タイムトラベル 本と映画とマンガ

 本ブログは、タイムトラベルファンのために、タイムトラベルを扱った小説や論文、そして映画やマンガなどを紹介しています。ぜひ気楽に立ち寄って、ご一読ください。

未来

トゥモロー・ウォー

トゥモロー・ウォー

★★★☆
製作:2021年 米国 上映時間:138分 監督:クリス・マッケイ

 ある日突然、2051年からやってきた未来人たちが、人類は30年後に未知の生物と戦争になり、やがて敗北するという衝撃の事実を告げる。そして人類が生き残るためには、現代から兵士を未来に送り込み、戦いに参加するしかないのだと言う。
 それで全世界が一丸となり、次々と戦闘員を送り込むのだが、生還できるものは3割に満たなかった。だが地球と愛する子供たちを守るため、一般人たちも招集されることになる。
 元軍人で現在は高校教師をしている主人公のダンも、7日間の兵役を命じられ未来へと旅立つのだが、そこで司令官を務めていたのは、なんと自分の娘ミューリであった。さらに彼女は強力な未知の生物ホワイトスパイクのメスを倒せる毒物の研究もしていたのである。

 とにかく壮大なストーリーであり、ホワイトスパイクの造形もなかなか素晴らしい。ただ全世界が一丸となっているという割には、現代から送られてゆく戦士たちの人数が少ないし、ド素人過ぎてほとんど役に立たないところがショボイ。それはラストも同様で、全世界どころか米国軍自体も消極的で、個人レベルの探検隊しか組織できないと言うのも情けなさ過ぎる。なんとなく超大作とB級が混在したような微妙な作品ではあったが、ハラハラドキドキ感が半端ではなく、かなり楽しませてくれることも間違いないだろう。

 
評:蔵研人

パスト&フューチャー 未来への警告3

製作:2018年 スペイン 上映時間:92分 監督:ダニエル・カルパルソロ

 タイトルがなんとなくタイムトラベル風だったので、思わず衝動借りしてしまったのだが、現在と10年後を同時進行で描いたスペイン産のミステリーであった。ではなぜ10年間の時を隔てて、同時進行して描かれなければならないのだろうか。

 それはあるコンビニで、1913年、1955年、1976年、2008年の同じ日に、発砲による殺人事件が発生したからである。これは偶然か呪いなのだろうか。さらにはどの事件も、現場に居合わせた被害者・犯人・目撃者は合計5人で、その年齢構成は、53歳・42歳・32歳・21歳・10歳なのだ。そのパターンを解析した数学者のジョンが出した結論は、『10年後の2018年4月12日に、そのコンビニで10歳の子供が死ぬ』というものだった。
 その因果律を阻止するために、ジョンは必死に動き回るのだが、周囲の人々は彼を異常者扱いするばかり。そして彼の行動は全て空回りして増々悪い方向へと反転してゆくのだった。
 
 一方10年後に殺される予定の子供は、母子家庭のためか、学校でいじめの対象となっている。また母親が過剰に関与してくるため、なかなか独り立ちできない。そして少年は、4月12日にコンビニに行くと殺されるという警告書を発見し、さらに臆病になってしまう。
 ところが母親は、そんな息子を強くしようと、嫌がる少年を無理矢理コンビニへ連れて行くのである。そこへ拳銃を持った強盗が侵入してくるのだが…。

 こうした展開により緊迫感を持たせるため、10年の時を隔てて同時進行風に描いたのであろう。それはそれで良いのだが、どうもジョンの行動に冷静さが全くみられず、まるで麻薬中毒者のように悪夢に襲われる状態にイライラが募ってしまう。また嫌がる少年を強引にコンビニへ引っ張ってゆく母親のしつこさも納得できない。
 ラストの締めくくりが気になるので、それとなく退屈もせず観終わったのだが、なにか余りすっきりしないし、殆ど予測の範囲内で感動もなかったのが非常に残念である。まあ悪い映画ではないのだが、数字ばかりいじくりまわさないで、もっと人間関係の部分を掘り下げて欲しかったね。

評:蔵研人

未来のミライ

★★★☆

製作:2018年 日本 上映時間:98分 監督:細田守
 
 本作は第91回アカデミー賞にノミネートされたアニメーションである。ストーリーは、”くんちゃん”という甘えん坊の小さな子どもの日常と成長を描いたファンタジーで、誰もが小さいときに経験するであろう体験を淡々と綴っている。

 本作がファンタジーたる所以は、くんちゃんが我がままになる都度、未来の妹が現れたり、過去の曾おじいさんと会ったりすることである。なんとなく『さびしんぼう』や『千と千尋の神隠し』のような雰囲気が漂う。

