地の悪い舅・姑の世話まで押しつけて、知らん顔をしている夫が許せないのである。

 長身で男性顔負けに仕事をこなし、一見充実したキャリアウーマンライフを送っているかのように見える薫も、実は男性中心の社会に不満ダラダラなのだ。
 そして男に騙されて妊娠し、高校を中退してからというもの、荒さんだ生活を続け、身も心もズタズタになったまま、独身の貧困生活にあえいでいる晴実。彼女こそ不満がないはずがない。
 そして同時に意識が高校時代に戻ってゆく三人。彼女たちは、記憶のかなたにあった30年前の世界と、現実の30年前とのギャップの大きさに驚きながらも、今度こそはと新しい人生を必死でやり直すのである。

 結果は読んでのお楽しみだが、人生の面白さと難しさ、人間の優しさと我がままさが交叉していてなかなか考えさせられる。また女性たちの赤裸々な告白も実に歯切れよい。
 努力や運によって人生インフラの中味を大きく変えることは可能だ。しかし自分自身の価値観なり生活態度が変わらない限り、本当の満足感は得られないということである。
 この小説の著者である垣谷美雨は50歳前後で、主役の三人の年令とほぼ重っている。著者も実生活でいろいろ苦労したのであろう。この小説を書くには、そうした人生経験が必要であるが、一方読む側にもある程度の人生経験がなくては共感出来ないかもしれない。

評:蔵研人

タイムトリッパー 幻遊伝2

製作:2006年 日本、台湾 上映時間:102分 監督:チェン・イーウェン 主演:田中麗奈

 珍しい日本と台湾の合作映画。主演は田中麗奈で、その父親役に大杉漣がキャスティングされている。
 台湾で漢方薬局を営む父と二人暮しをしている小蝶は、日本へ帰ることばかり主張し、いつも父に反抗的でわがままな娘だ。
 ある夜に、友達と忍び込んだ屋敷で、突然体が二人に分裂し、一方の体が過去の世界へタイムスリップしてしまう。そこで瓜二つの女義賊と間違えられるのだった。

 そこで彼女は、脱獄した二人組の若者と、キョンシー二体を操る道士と知り合い冒険の旅を続けるのだ。現代に取り残されたもう一方の体は、眠ったまま動かず、父親が心配して見守っている。
 果たして彼女は現代の世界に戻って来ることが出来るのか。彼女が元に戻るには、過去と現代で同時に同じ呪文を唱えなくてはならないのだ。

 タイムスリップすること自体に意味があるのか疑問な作品。またアクションシーンも地味だし、ラストの捻り技もない。見所は中国語で喋る田中麗奈だけかな・・・。田中麗奈ファンにならお勧め出来るが、今一つ乗りの良くない映画である。

評:蔵研人

陽だまりの彼女4

著者:越谷オサム

 広告会社に勤務する奥田浩介は、クライアントの担当者との顔合わせで、偶然にも中学の幼馴染である真緒と10年振りで再会する。
 中学時代は少し頭の足りない少女だった真緒は、バリバリ仕事をこなす立派社会人に成長していた。大変身した真緒を目の当たりにした浩介は、次第に惹かれてゆき、ついには彼女の虜になってゆく。

 最初から最後まで、これでもかと言わんばかりの甘いムードと、イチャイチャの連続に、読んでいるほうが恥かしくなってしまう。だが主人公同様読者のほうも、少しずつ彼女の謎めいた行動が気になってくる。
 裸で町を歩いていたという少女時代の噂。里親に引取られる前の中学以前の記憶が全くないこと。あれほど低能だったのに、東大をめざすほど優秀になったこと。などなどまた浩介と結婚した後も、次々と不可解な行動をする真諸…。

 一体彼女は何者なのだろうか。異星人なのか、タイムトラべラーなのか、それとも何か特別な事情があるのか。中盤くらいまでは彼女の正体と、この小説の括り方に大いに興味を持った。

 だが結局は『鶴の恩返し』だったのだ。表紙をみればすぐ判るし、タイトルもそのことを示唆している。これでは余りにも素直過ぎるじゃないの、もう少し捻りの効いたエンディングを期待していたのにね。
 でも恋する嬉しさ、楽しさ、切なさ、哀しさがひしひしと伝わってくる、青春時代が甦る心温まるお話であることは確かである。このお話を読んだ読者は、きっと妻や恋人が愛しくなるはずである。

評:蔵研人

アインシュタインガール2

製作:2005年日本 上映時間:82分 監督:及川中

 大層なタイトルの割にはお気楽でマンガチックな作品である。主な出演者は、岩佐真悠子、小松愛、福士誠治といったところ。ことに主演の岩佐真悠子の我がまま振りが、演技というより地のままのようで、まさにはまり役であった。

