タイムトラベル 本と映画とマンガ

 本ブログは、タイムトラベルファンのために、タイムトラベルを扱った小説や論文、そして映画やマンガなどを紹介しています。ぜひ気楽に立ち寄って、ご一読ください。

映画

初恋ロスタイム3

製作:2019年 日本 上映時間:104分 監督:河合勇人

 仁科裕貴の同名小説を原作にしたファンタジーロマンス作品である。主人公:相葉孝司は、ある日突然時間が止まるという現象に遭遇してしまう。ところが公園内で自分以外にもう一人、時間の動いている女子高生:篠宮時音に出会うことになる。時間が止まるのは、いつも12時15分から1時間だけであり、二人はこの1時間を『ロスタイム』・・・おまけの時間と命名した。

 そもそも孝司は何事にも消極的で、すぐに諦めてしまう無気力浪人生なのだが、時音と出逢ったことで少しずつ気持ちが変化してゆく。だが時音と逢えるのは、いつも時間が止まった1時間だけだった。それで孝司が「時間の動いている時にも逢おう」と提案すると、なぜか時音はあっさり断ってしまうのだった。そしてもう逢えないというのである。

 ここまで観て、これは面白そうな映画だと直感したのだが、残念ながらその後の展開が実に退屈であった。彼女が逢えないと断った理由は、ウィルソン病という難病に侵されて、あと半年しか生きられないからだったのである。
 なんとこの辺りから急にファンタジーロマンスが、難病ラブストーリーにチェンジリングしてしまったのだ。難病ものと言えば古くは、『愛と死を見つめて』、『ある愛の詩』、『世界の中心で、愛をさけぶ』などなど、もうお腹が一杯でこれ以上は食べたくないのである。

 また時々登場する竹内涼真が演じる青年医師の正体が、孝司が成長した姿なのかと思い込んでいたら全く別人であり、何気に拍子抜けしてしまった。そして彼と彼の妻は、孝司や時音と同じく「時間が止まる経験」をした過去を持っているというのだ。だこの青年医師:浅見一生は、映画だけのオリジナルで原作には登場していない。そして登場している意味も余り感じられなかった。

 それからせっかく時間が止まっているのだから、それを利用した出来事がトラックの事故回避だけだったのも淋しいよね。また私の好みかもしれないが、ヒロインがもう少し可愛いくて、逆に主人公がイケメンでなければ、もう少しのめり込むことが出来たであろう。だから本来大泣きするはずのラストシーンでも、なぜか一滴の涙も流れなかったのであろうか。

評:蔵研人

タイム・トラップ

★★★☆
製作:2017年 米国 上映時間:87分 監督:マーク・デニス  ベン・フォスター
 
 数十年前に失踪した両親を捜すため、考古学のホッパー教授が、『若返りの泉』があるという秘密の洞窟の中に侵入する。だが彼もまた、そのまま消息を絶ってしまうのである。
 その教授を探すために、ゼミ生であるジャッキーとテイラーは、友人のカラと少年少女2人を伴って、洞窟を探索することになる。だが彼等もまた教授同様、ミイラ取りがミイラになってしまうのだった。
 
 その後カラが一人でなんとか崖をよじ登って、洞窟の外に這い出すことが出来る。ところが周囲の風景は、見たこともない異常風景で空気が汚れているし、SOS用のGPSビーコンも全く通じないのだった。この間約30分経過、それで彼女は仕方なく洞窟内に戻るのだが、洞窟内部では2秒しか経過していないという。

 つまり洞窟内部は時間がゆっくりと流れていて、外の世界では数百年の時が流れ、地球滅亡寸前の未来に変化していたのである。そして彼等がその事実に戸惑っていると、宇宙服のようなものを身にまとったプレデターのような者が洞窟内に降りてくる。びっくりして洞窟の奥に逃げると、今度は原始人が襲って来るのだった。

 とまあこのあたりの展開は、もうハチャメチャで何が何だか分からない。結局、浦島太郎になってしまった彼等であるが、ラストは何の説明もなく意味不明のまま、なんとか全員無事でハッピーエンドを迎えることが出来る。だが果たして、本当にめでたしめでたし、なのかは誰にも分からないのだ・・・。実に奇妙な作品であるが、上映時間が短かったせいか、途中飽きもせずなんとか最後まで観ることが出来たのは幸せであった。


評:蔵研人

あやしい彼女4

製作:2016年 日本 上映時間:125分 監督:水田伸生

 歌あり、笑いあり、涙ありの楽しくて良質のファンタジー映画なのだが、韓国映画『怪しい彼女』のリメイク版というところが非常に残念である。もし本作がオリジナル作品なら、満点に近い出来栄えと言っても過言ではないだろう。
 ストーリーのほうは、女手一つで一人娘を育てた70代の老婆(倍賞美津子)が、摩訶不思議な写真館で写真を撮ると、なんと20歳の若々しい娘(多部未華子)に変身してしまうのである。その後言動がおばちゃんの奇妙な娘になって昔の歌謡曲を歌うと、これがまた心のこもった良い歌声で、聞く者たちに大感動を与えてしまうのだった。

 たべちゃんが歌うのは、1960年代から1970年代のヒットソング数曲なのだが、小さかった娘を抱えて苦労した昔の映像が映される中で歌う『悲しくてやりきれない』が一番心の中に染み込んできた。観ているほうも、なんだか自分の少年・少女時代がオーバーラップして、涙が止まらなくなってしまうのである。
 この曲ってこんなに良い曲だったのか、と、改めてつくづく感心してしまうから不思議なのだ。そして観客のほとんどが、感動の波に飲み込まれてしまうのである。それに若いたべちゃんが、涙を流しながら熱唱している姿も実に神々しかった。

 やや微妙な部分もないことはないが、たべちゃんの歌唱力はごりっぱだと言ってもよいだろう。本作はまさにたべちゃんの魅力を100%発揮した超娯楽作品と言える。また老女役の倍賞美津子の熱演も、決して見逃すことは出来ないはずである。
 本作を観た時点ではオリジナルの韓国版を観ていなかったのだが、最近観る機会に恵まれたので、その評論を読みたい方はこちらをクリックして欲しい。日本版では懐かしい歌謡曲に感動したわけだが、韓国版では歌の部分に感情移入ができるのだろうか…。

評:蔵研人

パスト&フューチャー 未来への警告3

製作:2018年 スペイン 上映時間:92分 監督:ダニエル・カルパルソロ

 タイトルがなんとなくタイムトラベル風だったので、思わず衝動借りしてしまったのだが、現在と10年後を同時進行で描いたスペイン産のミステリーであった。ではなぜ10年間の時を隔てて、同時進行して描かれなければならないのだろうか。

 それはあるコンビニで、1913年、1955年、1976年、2008年の同じ日に、発砲による殺人事件が発生したからである。これは偶然か呪いなのだろうか。さらにはどの事件も、現場に居合わせた被害者・犯人・目撃者は合計5人で、その年齢構成は、53歳・42歳・32歳・21歳・10歳なのだ。そのパターンを解析した数学者のジョンが出した結論は、『10年後の2018年4月12日に、そのコンビニで10歳の子供が死ぬ』というものだった。
 その因果律を阻止するために、ジョンは必死に動き回るのだが、周囲の人々は彼を異常者扱いするばかり。そして彼の行動は全て空回りして増々悪い方向へと反転してゆくのだった。
 
 一方10年後に殺される予定の子供は、母子家庭のためか、学校でいじめの対象となっている。また母親が過剰に関与してくるため、なかなか独り立ちできない。そして少年は、4月12日にコンビニに行くと殺されるという警告書を発見し、さらに臆病になってしまう。
 ところが母親は、そんな息子を強くしようと、嫌がる少年を無理矢理コンビニへ連れて行くのである。そこへ拳銃を持った強盗が侵入してくるのだが…。

 こうした展開により緊迫感を持たせるため、10年の時を隔てて同時進行風に描いたのであろう。それはそれで良いのだが、どうもジョンの行動に冷静さが全くみられず、まるで麻薬中毒者のように悪夢に襲われる状態にイライラが募ってしまう。また嫌がる少年を強引にコンビニへ引っ張ってゆく母親のしつこさも納得できない。
 ラストの締めくくりが気になるので、それとなく退屈もせず観終わったのだが、なにか余りすっきりしないし、殆ど予測の範囲内で感動もなかったのが非常に残念である。まあ悪い映画ではないのだが、数字ばかりいじくりまわさないで、もっと人間関係の部分を掘り下げて欲しかったね。

評:蔵研人

シンデレラ III 戻された時計の針

★★★☆

製作:2013年 日本 上映時間:75分 監督:フランク・ニッセン

 ディズニーアニメの名作『シンデレラ』をパラレルワールドの世界として創りあげたストーリーである。つまりもしガラス靴が義姉アナスタシアにぴったりだったらどうなるのというお話なのだ。
 ある日、魔法の杖を手に入れた義母が時間を過去に戻し、アナスタシアに合わせたガラスの靴を作り、お城に呼ばれることになるのである。もちろんシンデレラの顔を覚えている王子が、アナスタシアをダンスの相手と認めるわけがないのだが、また魔法の杖によって記憶を入れ替えられてしまうのだ。

 まあ視点を変えたシンデレラストーリーということでは評価できるのだが、やはりなんとなく結末は分かってしまうし、ねずみが大活躍という子供向けの展開にちょっぴり興ざめしてしまった。楽しい映画であることは間違いないのだが、大人がのめり込むにはもう一捻りが必要だろう。

評:蔵研人

未来のミライ

★★★☆

製作:2018年 日本 上映時間:98分 監督:細田守
 
 本作は第91回アカデミー賞にノミネートされたアニメーションである。ストーリーは、”くんちゃん”という甘えん坊の小さな子どもの日常と成長を描いたファンタジーで、誰もが小さいときに経験するであろう体験を淡々と綴っている。