 また本作は単なるファンタジーアニメではない。小さな妹へ両親の愛情を奪われたことに嫉妬し、戸惑う男の子の心理状態を巧みに描きながら、昔の人の偉大さを称えたり、いつの時代も繰り返えされる人の営みなどを描き、深みの感じられる作品に仕上がっているのだ。ただくんちゃんの喋り方にはやや難があったが、幻想的な音楽と美麗な絵のアンサンブルはとても素晴らしかった。
 
評:蔵研人

テラフォーマーズ3

製作:2016年日本 上映時間:108分 監督:三池崇史

 ここ最近の邦画は、大半が人気コミックを原作にしている。やはり、既にコミックでヒットを実証済だし宣伝効率も高いため、こうした傾向に走ってしまうのかもしれない。本作もコミックが原作らしいが、私自身はまだこのコミックは未読である。従って原作に惹かれてこのタイトルを選んだわけではない。単にあの『エイリアン』のようなホラーチックなSFが観たかっただけである。

 さすが人気コミック発で、ストーリーはなかなか興味深い。近未来のお話である。地球で猛烈な人口増加が続き、人類は火星への移住を計画する。そしてまず火星の環境を地球に近づけるため、コケと原始時代から地球に生息し、環境変化に強いゴキブリを火星へと送り込んだのである。さらにその500年後、移住計画の最終段階として、今度はそのゴキブリを駆除するため、個性的な15人の隊員が火星に派遣される。ところがなんとゴキブリたちは、強力なゴキブリマンに進化していたのだった。そして彼等こそが、テラフォーマーと呼ばれていた新生物だったのである。

 そのゴキブリマンの造形や動作はCGで描かれており、なかなか見応えがありスピード感もあった。さすがワーナーが配給しただけあり、邦画と言えどもVFXの出来栄えはまずまずかな。と思ったのもつかの間、隊員たちが昆虫人間に変身した途端に、かなりの失望感を抱かざるを得なかった。
 なんと変身後の姿は、TVの仮面ライダーに登場する怪人たちの着ぐるみそのものではないか。また、ゴキブリマンとの戦闘もプロレスゴッコに終始するばかりなのだ。

 なぜ変身後の怪人を、ゴキブリマンと同様にCGで描き、もっとド派手な戦闘シーンを創出できなかったのだろうか。ストーリーとゴキブリマンの出来が良かっただけに、この状況は非常に残念である。
 たぶんネットでの評価が異常に低いのも、きっとこのせいかもしれないと感じてしまった。またラストシーンも単調で全く捻りがない。とかく詰めが甘いのが、邦画のSF映画の特徴である。悔しいが世界的な水準に到達するのは、まだまだ時間がかかりそうだね。

評:蔵研人

九月の恋と出会うまで 映画版4

製作:2019年日本 上映時間:106分 監督:山本透

  原作である松尾由美の同名小説を読んだのは、もう5年前のことであり、細かいストーリー展開と結末は余り覚えていない。それで新鮮な眼で本作を観ることが出来た。また登場人物が4人しか登場しないアイデア一辺倒の原作より、映画のほうが恋愛色に染まっていてストーリーも面白いし、スケールも広がっている。それに美しい映像と効果的な音楽が加わるから、珍しく原作を超えた映画と言ってよいだろう。
 ただタイムパラドックスとの因果関係については、やや解り辛いのであとで原作を読むと良いかもしれない。とは言っても、過去改変の影響については、原作でもいま一歩深みにはまり切っていないところが、かなり物足りないので念のため・・・。

 北村志織は、入居したばかりのマンションで、不思議な現象に遭遇する。なんと隣室に住んでいるが、ほとんど話をしたことのない平野という男性の声が、エアコンの穴から聞こえてきたのだった。それも一年後の未来から話していると言うのである。
 はじめは信じられない志織だったが、翌日の天候に始まり一週間分のニュースを言い当てられ、未来からの声だということを信じざるを得なくなってしまう。そのうえ現在の平野を尾行してくれという、奇妙な依頼を未来の平野から受けてしまうのである。だがなぜ尾行するのかという理由は教えてくれない。

 序盤は平野を尾行する理由の謎を追い、中盤はタイムパラドックスを避ける活動、そして後半に完全なラブストーリーへと変換してゆく流れは、「なかなか見事な脚本に仕上がっている」と褒めてもよいだろう。思わず一昔前に、こんな感性の韓国映画をよく観たことを思い出してしまった。
 また主演の高橋一生と川口春奈の演技力と存在感もなかなかであり、二人ともしっかりとこの役柄にはまっていた。まあどちらかと言えば、タイムトラベルよりも恋愛ものとして若い人たちにお勧めの作品かもしれないね。