 ユー力リが丘に住む女子高生の今西薫が、通学途上のモノレールの中で、1年前の世界へタイムスリップするお話である。またそれは母親が交通事故死する二日前の世界でもあった。
 二日後の母の死を阻止するため、薫は事故現場に向かうのだが、そこにはタイムスリップする前に何度か見かけた「髪の長い少女」が現われるのだった。この少女の顔はハッキリせず、なんとなく不気味なのだ・・・。

 SF、ホラー、学園ドラマをごちゃまぜにし、テーマの定まらない、訳の判らない作品に仕上げたスタッフたちの罪は大きいよな。またラストに「つづく」と表示されていたのも、全く意味不明である。

評:蔵研人

EVENT162

製作:2006年 ニュージーランド 上映時間:80分 監督:デレック・ピーアソン

 なんだか米国TVドラマシリーズのようなタイトルだが、れっきとしたニュージランドの完結作品である。評判の悪い作品であることは承知していたが、テーマが私の好きなタイムトラベルなので、見逃す訳にはゆかないのだ。

 オープニングで、三菱パジェロが掘りだされるシーンが飛び込んでくる。この理由は中盤に明かされるが、とにかく驚いたよね。つまり三菱自動車がスポンサーなのであろう。

 低予算映画ではあるが、セピア色の過去の世界はなかなか趣きがあった。ただタイムパラドックスには、余り期待しないほうが良いだろう。それから、腕輪をすることにより顔を変えられるという設定に至っては、もうハチャメチャである。分身の術よろしく三人の同一人物が、同画面に一斉に現われたり、未来の自分だったり、全く訳がわからない。
 観ていて退屈はしないが、ストーリー展開も演出も、まるで思い付きのようで、知らぬ間に終ってしまったという感じである。

評:蔵研人

TIME CRIMES4

製作:2007年 スペイン 上映時間:88分 監督:ナチョ・ビガロンド

 登場人物がたった4人という、超低予算のスペイン映画で、日本の劇場では未公開なのだが、なかなかアイデアが面白く見応えがあった。
 邦画で『サマータイムマシンブルース』という珍品があったが、似たような味わいがある。流石にプロの目は鋭く、すでにD・クローネンバーグ監督によるハリウッド版のリメイクも決定しているという。

 スト一リーはいたってシンプル…郊外に引っ越してきた小太りオヤジが、二階の窓から向かいの森を双眼鏡で覗くと、裸の美少女が写るのである。気になって仕方がないオヤジは、妻が外出するのを待って森の中に入ってゆく。
 そして森の中でスッポンポンの少女を見つけて近づくと、いきなりピンクの包帯を卷いた怪しい男に襲われるのだ。驚いたオヤジは必死で森の奥にある研究所に逃げ込む。

 そして研究員に言われるまま、白いマシンの中に身を隠すのである。このマシンこそ研究中のタイムマシンで、オヤジは1時間前の過去へ戻されてしまうのだ。
 このあと過去の自分を発見し、何度か同じことを繰り返すうち、今まで謎だった出来事が、序々に解明されてゆくのである。ストーリー自体はシンプルなのだが、自分が何人も登場したり、メビウスの輪のように捻れた構成なので、よく観ていないと意味が判らなくなるので注意しよう。

 それにしても、この精密なパズルのような作品をよく考えたものである。また主人公のオヤジのとぼけた行動が、なかなかいい味を出していたと思う。

評:蔵研人

ホワイトクリスマス 恋しくて、逢いたくて3

製作:1999年 韓国 上映時間:100分 監督:ソン・ヘソン

 原題は『カラー』なのだが、日本では花の名前を連想しないため、『ホワイトクリスマス』というありふれた邦題に変更したのだろう。『カラー』とは「歓喜、熱血、純潔」などの花言葉を持つアフリカ原産の清楚な花の名前だという。本作では主人公のキム・ソヌクのデスクに、謎の女性から毎朝届けられる花の名前でもある。

 オープニング…、イヴの夜にホテルのラウンジで女性が人質にされ、それをキム・ソヌクが助けようと必死で駈けつけるシーンで始まる。女性はソヌクと待ち合わせをしていた花屋のジヒであった。
 ジヒがどうなったかも明かさないまま、その後すぐに3年後のイヴの前日に話が飛んでしまう。そしてすぐに、3年前にソヌクがバスの中で、涙を流すジヒに一目ぼれしたシーンへと移るのだ。
 その後約30分間位、過去の回想シーンが続き、またオープニングの人質シーンへと戻る。そこで初めてジヒが殺されたことが判り、ソヌクは悲しみにくれる。