 本作がファンタジーたる所以は、くんちゃんが我がままになる都度、未来の妹が現れたり、過去の曾おじいさんと会ったりすることである。なんとなく『さびしんぼう』や『千と千尋の神隠し』のような雰囲気が漂う。

 また本作は単なるファンタジーアニメではない。小さな妹へ両親の愛情を奪われたことに嫉妬し、戸惑う男の子の心理状態を巧みに描きながら、昔の人の偉大さを称えたり、いつの時代も繰り返えされる人の営みなどを描き、深みの感じられる作品に仕上がっているのだ。ただくんちゃんの喋り方にはやや難があったが、幻想的な音楽と美麗な絵のアンサンブルはとても素晴らしかった。
 
評:蔵研人

怪しい彼女4

製作:2014年 韓国 上映時間:125分 監督:ファン・ドンヒョク

 70歳のおばあちゃんマルスンは、口の悪さと頑固さが超一流で殴り合いの喧嘩も辞さないが、女手ひとつで育て上げて国立大学の教授になった息子だけが自慢の種であった。だがアクの強い性格が災いして、嫁には煙たがられているのだが、そんなことはどこ吹く風で嫁いびり、ついに嫁は精神を犯されて入院する始末・・・。
 そんなある日、街中にある古い写真館で写真を撮ると、なんと50歳も若返ってしまうのである。そして心を込めて昔の歌を歌うと、これが偶然音楽プロデューサーの目に留まって、なんとプロの歌手に推薦されてしまうのだった。

 こんな具合で進展してゆく荒唐無稽なファンタジー作品である。また2年後には多部未華子主演で、『あやしい彼女』というタイトルで日本でもリメイクされている。韓国版も日本版も大筋は同じで、どちらも評判が良いのだが、さすが感情の国・韓国版では、女性の感情表現が激しく、お涙頂戴指数もかなり高めに設定してある。
 また日本版では彼女が歌う歌は全てが、1960年代から1970年代の日本のヒットソングであり、昭和生まれの日本人には懐かしさと哀愁を感じさせるのだが、韓国版の歌は老若男女、全世界の人々の心を揺さぶるような選曲だったような気がする。従って国際的には、歌では韓国版に軍配があがるかもしれない。

 ストーリーはありきたりで、途中で結末が見え隠れしていたのだが、何と言っても役者さんたちの演技力と存在感には圧倒されてしまった。ことに彼女役のシム・ウンギョンの、個性的でありながら瑞々しい雰囲気と演技力には惹きこまれてしまった。

評:蔵研人

50回目のファーストキス

★★★☆

製作:2018年 日本 上映時間:114分 監督:福田雄一

 2004年に製作された米国版がオリジナルで、本作はそのリメイクである。50回目のファーストキスとは、一晩寝ると記憶を失ってしまう女性とのラブストーリーと言えば分かるであろう。そう彼女にとっては、毎日毎日が初めての経験なのだから、いつのキスもファーストキスと言うことになるのである。
 米国版はアダム・サンドラーとドリュー・バリモアのコンビで、ラストシーンで大泣きした記憶がある。この結果が分かっているので、日本版では大泣きはしなかったが、ホロリときたことは否めない。いずれにせよ、米国版を観ていない人なら大泣きだったかもしれないね。

 何れも舞台はハワイだし、内容も殆ど変わらないのだが、やはりキャストにかなり疑問を感じた。まず主演の長澤まさみについては、全く問題なし。ずっとその美脚に見とれていた。彼女だけはドリュー・バリモアを超えていたかも…。ただ相手役の山田孝之の背が低いのがちょっと気になったことと、ムロツヨシと仲野太賀のドタバタ演技が濃すぎてぶち壊し状況だったのがつくづく残念であった。

●ストーリーの内容については、米国版を観たときに書いたものを下記に紹介するので参考にして欲しい。

 最近少しブームになりつつある『記憶テーマ』のラブコメで、主演はアダム・サンドラーとドリュー・バルモアのぴったしコンビである。
 恋の始まりは、水族館の獣医をしているアダムが、毎朝同じレストランで、いつも同じ朝食を摂っているドリューに一目惚れするという展開。
 ある日やっと彼女と親しくなり、翌日同じ場所で、親しげに声をかけると、彼女は怪訝な顔をして相手にしてくれない。実はある事故を起こしてから、脳の一部を欠損したおかげで、彼女の記憶は一日しか持たなかったのだ。

 そんな彼女に夢中になってしまったアダムは、毎日毎日手を変え品を変えて、彼女の気を惹こうと涙ぐましいアタックを繰り返すのだった。何度も彼女のハートを射とめて、キス迄には至るのだが、翌日になるとまた彼女は、アダムのことを綺麗さっぱりと忘れてしまうのである。そしてまた翌日を迎えるわけだが、一体何時になったら彼女は彼のことを記憶出来るのか、と不安と期待を抱かせながらストーリーは進んでゆく。

 笑いあり、涙あり、ロマンチックなムードもたっぷり・・・まさに恋人と一緒に観るには最適の映画なのだ。そしてラストのどんでん返しもなかなか洒落ていた。ドリュー・バルモアは余り好きなタイプの女優さんではないのだが、この役処はハマリ役で、アダムともピッタリと息が合っていたと思う。

評:蔵研人


テセウスの船

 ★★☆

 日曜の夜10回に亘って放映された『セテウスの船』がやっと最終回を迎えた。東元俊哉による原作マンガは未読だが、その結末についてはネットで拡散しているため殆どの人が承知しているはずである。だから原作とTVドラマには最終犯人をはじめとして、いろいろと相違点が多いことも周知の事実であろう。
 そこで原作からのネタバレを恐れ過ぎたのか、あるいはお茶の間ドラマの雰囲気に拘り過ぎたのか、余りにも辻褄が合わない脚本に失望してしまった。そしてうたい文句のSFミステリーを逸脱して、なんと家族愛に溢れたホームドラマに落ち着いてしまったのである。またタイムトラベルものとしても、ラストの結末がパラレルワールドだということ以外は、ほとんど体をなしていないし、あの『JIN仁』の足元には全く及ばない。

 ただ最終回に至るまで、かなりの高視聴率を稼いだことだけが、TV局としての大成功と言って良いだろう。確かに5話くらいまでは、次回はどうなるのだろうかと、視聴者たちが期待に胸を膨らませる展開だった。しかしその手法が余りにも単調でしつこ過ぎて、だんだんイライラが募ってきたことも否めないはずである。

 きっとこいつが真犯人だろう、と思わせぶりな展開が何度も繰り返されていくうちに、だから逆にこいつは犯人ではないだろうと推測してしまう。ところがギッチョン。最終回では、まさかこんな奴がこんな動機で、あれだけの犯罪を犯すのだろうか、という結末に遭遇してしまうのだ。これには驚くより呆れてものも言えなかった。
 これはアッと驚く結末でもどんでん返しでもない。散々犯人らしき人々をバラまき散らした上に、全てお見通しで先回りする頭脳抜群の犯人を臭わしておきながら、実はこんなオトボケ男が犯人だというのだ。
 これではさんざん好き勝手な展開を繰り返しておいて、実は夢でしたという「夢オチ同様の反則技」であり、無理矢理ザ・エンドにしてしまった感も拭えない。さらに生意気で大人顔負けのワルだったみきおが、急に誠実な子供に逆戻りというのも全く納得できない。

 バカにするのもいい加減にしてくれ!10週間もの間さんざん引っ張り続けて、多くの視聴者の貴重な時間を無駄に使わせやがって、と怒涛の如く怒りをぶちまけたくなる。そしてあっという間に家族全員が幸せいっぱいのハッピーエンドとは、視聴者全員がコケにされたようなものではないか。

 とにかくハラハラドキドキではなく、イライラダラダラの蔓延したドラマだった。また主人公が勿体ぶってなかなか真実を語らないため、状況は増々悪化してゆくばかり。さらに主人公と一緒に過去に戻ったと思われる大人のみきおは、その後一切登場しない。それなら彼は何のため登場したのだろうか。いずれにせよ、不要なものが延々と登場し、必要なものが歯抜けになっているという超ムカつく展開に終始していたドラマだった。

評:蔵研人

HOT SNOW2

hotsnow

製作:2011年 日本 上映時間:72分 監督:高山浩児

 主演はジャニーズ事務所に所属している8人組のアイドルユニット『Mis Snow Man』である。そして登場人物は彼等を含めてたった10人+3名(ほとんど会話無し)で、撮影場所も大半が高校の屋上という超貧乏映画である。
 テーマは死んだ母親にダンスを見せるという単純なもの。ただし過去へ跳んで、女子高生時代の母親に見てもらうというところだけが売りである。

 タイムスリップの方法は、これもありふれた雷雨と地震という設定。この学芸会レベルのB級映画は、ラストの『Mis Snow Man』たちのダンスを見せるだけの映画なのだが、そのダンスもそれほどパッとしないのだ。少なくともダンスだけは、きっちりと決めて欲しかったのだが・・・。どうしてタイムトラベルものは邦画・洋画を問わず、完成度の低い作品が多いのだろうか。なんだか悲しくなってしまった。

評:蔵研人

パーフェクト・ワールド 世界の謎を解け3

製作:2018年 ロシア 上映時間:116分 監督:セルゲイ・モクリツキー

 単に『パーフェクトワールド』で検索すると、ケビン・コスナーの作品とか岩田剛典の邦画、その原作である有賀リエのマンガが引っかかってくるのだが、本作はなかなか見つからない。そこで『パーフェクト・ワールド 世界の謎を解け』で検索するとやっと引っかかるという、余り名の売れていないロシアのSF映画なのである。

 原題は『CHERNOVIK/A ROUGH DRAFT』と言うことだが、はっきりした意味は分からないが、直訳すると『ラフな草案』というような意味のようである。邦題は意味不明だが、主人公がパラレルワールドに迷い込んでしまうため、こんないい加減なタイトルを付けたのかもしれない。