評:蔵研人

PUSH 光と闇の能力者3

製作:2009年 米国 上映時間:111分 監督:ポール・マクギガン

 超能力者同士の戦いがテーマのアクション映画なのだが、Xメンを期待すると裏切られるかもしれない。本作での超能力は、未来予知能力と相手の記憶や意志を制御する超能力が中心となり、Xメンのような派手なスペクタクルシーンは少ないからだ。

 ちなみに登場する超能力の種類を分類整理すると次の通り。
①ムーブ 念力による遠隔操作
②ウォッチ 未来を予知する
③プッシュ 相手の記憶や意志を制御する
④スニフ 臭いで相手の過去と現実を特定する
⑤ブリード 声で人や物を破壊する
⑥シフト 物体を別物に作り変える
⑦スティッチ 触れて傷を治す
⑧シャドウ 超能者から人や物を隠す
⑨ワイプ 相手の記憶を特定期間消去する

 とにかく変わった能力が多く、超能力者も多数登場する。
 ただ舞台が香港であり、高層ビル群の隙間からドロ臭さが鼻をつく。なんだかハリウッド資本の入った香港映画のような感があってかなり違和感を覚えた。また秘密組織ディビジョンと超能力者たちのバックボーンが説明不足で、SFの中にミステリー風味が漂ってくる。

 始めのうちはこの風変わりな展開に、アメコミものにはない重厚さと奥深さを感じたのだが、登場人物が超能力者ばかりであることと、後半になって物語が単調になってしまったのが残念だった。視点はなかなか鋭いのだが、なにか中途半端で食い足りない。
 ただ本作もダコタ・ファニング嬢の存在感によって、かなり救われた。子役のときから注目していたが、とにかくこの天才少女は一体どこまで快進撃を続けるのだろうか。子役で成功した子は、大人なってさほど伸びない例が多いのが一抹の不安ではある。それにしても彼女、どことなく雰囲気が安達祐実に似ていると思わない?

評:蔵研人

6時間後に君は死ぬ4

著者:高野和明

 オムニバスの中編集で、タイトル作品のほか『時の魔法使い』、『恋をしてはいけない日』、『ドールハウスのダンサー』、『3時間後に君は死ぬ』の5作を収録している。
 『3時間に君は死ぬ』は、タイトルの『6時間後に君は死ぬ』の続編で、5年前に出逢った山葉圭史と原田美緒が再会を果たす。そして3時間後に起こる大惨事を食い止めようと、ハラハラドキドキの探索を行うのだ。続編でありながらも、『6時間後に君は死ぬ』よりずっと面白い。

 『時の魔法使い』と『恋をしてはいけない日』は、まるで梶尾真治の描く時間テーマラブファンタジーを髣髴させられる。きっと著者も梶尾真治のファンなのだろう。
 一番良かったのが、『ドールハウスのダンサー』で、現実を人形に置き換えたかのような魔可不思議な世界に惹き込まれてしまった。

 主役というわけではないが、全編を通じて登場するのが、ビジョンという予知能力を持つ山葉圭史であり、この中編小説のアテンダーでもある。『13階段』を書いた高野和明とは全く別人のような話の展開に、著者の貪欲さと懐の広さを感じてしまった。

評:蔵研人

NEXT -ネクスト-3

製作:2007年 米国 上映時間:95分 監督:リー・タマホリ 主演:ニコラス・ケイジ

 2分先の世界が見透せる男が、テロの隠し持つ核弾頭を探し出し、アメリカ人200万人を救うために大奮闘するという荒唐無稽なお話である。まさしくアメリカンで大味で痛快な設定じゃあないの。

 ニコラス・ケイジ扮するショボイ奇術師クリスが、実はこのスーパーヒーローなのだが、正体がバレないよう、なるべく派手な行動は謹んでいる。このあたりのくだりは、まさしくスーパーマンのクラークケントだよね。
 ところがなぜか、FBIとテロ一味には、彼が未来を覗ける超能力者だと判っているのだ。映画のテンポを早めるためだと思うが、これがなんとも腑に落ちない設定なのよね。

 そんな訳で、結局スーパーヒーローとして超能力を十分に発揮するのは、終盤のほうに後回しとなる。それまでは、FBIとテロ一味につきまとわれての「鬼ごっこ」と落ちつかない。
 ただ、レストランでリズという美女と知り合いになるために、超能力を何度も繰り出すくだりはとても楽しいよね。だがそのあとすぐにべットインはないだろうな。まあ、とても可愛い彼女だったから不問に付してもいいけどね…。