 そしてまたまた3年後に戻り、思い出のラウンジからエレべーターに乗るソヌク…。そこで「あの日をやり直し、彼女ともう一度逢いたい」と強く念じる。するとエレべーターが、一瞬6階から7階へ戻り、また6階に戻って静止するのだ。暫くして扉が開くのだが、そこは3年前の世界だった。
 この辺りまでは、過去と現在を頻繁に往復するため、一度観ただけでは何が何だかさっぱり判らない。従って映画館で観るより、DVDで観たほうがよいだろう。

 3年前の世界に戻ったソヌクは、ジヒを救うためにあらゆる手を尽くすのだが、なかなか思うように進展しない…。このあとジヒの同僚スジンの回想により、いままで不明だった物語の全貌が解明される。
 SFとラブストーリーとミステリーをミックスしたような作品で、なかなか凝った筋立てになっている。映像は美しいし、ロマンチックで切ない音楽にも、うっとりさせられてしまう。

 ただタイムトラべルに関しての検証が甘過ぎる。3年前に戻ったのは、ソヌクの意志だけなのか、それとも身体ごと戻ったのかはっきりしない。身体ごと戻ったのなら、3年前の自分と遭遇しないのはおかしいし、意志だけなら香港への出張命令がないのも変である。

 またストーリー展開からも、タイムトラべルものに仕立てる必要もなかったと思う。とにかくあれだけ回想シーンが多いのだから、そもそもタイムトラべルという技法は不要ではないだろうか。
 キム・ソヌク役のソン・スンホンは、本作が映画デビュー作の新人で、その甘いマスクは女性を虜にしそうである。だがさすがに演技のほうにも、あどけなさが漂うのは仕方ないか。

評:蔵研人


時空を超えて4

著者:亜沙木るか

 フランスのギヨーム・ミュッソが書いた同名小説とは全く別物で、本作は亜沙木るかが書くイラストを多用した講談社X文庫である。当然ながら、ティーンズ向けの「学園SFラブストーリー」といった風味だ。読み始めたときは、多少バカにしていたのだが、これが結構面白い。そして読み易いので、通勤の行き帰りで、あっという間に読破してしまった。

 彩木学園高校に入学した主人公の千尋は、部長の河世先輩に憧れて、全く興味のない「オカルト研」に入部してしまう。そして自分から河世に告ってつき合い始めるのだが、ひょんなことから未来にタイムスリップし、河世が事故で死んでしまう事を知る。これを阻止するため、千尋は今度は過去へ跳ぶ。

 タイムパラドックスが生じるため、過去は絶対変えられないとする理論が主流であるが、パラレルワールドの存在を認めることにより、過去は変えられるとする理論もある。
 では本作はどちらに属するのか。だがそれを明かしてしまうとネタバレになるので、そこは読んでのお楽しみということにしたい。楽しくちょぴり切ないお話が好きな女性に、是非お勧めしたい作品である。

評:蔵研人

ステップ4

著者:香納 諒一

 西澤保彦の『7回死んだ男』というミステリーがあるが、本書では主人公の斎木章が10回も死ぬのだ。基本はSFミステリーだと思うのだが、どちらかというとハードボイルドタッチでもある。
 死んでしまうと、また過去に戻ってやり直しが出来るのだが、何時間前に戻るのか判らないうえに、だんだん過去に戻る時間が短かくなってゆくのだ。従って取り戻せない失敗も発生してしまう。それがこの繰り返し小説を、飽きずに読ませる仕組みなのだろう。

 過去への繰返しを描いた小説の代表は、ケン・グリム・ウッドの『リプレイ』と、北村薫の『ターン』であろう。また映画では、何といってもビル・マーレーとアンディ・マクドウェルの『恋はデジャ・ヴ』の右に出るものはないだろう。
 ただ本作のようなハードボイルド系の繰返し作品は初めてであり、非常に楽しく読ませてもらった。また緻密に計算され尽されたスト一リー展開も見事である。

 だがやはり、10回もミスを犯して死んでしまう主人公にはイライラが募る。なんだかしつこい気もする。それに、せっかく美女が二人も登場するのに、濡れ場が全くないのも淋しいじゃないの・・・。
 繰返しのほうは10回ではなく、せめて5~6回位で十分である。もしかして、西澤保彦の「7回」に張り合って、10回に引き伸ばした訳ではないだろうな。

評:蔵研人

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