 若くて才能に満ちたキリルは、高給を手に出来る仕事と美しい恋人を手に入れて、優雅な人生を楽しんでいた。ところがある日、自宅に帰ると、見知らぬ女性が住み付いていて、ここは自分の家だと主張するのだった。そしてキリルはその日を境にして、自分を知る人が誰もいないパラレルワールドに迷い込んでしまうのである。

 こんな感じでストーリーが流れてゆくのだが、いろいろと奇妙な展開が続く割には、ストーリーにのめり込めず退屈感に襲われてしまう、という摩訶不思議な作品なのだ。2018年に創られたのだが、なんとなく一昔前のSF映画という感が否めないし、結末も曖昧なままで終わってしまった。邦題にも騙されたようで、ちょっと不満の残る作品かもしれない。

評:蔵研人

マッド・ワールド2

製作:2018年 英国 上映時間:86分 監督:ポール・タンター


 舞台は2037年。赤子の命を15秒で奪ってしまうウイルスが世界中に蔓延。そんな終末の世界を牛耳っているのは、なんとバイオコープという大企業なのであった。そして荒れ果てた地球の中でも、その社員だけは裕福な暮らしを謳歌していたのである。
 そんな世界に不満を感じた二人の科学者がタイムマシンを開発し、2017年にタイムスリップする。そしてこの終末の原因を創ったバイオコープ社を破滅させて未来を変えようと画策する、というストーリー仕立てである。

 決してストーリー自体は悪くないし、『意識を過去に転送して肉体を再構成する』という『マトリックス』的なタイムマシン原理もなかなか興味深かったのだが・・・。なにせストーリー構成が中途半端というか、出鱈目というかよく商品化できたなと唸ってしまうのだ。
 オープニングでは、なにかこの作品自体が続編であるかのように、それまでに至る経緯が言葉だけでダラダラと説明される。だが余りにも映像展開を端折り過ぎているため、現状を良く理解出来ないままストーリーだけが進んでしまうのである。
 そしてなんとなくそれまでの経緯が、ぼんやりと見えてきたかなと思ったらもう終盤であり、なんとラストシーンは『次回につづく』といったような、尻切れトンボな終わり方であった。

 まさしく、上・中・下巻の中巻だけが発売されたような作品なのだ。または上映時間の短さから考えると、連続TVドラマの第何話なのかもしれない。だがそんな説明はどこにも記されていないし、ネット上にもそんな痕跡は見当たらないのだ。
 一体どういうつもりでこのような中途半端な作品を創ったのか、いやもっと言えば、映画配給会社が商品として発売してしまったのだろうか?その真意を知りたいものである。
 タイムトラベルファンのため、事前に中身をよく吟味しないまま、いきなり店頭でレンタルに飛びついてしまったことが悔やまれる。ただ『マトリックス』的なタイムマシン原理、という手法だけは唯一の収穫だったかもしれない。

評:蔵研人

コーヒーが冷めないうちに

★★★☆
製作:2018年 日本 上映時間:117分 監督:塚原あゆ子

 川口俊和の小説を映画化した作品である。過去に戻れる席(ある意味でタイムマシンの役割)のある喫茶店を舞台に、そこに訪れる客たちが体験する摩訶不思議な体験が描かれている。
 ただ過去に戻るには、非常に面倒ないくつかの掟があった。
1.過去に戻って、どんな事をしても、現実は変わらない。
2.過去に戻っても、喫茶店を出る事はできない。
3.過去に戻れるのはコーヒーをカップに注いでから、そのコーヒーが冷めてしまうまでの間だけ。コーヒーが冷めないうちに飲み干さなければならない。
4.過去に戻れる席には先客がいる。席に座れるのは、その先客が席を立った時だけ。
5.過去に戻っても、この喫茶店を訪れた事のない人には会う事ができない。
 という五つの約束である。
 これらの掟の中でも、「コーヒーが冷めるまでのタイムスリップ」というところが本作のミソであり、『謎の先客』の存在理由でもあるのだ。

 さて本作で過去に戻った客は三人である。
 アメリカへ旅立ってしまった幼馴染と喧嘩別れしたままの独身キャリアウーマン・清川二美子(波瑠)
 若年性アルツハイマーに侵された妻(薬師丸ひろ子)を優しく見守る夫・房木康徳(松重豊)
 故郷の妹に家業を押し付けて家出したスナックママ・平井八絵子(吉田羊)

 彼等のショートストーリーもそれなりに楽しめるのだが、なにせ時間的に描き方が中途半端なため、感情移入するゆとりが得られない。結局彼等はこの作品を彩るアクセサリーの一部に過ぎないのであろう。
 やはり本当の主役は、喫茶店で過去に戻るためのコーヒーを注ぐウェイトレス時田数(有村架純)なのだった。序盤の彼女はミステリアスで、陰気な雰囲気の漂う旅先案内人のようであった。
 ところが客の一人である大学生・新谷亮介と親しくなってからは、だんだん打ち解けはじめて、暗い過去の拘りが明らかになってくるのだ。そして謎の先客と彼女の秘密も解明されてくる。

 そしてラストのどんでん返しが花開き、タイムトラベルもののお約束のような見事な収束で幕を閉じるのである。またこの展開を分かり易く説明するような、エンドロールの映像配置もグッドタイミングだし、音楽もなかなか良い味付けに仕上がっていた。
 ただ登場人物が少なく、ほぼ喫茶店の中だけの話に終始するため、劇場映画というよりはテレビドラマで十分だったかもしれない。まあいずれにせよ、原作が良かったのか脚本が良かったのか、そこそこ泣けるし後味の良い楽しい映画であることは間違いないであろう。

評:蔵研人

エンドレス 繰り返される悪夢3

製作:2017年 韓国 上映時間:90分 監督:チョ・ソンホ

 主人公の有名な医師が、旅客機に乗って娘に逢いに行くところからはじまる。ところがその娘は、交通事故に遭遇し死亡してしまうのである。だが次の瞬間、医師は旅客機の座席で目覚めるのだ。そして見たことのある風景と出来事が続く。つまり目覚めると、何度も同じ一日を繰り返すのである。

 そして目覚めるたびに娘が事故に遭わないように奔走するのだが、どうしても上手くいかない。そこに突如同じ事故で妻を亡くして、何度も同じ一日を繰り返している男に出逢うことになる。

 本作は私の大好きなタイムループ作品であり、この手のテーマがお得意の韓国映画ということで、かなり期待し過ぎてしまったようだ。もちろん駄作ではないし、伏線もしっかりしていてアイデアも秀逸である。だがストーリー展開にかなり無理があり、どんでん返しや感動的なシーンも無く、いまひとつのめり込めなかったのが残念であった。

評:蔵研人

テルマエ・ロマエ II3

製作:2014年 日本 上映時間:112分 監督:武内英樹

 初回作は未だかつてなかった奇想天外な展開に驚き大笑いしたはずである。だが第二作ともなるとかなか難しいのだ。ことにこうした「ショートストーリーの繰り返し」のようなパターンでは、もはや笑うことさえ出来なかった。原作にはなかったけれど、せめて上戸彩と阿部寛のラブストーリーをもっと煮詰めていれば面白かったと思うのだが・・・。

 唯一の収穫は、久しぶりに何とあの『てなもんや三度笠』で藤田まこととコンビを組んでいた「白木みのる」がラーメン屋のおやじ役で出演していたことである。いやーっそれにしても懐かしかった。83歳になったらしいけど、まだまだ元気だったんだね。
 まあもう三作目はないと思うが、これで打ち止めにして欲しいよね。さよなら、さよなら。

評:蔵研人

あなた、そこにいてくれますか4

製作:2016年 韓国 上映時間:111分 監督:ホン・ジヨン

 原作はフランス作家ギヨーム・ミユッソの小説『時空を超えて』である。またこの映画の韓国での公開時には、大幅な観客を動員してかなり注目を集めたようだ。
 ジャンルとしては韓国が得意とする「タイムトラベル系ラブストーリー」であるが、タイムトラベルの方法は、カンボジアの不思議な老人からもらった錠剤を飲むことで、30年前にタイムトリップするというやり方である。ただ一回のタイムトラベルは、20分間しか続けられないという制約があった。

 なぜ30年前なのか、それは外科医で主人公のハン・スヒョンが、30年前に相思相愛の恋人を亡くしていたからである。そして過去の自分と遭遇し、二人で協力して恋人の命を救う計画を立てる。ただし若き日の自分に、恋人とは決して結婚しないことを誓わせるのだが…。果たしてそんな希薄な約束が守られるのだろうか。私なら絶対に守らないね、と言い切りたい。
 さてさてタイムトリップ出来る錠剤の数は10錠だが、ハン・スヒョンが使った錠剤は9錠、残りの1錠の存在が本作最後のキーとなる。そうしてタイムトラベルもののお約束とは言え、ラストの見事な連続ドン伝返しへと繋がって行くのである。

 小説のほうは9年前に読んだので、大部分は記憶から消えてしまっている。そこで本ブログの過去記事を確認したところ、本作はかなり原作に忠実な展開なのだが、フランスと韓国のお国柄などの違いもあり、まるでオリジナルのような完成度を感じさせてくれた。
 ただしやはり先に読んだ小説のほうが感動的だったような気がする。そのほかにもいろいろ書きたいことがあるのだが、過去の記事と重複してしまうのでここまでにしておきたい。なお過去の記事を参照したい方は、『時空を超えて』をクリックしてみてね。

評:蔵研人

メッセージ4

製作:2016年 米国 上映時間:116分 監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ

 原作はテッド・チャンの短編小説『あなたの人生の物語』である。この小説はだいぶ以前に購入していたのだが、いまだ読まないうちに映画のほうを先に観ることになってしまった。追っかけ早速小説のほうも読んでみたいと思う。