 ところで、『ゴーストライダー』のときにも感じたけれど、もうそろそろニコラス・ケイジに派手なアクションは似合わなくなってしまったね。だって走っているときに、少しヨロヨロしていたじゃないの。ニコラス・ケイジファンのかた、ごめんなさいね。でも僕も彼のファンなのですよ。
 また、自分のことは2分先迄しか見えないのに、どうして彼女がかかわることは、ずっと先の未来まで見えるのだろうか。つまりそれが、「愛の力なのだよ」と言いたいのね。

評:蔵研人

地球の放課後(全6巻)4

作者:吉富昭仁

 奇妙なタイトルだが、なんとなくそそられるタイトルでもある。日常系終末ストーリーというジャンルだというのだが、タイムトラベルの要素も含んだSFマンガとも言えるだろう。
 突如『ファントム』と呼ばれる謎の生命体が現れて、人類のほとんどが消滅してしまう。ところが何故だか分からないまま、数学に長けた4人の少年少女だけが残される。

 従ってこの物語の登場人物は、この4人だけに絞られるということになる。そして彼等の日常生活を淡々と描いてゆく。そして退屈しのぎのように、たまにファントムが現れるだけといった流れである。
 だが回を重ねるごとに、過去の回想やタイムトラベルなどが絡んできて、少しずつ登場人物も増えてくる。そして新たなる謎を提供しながらも、かつての謎を解明するという手法を使って話を膨らませてゆくのである。

 残された4人とは、高校生の正史のほかは、やはり高校生の八重子、早苗と小学生の杏南というハーレム状態。と言っても、このマンガはある意味健康的であり、水着や入浴シーンは頻繁に描かれるものの、セックスシーンは皆無である。そのあたりの展開については、もの足りない人もいるかもしれないが、安心する人もいるだろう。

 著者の吉富昭仁は、挿絵画家としてデビューしている。従って清楚で丁寧で美しい筆力を感じるのだが、逆に言えば癖がなく特徴のない画風と言えるかもしれない。だから女の子の顔が皆同じように感じてしまうのであろうか。
 まあそこいらは好き嫌いの分かれるところかもしれないが、私自身は極端に個性化された画風よりはまだ見やすいので良しとしたい。著者の代表作は本作ではなく『EAT-MAN』、『RAY』などの横文字タイトルらしいのだが、私自身は本作以外は読んだことがないので、機会があったら他の作品も読んでみたいと思う。

 さて謎の生物ファントムは宇宙人なのか、はたまた妖怪なのか、なぜ4人だけは切り刻まれなかったのか。その疑問は第6巻で全て解明されるのだが、「コティヤール予想」とか「シュバルツシルト面」という理論は全く理解できなかった。もう少し丁寧な解説をして欲しかったかな・・・。

評:蔵研人

ジャケット4

製作:2005年 米国 上映時間:103分 監督:ジョン・メイバリー  主演:エイドリアン・ブロディ、キーラ・ナイトレイ

 主人公ジャックは、心優しいのが災いし、湾岸戦争で少年に頭を撃たれるが、奇跡的に一命を繋ぎとめる。しかしその傷のおかげで、過去の記憶が消失してしまう。
 この悲しき兵士を、『戦場のピアニスト』のエイドリアン・ブロディが好演する。その後彼は、あてもなく彷徨ううちに、警官殺しの濡れ衣をかけられて逮捕されてしまう。しかし裁判で障害者と認定され、精神病院に収容されるのだった。

 そこでは、強度の障害者に対して、奇妙な治療実験を行っていた。患者に麻酔をかけ、拘束衣(ジャケット)で身動きを奪い、死体保管庫に数時間閉じ込めるのである。
 ジャックは死体保管庫の中で、苦痛と狂気に苛まれるうち、過去の記憶が断片的にフラッシュバックし、一瞬にして15年後の未来へ跳んでしまう。そしてストーリーは、ここを起点として大きく変貌してゆくのである。

 妻殺し未遂で精神病院に入院した患者に、『007カジノロワイヤル』のダニエル・クレイグ、ジャックの恋人役ジャッキーには、キーラ・ナイトレイと豪華なキャスティング。そして主演のエイドリアン・ブロディーは、心優しい表情といい、痩せこけた風貌といい、まさにピッタリハマリ役だった。
 生き馬の目を抜くような現代において、心の優しい人は損をする。だがそれは現世という束の間の思い出に過ぎない。来たるべき世界では、必ず報われるはずだ。
 死体保管庫の中は、決してタイムマシンではない。主人公が跳んで行くのは、彼の妄想と怨念が創り出す次元を超えた精神世界なのだろう。そこには、宗教的な香りのする死生観が漂っている。いずれにせよ、ジャックは辛い現世から開放されたのではないだろうか。

評:蔵研人

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