 ストーリーは巨大な球体型宇宙船が全世界の12か所に降り立ち、世界中が不安と混乱に陥ってしまう。人類はエイリアンたちと接触して、来訪の意図を探るのだが、お互いの言語構成に大きな違いがあり、なかなか理解することが出来ない。そしてついに業を煮やした中国がエイリアンに宣戦布告し、全世界もそれに追随しようと決断してしまうのだった。
 何日間もエイリアンたちと接触し、彼等の言語を理解しようと必死に勤めてきた言語学者のルイーズが、やっと彼等の意図を理解出来たのだが、時すでに遅しの状況である。果たしてこのまま宇宙戦争に突入してしまうのだろうか。

 前半はあのスピルバーグ監督の名作『未知との遭遇』と似たような雰囲気が堪らなく懐かしかったのだが、後半になってだんだん哲学的なムードが漂ってくる。さらにはオープニングや時折流れる娘の回想シーンとの関連が全く理解出来ず、ますます難解さを深めてゆく。だがその難解さの謎がこの映画から一瞬たりとも目を離せなくしてしまうのである。SF映画ながらあのアカデミー賞にノミネートされた理由がやっと判ったと言いたい。

評:蔵研人

サクラダリセット(前・後編)3

製作:2017年 日本 上映時間:103分+126分 監督:深川栄洋  原作:河野裕

 原作の小説は未読だが、この映画を観る前に吉原雅彦が描いたコミックは読んでいる。ただコミックを読んだ時にも感じたのだが、正直言ってこの作品については作者の意図が見えないし、ストーリー展開についても私には理解し難い感がある。

 映画についても、前・後編の作に分割するほど大長編に組む必要があったのかと疑問が残ってしまうのだ。ことに後編では中盤までは睡魔に侵されて辟易してしまった。もう少しすっきりとまとめて2時間半くらいの作品に仕上げて欲しかったね。

 と言っても、能力をコピーする能力とか、写真の中に侵入する能力とかは、なかなか斬新で面白い発想だと感じた。またキャスト的には不満はないのだが、こうした作品はどうしても説明が多くなり、無理矢理映像化した感も否めないね。
 いずれにせよ、なかなか評価の難しい作品であることは間違いないだろう。

評:蔵研人

本能寺ホテル

★★★☆

製作:2017年 日本 上映時間:120分 監督:鈴木雅之


 京都の路地裏にひっそりと佇む『本能寺ホテル』のエレベーターは、戦国時代の『本能寺』へのタイムトラベルの入口だった。そんな荒唐無稽なお話で、綾瀬はるかのOLと堤真一演じる織田信長の出逢いをコミカルに描いた楽しい作品である。
 
 さて『本能寺ホテル』のエレベーターで戦国時代に跳んでゆくには、織田信長が使っていた言う古い時計を起動する必要があり、逆に現代に戻ってくるためには、ホテルのロビーカウンターにある呼び鈴を鳴らさなければならない。従って自分の意志では現代に戻ることは出来ず、偶然呼び鈴が鳴らされるのを待つしかないのが難点なのであった。

 綾瀬はるか演じるOLはボーッとしていて、流れに逆らわずに生きている目的のない女性なのだが、この物語全体の雰囲気もなんとなくぼんやりしていて灰色めいている感があった。そんな訳でこの話を通して何を主張したいのかが伝わってこないのが少し残念である。
 またこうしたお話には、必ずラストのどんでん返しが用意されるはずなのに、それもほとんどなくただただ素直に終わってしまったところに脚本力の弱さを感じてしまった。

評:蔵研人

タイムライン3

製作:2003年 米国 上映時間:116分 監督:リチャード・ドナー

 原作は『ジェラシック・パーク』のマイケル・クライトンのベストセラー小説である。クライトンの小説では、量子物理学上のタイムトラベル理論や中世フランス史についての正確な描写が書き綴られているらしい。だが時間的な制約と万人受けに縛られる映画においては、そのあたりを詳しく再現することは難しい。

 とは言いながらも、アクションシーンだけに集約してしまったのも、なんだか物足りない気がするのだ。それにいかにも悪人というレッテルを貼った人物が、二人も登場するのも子供騙しのようで気に入らない。
 またオープニングの石像の謎と種明かしは、タイムトラベルもののお約束的なループなのだが、ラストシーンを待たずとも中盤ですぐに気が付いてしまったのも残念だ。

 実はこの映画は、16年前に映画館で観て次に記したような評価をくだしている。2時間にまとめたところに無理があると感じたのは今回と同じなのだが、今回戦闘シーンやラストシーンに余り感動しなかったのは、16年前とはいえ一度観ていたからかもしれない。

(16年前のメモ)
 マイケル・クライトンの原作は何度かブックオフで買おうと思ったのですが、なかなか上下巻が揃わないまま買いそびれていました。その後映画化になると聞いて、ずっと楽しみに待っていたのですが、映画の評判は余り良くないですね。
 確かに肝心のタイムトラべル理論については、かなり省略されていたようですし、登場人物の描き方も今一物足りない気がしました。

 だいたいこのような大作を、2時間程度の粋の中で描くこと自体に無理があります。TVシリーズとして、10回位の連続ドラマにしたほうが正解だったのかもしれません。また壮大なストーリーにしては、余り製作費をかけなかったのも、中途半端な作品にしてしまった要因だと思います。
 苦言ばかり並べましたが、もちろん良い面もあります。囚われたヒロインが、わらの屋根を移動するシーンにはドキドキしましたし、火の玉投石と火矢を使った迫力ある戦闘シーンにも好感を持ちました。そして現代と過去を結ぶ感動的なラストシーンでは、思わず予期せぬ涙を落としてしまいました。

 こんなところかな・・・。(-_-;)

評:蔵研人

サイン・オブ・ゴッド

★★★☆

製作:2003年 ドイツ 上映時間:110分 監督:セバスチャン・ニーマン

 原作はアンドレアス・エシュバッハの大作『イエスのビデオ』で、早川書房から上下2巻にわたって出版されている。
 ストーリーは、イスラエルの遺跡発掘場所で、2000年前の人骨と一緒に、何とSONY製のビデオカメラの取扱説明書が発見されるところからはじまるのだ。そして一緒に残された文書から、イエス・キリストが撮影されたカメラが存在することを知るのだが、その肝心のカメラの行方が分からない。

 そのあとは、主人公たちが延々とビデオカメラを探す行動が続くのだが、カメラはなかなか見つからないどころか、謎の組織に追いかけられつかまって、殺されそうになる展開がしつこく続く。そして終盤まで散々引っ掻き回された敵が壊滅し、ビデオの映像が解明されるのはラスト直前の数秒間という、長過ぎるひっぱり具合に呆れたと、言うより腹が立ってしまった。

 ところが10年前にこの原作を読んだ時に、このブログに掲載した記事を再読しまたまた驚いたところである。なんと既にこの映画もGyaOで鑑賞済みだったのである。しかも原作を超える良い出来だと高評価しているではないか。これはどうしたわけであろう。
 つまりこの映画だけを観ると、書き切れないほど突っ込みどころ満載で、SFというよりも、ドタバタアクションに終始し、キリスト動画だけをネタにひっぱり過ぎるというがっかり映画なのだが、実は原作はもっともっと酷かったんだね。
 という訳でこの映画に不満を漏らす人は、是非原作を読んで映画の出来の良さを再評価してみよう。ととと、これは皮肉なのだろうか・・・。

評:蔵研人

ぼくは明日、昨日のきみとデートする4

製作:2016年 日本 上映時間:110分 監督:三木孝浩

 長ったらしいが、なにげにタイムトラベル系のストーリーを彷彿させられるタイトルである。原作は七月隆文のファンタジー小説なのだが、タイムトラベルものに敏感な私にしては、うかつにもまだ未購読・未読であった。
 ただタイムトラベルものと言っても、タイムマシンなどで過去と現在を行き来すると言うような展開ではなく、時間が逆行する男女のラブストーリーというユニークな設定なのだ。

 こうしたお話は、余り詳しく紹介するとネタバレになって感動が薄れてしまうため、レビューを書くのはなかなか難しい。もっとも韓流ドラマにはよく似た話がありそうなのだが、邦画としては珍しい展開である。
 それにしても、主人公の福士蒼汰と小松菜奈はなかなかいい雰囲気で、びったしカンカンの配役だったね。だから荒唐無稽なストーリーにも拘らず、かなり共鳴してしまい涙が止まらなかった。

 ただやはり時間の逆行という現象にはなかなか馴染めず、なんとなくしっくりこなかったのだが、ラストの逆行シーンでやっとそれを体感したような気がした。ここでまた涙・涙・涙となる。近いうちに是非、原作の小説を読んでみたいものである。


評:蔵研人

ナミヤ雑貨店の奇蹟4

製作:2017年 日本 上映時間:129分 監督:廣木隆一

 東野圭吾原作のファンタジー作品である。原作本はだいぶ前に購入していたのだが、読むタイミングを失って映画のほうが先になってしまった。というのは、小説を買って数日後に映画化されることを知り、先に小説を読んだら映画がつまらなくなるので、保留していたという訳なのだ。
 ナミヤ雑貨店というのは、昭和時代に開業していた駄菓子屋のような店で、西田敏行扮するところの老人が一人で店番をしていた。そしてこの店では、閉店後にシャッターの郵便受けに悩み事を投函すると、翌朝牛乳受けに返事を書いて置くというサービスもしていたのである。

 時は流れて、いつの間にか2012年になってしまった。とっくに閉店した「ナミヤ雑貨店」は風化してしまったが、まだ店だけは残ったままである。そこに侵入したのは、悪事を働いて逃げ込んできた三人の若者達であった。
 そして突然驚いたことに奇跡が起こったのである。なんとシャッターの郵便受けに、32年前からの手紙が届いたのだ。
 この『時空を超えた手紙のやり取り』という手法は、韓国映画の『イルマーレ』をリスペクトしたのだろうか。こうしたタイムスリップ系のお話は、それまで謎だった事柄が終盤になって全て繋がってきたり、どんでん返しが用意されたりするものだが、本作でもいろいろな人物を繋ぎ合わせて見事にラストシーンへ収束しているではないか。

 さてこの映画の観客には、なぜか若い女性たちが多く賑やかだった。不思議に感じて後で調べたのだが、主演の三人のひとりに山田涼介という若者がいて、なんとこれが『男性アイドルグループ・Hey! Say! JUMPのメンバー』だというのだ。結局かの女性たちは彼を観にやってきただけだったのである。
 その山田涼介君以外の二人は村上虹郎君と寛一郎君なのだが、三人ともおじさんには全く無名の俳優たちが主演を張っていたとしか思えなかった。もちろん、西田敏行をはじめ小林薫、萩原聖人、吉行和子、尾野真千子、成海璃子など、おじさんでも良く知っている俳優もかなり出演していたので、決してB級作品ではない。それにしてもあの昭和時代の雰囲気を漂わせている商店街は、今でも現存しているのだろうか。当然セットやCGも援用していると思うのだが、エンドロールで協力商店街名が流れていたので『本物』なのであろう。

評:蔵研人

フライト・デスティネーション

★★★☆
製作:2007年 カナダ 上映時間:98分 監督:ジェイソン・ボルク

 民間旅客機が時空を超えた異次元空間に移動してしまい、機内ではこれを元の世界に戻す努力が続けられる。またその航空機には、離陸直前に緊急事態で呼び戻された主人公・ケイレブの妻と娘が搭乗していた。地上に残されたケイレブは、必死になって手掛かりを捜査するのだが、なかなか思うように進展しない。

 ところでなぜ航空機が異次元空間に跳んでしまったのかを説明すると、かなりややっこしいのだが簡単に要約すると次の通り。
●国家最高機密の「時空間移動装置」が開発者のウィンター博士に盗まれてしまう
●博士は悪人ではなく、その装置を政府が戦争に使用するのが耐えられなかった
●政府は国家機密の漏洩を恐れて、戦闘機を派遣して航空機ごと爆撃しようとする
●それに気付いた博士が、急遽機内で「時空間移動装置」を稼働させ、間一髪のところで航空機は異次元空間に消え去る

 と言う流れである。それにしても簡単に一般の乗客全員を犠牲にしてまで守る国家機密なのだろうか。ちょっと待ってくれよと叫びたくなるではないか。
 タイムトラベル系の作品は大好物で、ワームホールがどんどん巨大化して建物や人を次々飲み込んでゆく。そしてアメリカだけではなく、地球丸ごといや宇宙全体を破壊してしまうという超壮大な発想に、なんとなく同調したい気分に巻き込まれたのだが…。
 その後の余りにも陳腐で理不尽な展開にむかっ腹が立ってきた。宇宙が破壊されてしまうという状況下で、なぜ機内でも地上でもアホなお邪魔虫がしつこく絡みついてくるのだろうか。もっともそれらの悪役が登場しないと、変化に乏しい退屈な映画にしかならないからかもしれない。
 まあ娯楽作品なのだから、多少の無理が目についても目を瞑るしかない。だがこのような安易な展開ならば、あえてタイムトラベル系の映画にしなくとも、テロでも脱獄でもとにかく単なるハイジャク映画にすれば良かったのではないだろうか。

評:蔵研人

アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅4

製作:2016年 米国 上映時間:113分 監督:ジェームズ・ボビン

 2010年に製作された『アリス・イン・ワンダーランド』の続編である。監督がティム・バートンからジェームズ・ボビンに変わったが、主なキャストはジョニー・デップ、ミア・ワシコウスカ、ヘレナ・ボナム=カーター、アン・ハサウェイと、全く変わらない。ただ前作では20歳だったアリス役のミア・ワシコウスカが、完全に大人の女性に成長してしまったことにだけ違和感を覚えた。

 前作はルイス・キャロル原作の『不思議の国のアリス』をアレンジしたようなストーリー展開と、超美麗でファンタステックな映像に驚かされたものである。だが本作はさらに脚本が練り込まれたようで、超美麗な映像のままストーリーにも深みを感じた。またVFXも格段に進化し、まるで『ハリーポッター』を観ているような感があった。

 前作は映画館で観て、本作はDVDで観たのだが、本作も映画館で観ればもっと素晴らしかったに違いない。またストーリーの核が『時間テーマ』であり、タイムマシンで過去に戻ったり、パラドックスと世界崩壊を描いているところが面白かった。そして「幸せと愛に溢れた」エンディングにも感動できた。ただ赤の女王の過去だけは、気の毒としか言いようがなかったね・・・。


評:蔵研人

キッド4

製作:2000年 米国 上映時間:104分 監督:ジョン・タートルトーブ

 ブルース・ウィリス演じるところの主人公ラスは、イメージ・コンサルタントである。彼は著名人にイメージ・アップのためのアドバイスをして、かなり裕福な生活を送っている。
 だが金儲けに走り過ぎる彼は、余り人に好かれない。ただ同僚のエミリーには少しだけ好感されているが、恋人とまではゆかない微妙な関係だ。

 そんな彼の元に、ある日奇妙な少年が現れる。その少年の名もラスで、何となくどこかで見たような顔つきなのである。いろいろ話してみると、なんと少年は30年前のラス本人であることが分かる。
 少年はラスに向かって「将来の自分が、望んだ職業にもつけず、結婚もせず、犬も飼わないとは最悪だ」と言う。どのような方法で、何の目的でラス少年が現れたのかは不明である。また常に大空からラスを監視しているような小型飛行機の存在も謎であった。

 少年時代に同級生からいじめを受け、母親の死も自分のせいのように罵った父親。それらの嫌な過去を全て忘れ、必死になって勉強して今日の富を築いたラスだったが、人間として何かかが足りない。
 そう夢や希望がないのだ。そのことを大人のラスが少年のラスに教えられるのである。ラストは感動の涙が止まらない。実にディズニーらしい映画なのかもしれない。心温まるハートフルな映画であった。

評:蔵研人

スライディング・ドア4

製作:1997年 米国 上映時間:100分 監督:ピーター・ハウイット

 米国製のラヴ・ストーリーとしては、ちょっと異色な作品かもしれない。重大会議のある朝に遅刻してしまったヘレンは、ほかにもいろいろあってクビになってしまう。それでしょげかえって、そのまま帰宅しようと地下鉄の駅に向かう。
 改札を潜ると、ちょうどホームに電車が到着したところだった。急いで階段を走るのだが、途中で子供とぶつかり電車のドアは閉まってしまう。だがその瞬間にもう一人の自分がいて、子供との衝突を避けて間一髪で、ドアをこじ開けて電車に乗ることが出来るのである。

 もしあの時こうしていたら、運命はこう変わっていたという題材でスタートするこの作品。ここからは二人のヘレンのパラレルワールドが始まるのであった。二人を区別するため、電車に乗れたヘレンは髪を切りブロンドに染める。

 では二つの運命はどのように変わったのだろうか。実はその後事故が発生し、この次の電車が大幅に遅れてしまうのだ。さらには電車に乗れたヘレンは、車内で隣席のジェイムズという男と運命的な出会いをすることになる。
 だが早く帰宅したため、同棲しているジェリーと浮気相手の情事の真最中に遭遇してしまう。一方電車に乗れなかったほうのヘレンは、電車の遅れとひったくりによる怪我などのお蔭で帰宅は大幅に遅れ、その間にジェリーの浮気相手は帰り、浮気現場に遭遇することは無かった。

 こうして二人のヘレンとその後の展開がパラレルに進行してゆくのだが、ストーリーは二転三転してゆく。果たしてどちらのヘレンが幸せになれるのだろうか。とワクワクしながら、あっという間に意外なラストへと進んでゆくのである。
 まるでヨーロッパ映画のような展開で、よく練り込まれたちょっぴりお洒落な脚本といえるだろう。またヘレンを演じた長身の女優も、なかなかキュートで魅力的だなあと思いながら観ていた。
 実はそのヘレンを演じた女優こそ、この作品から11年後に製作された『アイアンマン』でヒロインを演じるグウィネス・パルトローその人だったのである。

評:蔵研人

君の名は。5

製作:2016年 日本 上映時間:107分 監督:新海誠

 ほとんど予備知識なしでこのアニメを観た。単なる学園ラブコメかと思っていた。それではじめは敬遠していたのだが、「10日間で動員290万人、興収38億円を突破」という凄まじい人気で、連日マスコミが騒ぎ立てると言う異常事態が勃発。
 その超人気に煽られて、とうとう私も重い腰を上げることになってしまった。通常はジブリ作品以外のアニメなら、観客はオタク風の若者が多いのだが、なんと本作に限ってはかなり年配の観客が多いではないか。これも私同様マスコミの報道に煽られて、ゾロゾロとやってきた人達なのであろう。
 それにしても8月に公開されてから、既に3か月目になるというのに、まだまだ空席が少ない状況なのだ。一体どこまで興行収入が伸びてゆくのだろうか。

 高校生の男女の心と体が入れ替わるという、大林宣彦監督による『転校生』のような展開なのだが、彼等はお互いに見知らぬ者同士、というところが『君の名は』の君の名はたる所以なのである。そして男子は東京で女子のほうは田舎町に住んでいるという設定だ。
 さらにはこの田舎町に、東日本大震災を彷彿させる大災害が突然勃発し、町は壊滅状態となってしまうのである。だがこの大災害が起きたのは3年前であった。と言うことは、二人の入れ替わりに3年間の時間がねじれていたのである。だから二人が逢おうとしても。絶対に逢えないのだった。過ぎた過去はもう取り戻せないのか。だが唯一取り戻せるパワースポットのような場所が存在していたのだ。

 人物は普通のアニメなのだが、CGを駆使した背景が実に美しい。そしてこの意外な展開にも驚かされ、ちっぽけな学園ドラマが、一挙にスケールの大きな宇宙的なファンタジーと化してしまうのである。人によっては少し戸惑うかもしれない。だからリピーターが多いのだろう。まあそれはそれとして、この映画をより詳しく理解したい人には、新海誠監督の著した同名の小説があるので、そちらのほうも読んでみようではないか。

評:蔵研人

テラフォーマーズ3

製作:2016年日本 上映時間:108分 監督:三池崇史

 ここ最近の邦画は、大半が人気コミックを原作にしている。やはり、既にコミックでヒットを実証済だし宣伝効率も高いため、こうした傾向に走ってしまうのかもしれない。本作もコミックが原作らしいが、私自身はまだこのコミックは未読である。従って原作に惹かれてこのタイトルを選んだわけではない。単にあの『エイリアン』のようなホラーチックなSFが観たかっただけである。

 さすが人気コミック発で、ストーリーはなかなか興味深い。近未来のお話である。地球で猛烈な人口増加が続き、人類は火星への移住を計画する。そしてまず火星の環境を地球に近づけるため、コケと原始時代から地球に生息し、環境変化に強いゴキブリを火星へと送り込んだのである。さらにその500年後、移住計画の最終段階として、今度はそのゴキブリを駆除するため、個性的な15人の隊員が火星に派遣される。ところがなんとゴキブリたちは、強力なゴキブリマンに進化していたのだった。そして彼等こそが、テラフォーマーと呼ばれていた新生物だったのである。

 そのゴキブリマンの造形や動作はCGで描かれており、なかなか見応えがありスピード感もあった。さすがワーナーが配給しただけあり、邦画と言えどもVFXの出来栄えはまずまずかな。と思ったのもつかの間、隊員たちが昆虫人間に変身した途端に、かなりの失望感を抱かざるを得なかった。
 なんと変身後の姿は、TVの仮面ライダーに登場する怪人たちの着ぐるみそのものではないか。また、ゴキブリマンとの戦闘もプロレスゴッコに終始するばかりなのだ。

 なぜ変身後の怪人を、ゴキブリマンと同様にCGで描き、もっとド派手な戦闘シーンを創出できなかったのだろうか。ストーリーとゴキブリマンの出来が良かっただけに、この状況は非常に残念である。
 たぶんネットでの評価が異常に低いのも、きっとこのせいかもしれないと感じてしまった。またラストシーンも単調で全く捻りがない。とかく詰めが甘いのが、邦画のSF映画の特徴である。悔しいが世界的な水準に到達するのは、まだまだ時間がかかりそうだね。

評:蔵研人

ファイナル・カウントダウン

★★★☆

製作:1980年米国 上映時間:104分 監督:ドン・テイラー

 1980年にハワイ沖で訓練をしていた原子力空母が、蒼白い閃光の嵐に襲われて過去の世界にタイムスリップしてしまう。なんとそこは約40年前の真珠湾攻撃直前の太平洋だったのである。
 そしてそこで空母から発進した最新鋭戦闘機F14と、日本軍のゼロ戦との戦闘が始まるのだが、当然のことだがゼロ戦は全く歯が立たない。そして撃墜されたゼロ戦から、拿捕された日本軍の兵士が空母の中に連れてこられるのだが…。

 タイムスリップ映画の名作と謳われた本作は、さすが製作費2000万ドルを費やしただけあって、35年以上経過した現在においてもそれほど色あせていない。また空母から発進するF14の雄姿と迫力はなかなか見応えがあった。ただ捕虜にした日本人兵士役を韓国人の俳優が演じているため、日本人から見るとかなり違和感を禁じ得ないところが非常に残念である。

 さて、かわぐちかいじ氏のマンガ『ジパング』では、日本の自衛隊とイージス艦が太平洋戦争の真っただ中にタイムスリップするという日米逆バージョン版を描いているが、もしかするとこの映画にヒントを得てアレンジ創作したのかもしれない。まあマンガのほうは43巻という大長編で、日本軍が米国より先に原爆を開発し、それを自衛隊が阻止するという皮肉な展開に終始しているのだが・・・。

 本作のラストシーンは、まさにタイムスリップものによくあるオーソドックスなパターンであり、なんとなく途中で気が付いてしまった。やや物足りない感もあるが、ハッピーエンドでめでたしめでたしかな。またいかにも実在人物のように描かれていたチャップマン上院議員は、実は架空の人物ということである。念のため。

評:蔵研人

orange-オレンジ-

★★★☆

製作:2015年日本 上映時間:139分 監督:橋本光二郎

 原作は高野苺の少女コミックで、美しい風景の松本市を舞台にした学園SFラブファンタジーである。主演はなんとNHKの朝ドラ『まれ』と同様、山崎賢人と土屋太鳳の『けんたお』コンビなのだ。

 さてストーリーのほうは、10年後の自分から、高校2年生の高宮菜穂宛に手紙が届くところからはじまる。そしてそこには、間もなく東京から転校してくる成瀬翔を好きになってしまうこと、そしてその翔は1年後に死んでしまうことが書かれていたのである。
 はじめは誰かのいたずらではないかと思っていた菜穂だが、手紙に書いてあることが全て実現してしまうため、手紙の内容を信じるようになる。そして翔の死を防ぐため、仲間たちにも協力してもらいながら、翔の運命を変えるべく行動を次々に実行するだった。

 映像を観ていても、まさにこれぞ少女マンガという雰囲気がプンプン匂ってくる清純ラブストーリーである。従って軸足は常に恋愛であり、タイムトラベル理論にしても、タイムパラドックスとパラレルワールドのさわりをチラつかせただけに過ぎない。

 また未来からの手紙がどうして届いたのかについても、はっきりとした説明がないまま終わってしまった。それにこの種の話によくあるどんでん返しや洒落たオチもなく、ふんわりとしたままエンドロールを迎えてしまったのも、なんとなく物足りない気分である。
 まあ随所で泣かされるシーンもあり、そこそこ楽しめる作品なのだが、あの名作『いま、会いにゆきます』には遠く及ばないことも否めないだろう。

評:蔵研人

僕だけがいない街3

製作:2016年 日本 上映時間:120分 監督:平川雄一朗  原作:三部けい

 原作のマンガを先に読んでからこの映画を観た。序盤から中盤までは、ほぼ原作をなぞったダイジェスト版だった。だが終盤になってストーリー展開が急変してくる。さらにはなぜか結末をバッドエンドにチェンジしてしまったのである。
 時間の制約もあるため、実写映画化にあたってストーリーを再編することは良くあるが、結末をこれほど変化させては、別の作品に修正してしまったようで納得できない。よくこの結末を著者が許可したものである。

 主人公は漫画家をめざすフリーターの藤沼悟。彼は事件や事故が起こると、時間がループする体質である。それで事故を未然に防いだこともあった。だがある日家に帰ると、母親が何者かに刺されていた。成り行き上、彼は容疑者にされてしまう。そして逃亡中に意識を失い、18年前にタイムスリップしてしまうのである。タイムスリップと言っても、小学生時代の自分の心の中に、大人の自分の心が移動したのだった。

 この過去には、未解決の少年少女殺人事件が何度も発生している。もしかするとこれらの事件を解決すれば、母親が刺される未来も改変できるかもしれない。そう考えた悟少年は、殺害されたクラスメートの雛月加代を救う決心をする。といった展開でタイムトラベルとミステリーを複合させた興味深いストーリーである。

 原作のストーリーは良く出来ているのだが、個人的にはあの絵が好きではない。とくにキャラの目がみな同じようで、硬い感じの絵柄にも同調できないのだ。逆に映画のほうは、映像や俳優は良いのだが、ストーリーに共感できないのである。
 ということは、この映画を原作に忠実に創っていればかなり好感を持てたと言うことになる。非常に残念でたまらない。

評:蔵研人

エアポート20153

製作:2015年 米国 上映時間:86分 監督:エミール・エドウィン・スミス

 「民間旅客機が第二次大戦中にタイムスリップ」という謳い文句に釣られてレンタルしてしまった。こうした作品には駄作が多く、本作もチープな模型や突っ込みどころ満載のB級作品なのだが、なんとかギリギリ楽しめたので★★★の評価を与えた。
 タイムスリップものの常套手段として、乱気流はいつもその出入り口に使われる。またラストの落ちも、よくあるパターンでほぼ予測通りであった。
 またこんな場合は乗客たちがパニック状態になるものだが、一人の乗客を除いてはみな紳士的だったし、その一人の乗客も殴られてから急に大人しくなってしまった。これらはパニックものとしてはかなり物足りないのだが、現実的にはこんなものなのだろうか。いずれにせよ中途半端であることだけは間違いないだろう。

 さてそれにしても、ドイツ軍の戦闘機に囲まれて集中射撃をくらってもほとんど当たらず、死人も2人しかでない。また客室の一部が破損しても、酸素マスクも落ちないなどなど、突っ込みどころは山ほどある。だが細かいことには拘らず、そこはそれB級作品なのだからと、割り切って鑑賞できれば、そこそこ楽しめるかもしれない。

評:蔵研人

プリデスティネーション4

製作:2014年 オーストラリア 上映時間:97分 監督:マイケル・スピエリッグ

 ロバート・A・ハインラインの短編小説『輪廻の蛇』が原作のSFサスペンス映画である。携帯用タイムマシンを使って時空を往来し、犯罪者を取り締まる中年エージェントと、その仲間に誘われる男女両性を持つ青年との宿命的な物語と言えるだろう。主役を演じたイーサン・ホークとセーラ・スヌークの二人もぴったりのはまり役で、存在感たっぷりの味のある渋い演技だった。

 小説のタイトル『輪廻の蛇』とは、自分で自分の尻尾を飲みこむ蛇のことであり、矛盾というか複雑なパラドックスと言う意味なのかもしれない。とにかくハインラインのタイムパラドクスは、しつこいくらい理屈ぽくて秀逸である。
 本作はそのハインラインの絶妙な味とタッチを損なわず、不気味さを漂わせながら実に見事に描いているではないか。ただ内容について詳細を綴ると、その面白さが台無しになってしまうため、評論者泣かせの映画とも言える。従ってあとは観てのお楽しみと言うことで締めることにする。

評:蔵研人

アデライン、100年目の恋

★★★☆

製作:2015年 米国 上映時間:113分 監督:リー・トランド・クリーガー

 アデラインは29歳の時に自動車事故で川に転落。低体温症で心臓が止まった瞬間、車に雷が落ちて再び心臓が動き始めるのだ。そして落雷による電磁圧縮作用で老化が止まってしまうのだった。
 だから中年になっても、老年になっても外見は29歳のまま変わらないのである。まるで魔女かバンパイアのようであるが、本作はSFとかホラーではなく、多少ファンタジックな純愛作品なので、妙な期待は抱かないで欲しい。

 タイトルが示す通り、アデラインが100歳を超えたときに巡り合う運命の恋を描いているのだが、なんとその恋人の父親(ハリソン・フォード)が昔恋に落ちた相手だったというおまけ付きなのだ。また100年も生きていれば当然だが、娘がまるで祖母のように老けていたりするところがなんとなく涙ぐましい。
 ラストの展開はほぼ予想通りで、ハッピーに締めくくられたのは良いとしても、もう少し捻りがあってもよかったと思うし、アデラインの孤独な人生をもっと強調してもよかった。また落雷一発で不老体質になったという設定も単純過ぎるし、それについての追及とか解説がほとんどないのも残念である。
 ただ主演のアデラインとその恋人エリスを演じた二人が、まるで絵画から飛び出してきたような知的な美女と美男であり、この作品の雰囲気にぴったりと染まっていたことが、この映画を引き締めてくれたような気がする。

評:蔵研人


九月の恋と出会うまで 映画版4

製作:2019年日本 上映時間:106分 監督:山本透

  原作である松尾由美の同名小説を読んだのは、もう5年前のことであり、細かいストーリー展開と結末は余り覚えていない。それで新鮮な眼で本作を観ることが出来た。また登場人物が4人しか登場しないアイデア一辺倒の原作より、映画のほうが恋愛色に染まっていてストーリーも面白いし、スケールも広がっている。それに美しい映像と効果的な音楽が加わるから、珍しく原作を超えた映画と言ってよいだろう。
 ただタイムパラドックスとの因果関係については、やや解り辛いのであとで原作を読むと良いかもしれない。とは言っても、過去改変の影響については、原作でもいま一歩深みにはまり切っていないところが、かなり物足りないので念のため・・・。

 北村志織は、入居したばかりのマンションで、不思議な現象に遭遇する。なんと隣室に住んでいるが、ほとんど話をしたことのない平野という男性の声が、エアコンの穴から聞こえてきたのだった。それも一年後の未来から話していると言うのである。
 はじめは信じられない志織だったが、翌日の天候に始まり一週間分のニュースを言い当てられ、未来からの声だということを信じざるを得なくなってしまう。そのうえ現在の平野を尾行してくれという、奇妙な依頼を未来の平野から受けてしまうのである。だがなぜ尾行するのかという理由は教えてくれない。

 序盤は平野を尾行する理由の謎を追い、中盤はタイムパラドックスを避ける活動、そして後半に完全なラブストーリーへと変換してゆく流れは、「なかなか見事な脚本に仕上がっている」と褒めてもよいだろう。思わず一昔前に、こんな感性の韓国映画をよく観たことを思い出してしまった。
 また主演の高橋一生と川口春奈の演技力と存在感もなかなかであり、二人ともしっかりとこの役柄にはまっていた。まあどちらかと言えば、タイムトラベルよりも恋愛ものとして若い人たちにお勧めの作品かもしれないね。

評:蔵研人

タイム・チェイサー

★★★☆

製作:2013年 カナダ 上映時間:93分 監督:リッチー・メータ

 12年前に出張したまま行方不明となってしまった父親。だが母親は夫は死んだのか、女と逃げたのか、生活を捨てたのか判別できず苦悩の末自殺してしまう。ところが大学教授の祖父は、娘の夫は失踪したのではなく、タイムトラベルしたまま事故に巻き込まれてしまったのではないかと推測していた。だがそんな荒唐無稽な話は娘に告げられず、天才的な頭脳を持つ孫のエロルにだけ教え、一緒にタイムマシンの開発をすることになるのである。

 タイムマシンの話が出るまでは、父親の失踪の謎と、母親の苦悩を描いたサスペンスドラマのようであった。だがタイムマシンはなかなか完成しない。そしてエロルは過去を変えることにより、恋人との幸せな生活が消滅することを恐れて研究を止めてしまう。だがある出来事がきっかけとなり、見えなかった方程式が解けて、あっという間にタイムマシンが完成するのである。
 そして父親がタイムトラベルした過去へ出発する。なにせタイムトラベルはこの一回だけである。そして父親に遭遇し感動のラストへ。となんとなく『オーロラの彼方に』と似たような展開だが、本作のほうが父親の存在感が薄いような気がする。

 まあタイムトラベルものとしては、まずまずのストーリー構成だと思うのだが、なにせ主役のエロルを演じたハーレイ・ジョエル・オスメントがミスキャストだったのではないだろうか。彼は過去に天才子役と騒がれ「シックスセンス」や「A.I」などで、インパクトのある役柄をこなしていたことを知る人は多いはずである。
 そのハーレイ・ジョエル・オスメント君も、20代後半となったのだが、なんとチビで小太りのうえ、似合わないヒゲ面で、誰が観ても天才大学生とは思えない風貌なのだ。これでこの作品の価値がかなり萎んでしまった気がする。主役のイメージは、恐ろしいほど映画全体の完成度に影響するものである。
 もうひとつタイムマシンが余りにもチープ過ぎるのも悲しいね。ほかにお金をかけるシーンはほとんどないのだから、タイムマシンのセットとタイムトラベルシーンくらいは、もう少しましな創り方が出来なかったのだろうか。なぜプロの監督にそんなことが出来なかったのか、非常にもったいないし残念である。

評:蔵研人

プロジェクト・アルマナック

★★★☆

製作:2014年 米国 上映時間:106分 監督:ディーン・イズラライト

 何度も過去へのタイムトラベルを繰り返しているうちに、段々と制御不能な事態を招いてしまう若者5人を描いたSFサスペンスである。またこの作品は、ファウンド・フッテージという手法を使い、私の大嫌いな手持ちビデオカメラで写したPOV形式の低予算映画なのだ。
 ファウンド・フッテージとは、撮影者が行方不明などになり、それまで埋もれていた映像という設定の作品のことをいう。またPOV形式とは、カメラの視線と登場人物の視線を一致させるようなカメラワークのことを言い、『クローバーフィールド』、『クロニクル』、『プロジェクトX』などでも採用されている。
 これにより臨場感抜群でリアルな映像を創生しているつもりなのだろうが、ともかく私自身はこの「ゆらゆら、ザラザラ」した映像を観ていると船酔い状態となり、吐き気を催してしまうので、途中で目を閉じるか席を立ちたくなるのだ。

 そんな訳で、この映画も途中で気分が悪くなり、何度中座しようと思ったことか。ところがタイムマシンが登場すると、なんとか落ち着いて映像を見れるようになったのだから不思議なものである。そのタイムマシンが稼働するとき、空間を揺るがすようなエネルギーの暴発シーンがなかなか素晴らしく、一時的に低予算であることを忘れさせてくれたのが嬉しかった。
 
 また何度も過去をやり直すのだが、何かを変えることにより別の何かも変わってしまう、という因果律に逆らうことが出来ない。なんとなくあの『バタフライエフェクト』を彷彿させられるような展開でそれなりに面白かったのだが、過去での行動が余りにも単純だし、いくつかの矛盾点が目立ったのも残念でならない。もう少し手直しすればかなり完成度があがったと思うのだが・・・。

評:蔵研人

ギャルバサラ -戦国時代は圏外です-2

製作:2011年日本 上映時間:110分 監督:佐藤太

 劣等女子高生3人と男子高生2人の計5人が、奇妙な光に巻き込まれ戦国時代にタイムスリップしてしまう。そこでさっそく野武士に襲撃されたり、岐阜城ではなんとあの織田信長に謁見するという荒唐無稽な青春SFコメディーである。
 それにしても低予算の目立つB級映画で、武士たちの話し方や仕草が現代人そのまんまで、全く迫力がなく緊張感も湧かないのだ。コメディーと言ってしまえばそれまでだが、もう少し何とかならなかったのだろうか。お気楽な映画のはずだが、心が宙に浮いたままで何だか疲れてしまった。

 派手なタイトルと可愛いギャルのポスターに釣られてレンタルしてしまったが、余りにも突っ込みどころが大過ぎるし、製作者側のやる気の無さにも腹が立ってくる。もうこれ以上批評するのも面倒になってしまった。ただ唯一ラストに出てくる「ストラップ」だけが、タイムスリップもののお約束の締めくくりだったと言ってよいだろう。
 
評:蔵研人

篤姫ナンバー13

製作:2012年 日本 上映時間:86分 監督:小中和哉


 タイトルの『篤姫』は分かるのだが、そのあとに続く『ナンバー1』とは何なのだろうか。と思ってこの作品を観たのだが、江戸時代から現代にタイムスリップしてきた篤姫が、銀座ホステスのナンバー1を目指すと言うおバカなお話だった。
 江戸時代から現代にタイムスリップしてくるという映画は、これまでに時任三郎の『満月』、錦戸亮の『ちょんまげプリン』などがあるが、いずれも武士が現代にタイムスリップしてくるお話だった。ところが本作でタイムスリップしてくるのは、女性でしかもなんと歴史上の人物である天璋院篤姫なのである。

 江戸時代から現代にタイムスリップすれば、その文化の大きな差に驚愕し、なかなか現代には馴染まないものであるが、何とこの篤姫さまは、あっという間に現代人に溶け込んで、ミニスカートをはくどころかホステスになってしまうのだ。今も昔も若い女性の適応能力の早さなのだろうか。ただ銀座ホステスと言ってもアダルト色は皆無なので念のため・・・。
 それにしても、現代から江戸時代にタイムスリップすると、時代劇のセットなども含めてかなりの製作費を覚悟しなくてはならないが、この映画のように江戸時代のシーンが箱根の山奥だけだとお金がかからなくていいよね。いずれにせよ深刻な作品ではないのだから、ファンタジーコメディーと割り切ってお気楽に観るしかないよね。
 
 まあ低予算で荒唐無稽なハチャメチャ映画であるが、タイムスリップして来たのが篤姫だけではなく、世話係のタエと女忍者のみつも一緒だったという設定が面白かったかもしれない。この三人は三者三様で個性的に描かれており、なかなか笑える仕上がりになっている。
 タイムスリップものとしては、余り期待できないものの、ラストシーンでの『変形Vサイン』だけは、思わずニヤリとしてしまうだろう。まあ映画館で観ると腹が立つかもしれないが、レンタルDVDを家族揃って楽しむ程度なら許せる範囲であろうか。

評:蔵研人

ジュブナイル

★★★☆

製作:2000年 日本 上映時間:105分 監督:山崎貴

 少年4人が不思議なロボットと出会い、地球の海を奪おうとしている宇宙人たちと戦うSFファンタジー。その少年たちが住んでいる場所は、近くに海や森のある田舎であり、まさに「スタンド・バイ・ミー」の世界と言えよう。
 タイトルの『ジュブナイル』とは、ティーンエイジャーを対象読者とする小説のことを指す。従って本作も少年たちが主役で、少年向けに創られた映画と言ってよいだろう。

 宇宙人たちが少しチンケで、画像合成も雑な感じがするのだが、15年前の和製VFXとしてはまあまあなのかもしれない。監督が山崎貴ということで、吉岡秀隆をはじめ数人が『ALWAYS三丁目の夕日』にも出演している俳優だったのは微笑ましい。また山下達郎の主題歌がとても心地良かったね。

 地球が壊滅するかもしれないのに、警察も自衛隊も出てこないし、子供たちだけで宇宙人と戦うという大人にはちょっと気恥ずかしくなる展開なのだが、少年たちが観ればきっと熱くなるのだろう。私的にはある程度予測済ではあったが、ラストの未来シーンがお気に入りである。それにしても、なぜこのDVDはレンタルしていないのだろうか。そのお蔭で中古品もかなりの高値で取引されているようである。

評:蔵研人

ターミネーター:新起動/ジェニシス3

製作:2015年 米国 上映時間:125分 監督:アラン・テイラー

 12年ぶりにシュワルツェネッガーが本シリーズに復帰した、と言うことでオールドファンを中心に映画館は超満員であった。そして前半は懐かしいシーンの目白押しでオーッと声があがる。またターミネーターの皮膚は、人間の皮膚と同様に老けていくという設定には笑ってしまう。多分年を取ったシュワちゃんを正当化するために、無理矢理創った設定なのであろう。

 また無理矢理と言えば、今回はタイムマシンがフル稼働する訳だが、ジョン・コナーが死んでしまうためか、時間軸のズレがハチャメチャになってしまうのだ。過去が大きく改変されると未来が変わるのだが、本作では未来が変わったため過去も変わってしまうのである。結局辻褄が合わなくなり、苦し紛れにいわゆるパラレルワールドの世界に突入してしまうのだ。

 だから今までのシリーズとは全くスタンスの異なる作品になってしまったようである。つまり本作では、ターミネーターのT-800は、サラ・コナーの少女時代に、どういう訳か彼女を守るために未来から派遣され、まるで父と娘のようなホットな関係になっているのだ。そこに本来はジョン・コナーの父親になるはずだったカイルがやってくるという、ちょっともつれたストーリーに変化しているのだから驚いてしまう。

 いずれにせよ、複雑なタイムパラドックスが絡むだけではなく、本シリーズを知らない人でないと理解出来ないシーンも多いため賛否の分かれるところであろうか。だが67歳を迎えているシュワちゃんの頑張りようには拍手を送りたいし、サラ・コナー役のエミリア・クラークが微妙に可愛いのも○だね。ただ悪役のジョン・コナーを演じたジェイソン・クラークは、正直あんまり好きじゃないな。それにしても、エンドロール後のあのシーンは何だったのだろうか?まだまだ続編がある感じだね。

評:蔵研人

タイム・ハンターズ3

製作:2013年 ロシア 上映時間:100分 監督:ユーリー・モロズ

 タイムトラベルものには、不出来な作品が多いのだが、タイムトラベルマニアとしては作品の良し悪しよりも、とにかく観ることが優先してしまう。という訳で今回も衝動買い、いや衝動レンタルしてしまった。
 ケータイ電話と謎のアプリの組み合わせで、たちまちインスタントタイムマシンが完成。これを使ったロシアのジャーナリストが200年前にタイムスリップし、ロシア軍と海賊たちとの戦いに巻き込まれてゆく。

 SFアドベンチャーコメディーと言えば良いのだろうか。珍妙なロシア映画である。ただなぜタイムスリップする必要があったのかが、未だに良く判らない。またロシアの歴史に疎いため、かつて米国に実在したロシア領「ロス砦」についても初めて知ることになった。この映画を観る前に、その辺の事情を知っていれば、もう少し楽しく鑑賞することが出来たかもしれない。

評:蔵研人

タイムシャッフル

★★★☆

製作:2014年 米国 上映時間:104分 監督:ブラッドリー・キング

 
 バイトでアパートの管理人をしながら、ルームシェアリングをしている三人の若者たち。そのうち二人の男女は売れない画家のカップルで、もう一人は博打好きの友人である。
 ある日向かいの部屋に住む老人の家を訪ねると、老人は不在で壁には無数のポラロイド写真が貼ってあった。なんとその写真は向かいに住む自分たちを隠し撮りしたものばかり。
 すわストーカーだったのかと思ったら、実は窓際に設置されていた巨大カメラは、24時間後の未来を写し出すタイムカメラだった。そして壁に貼られていた写真は、自分たちの未来を写したものだったのである。

 さらに倉庫の扉を開けると、そこには焼け焦げたような老人の死体が転がっていた。老人の死は、未来の写真に逆らったためだと思いこんだ三人は、写真に移されている通りの明日を演じることを決断するのであった。
 そして画家は明日の自分が描いたと思われる絵を模倣して絵を描く。また博打好きは当然明日のレース結果を知るために、窓にレース結果を書いた紙を貼りつけて、前日に写される写真によってレースは百発百中となる。
 だがこんな調子の良いことばかりが長く続くはずがない。ある日、百発百中の奇妙さに不信感を抱いたレースの胴元?が家に訪れ、博打好きを脅してタイムカメラの所在を突き詰めるのだった。それからはこのヤクザな胴元の部下に見張られ、脅される日々が始まるのであった。

 場所はアパートだけ、会話のある登場人物も7~8人という低予算のB級映画である。だがアイデアがなかなか面白いし、だんだん変化してゆく三人の心理描写も巧みに描いている。そして先の読めない展開にもドキドキしてしまうだろう。
 ただ胴元が登場してからは、SFからミステリーにチェンジしてしまったことと、ラストの収束方法が今一つだったのが非常に惜しまれる。少なくとも終盤では、もうひと捻りもふた捻りも欲しいところであった。

評:蔵研人

タイム・クライム3

製作:2013年 韓国 上映時間:98分 監督:キム・ヒョンソク

 2007年に『TIME CRIMES タイム クライムス』というスペイン映画が製作されているが、本作はそのタイトルをパクったような韓国のタイムマシン映画である。
 タイムマシンを開発したものの、24時間未来に行けるという確証を得ただけで、莫大な研究費用がかかるため、スポンサーから撤退の指示が出ることになってしまう。だがそれに納得出来ない研究室長のウソクは、仲間の反対を押し切って自ら実験台となり、タイムマシンに乗り込んで24時間後の世界に旅立つのだった。

 ウソクが24時間後の世界で見たものは、廃墟となった研究所と、防犯カメラに写されていた不気味な映像であった。一体24時間の間に何が起こったのだろうか。なんとか元の世界に戻ったウソクは、危険なので早く撤退しようと反対する仲間を制して、必死で謎の解明に取り組むのだが、結局それが現実に起こるのを防ぐことは出来なかった。とにかくウソクの行動には一々納得しかねるし、フラストレーションがたまり過ぎたよね。

 まさに序盤のストリーリー展開からタイムトラベルまでの流れは、心が躍りワクワクさせられたのだが、そのあとが全くいただけなかった。タイムマシンの稼働はたったの一回だけだし、仲間同士で殺し合いを始めたり施設の破壊が続き、退廃的で暗くて陰鬱な展開に終始してしまうのだ。これではタイムトラベルの持つ面白さ・摩訶不思議さ・どんでん返しの妙などの味が全くなく、全くカタルシスも得られない。
 なぜそんな不愉快な流れになってしまったのか。またその引き金となった「研究所大爆発の直接原因」が余りにもバカバカしく説得力がない。せっかく立派なタイムマシンが登場するものの、これはSFというよりミステリー・ホラーという雰囲気がする。だがそれならばちっとも怖くないのも情けないではないか。要するにただただ、「24時間後の世界がパズルを解くように合成されてゆく」という作品に留まっているだけなのである。

 またウソクと一緒にタイムマシンに搭乗したヨンウンの革スーツが、気絶している間に「とっくりセーター」に着替えられていたのが、何とも不自然で気に入らない。多分二人のヨンウンが同時に登場するため、それを区別するための手法だと思うが、着替えをする理由とそのシーンを挿入するべきではなかったか。
 細かいことかもしれないが、こうした神経質な配慮があってこそ、荒唐無稽なSF話も成立するのである。逆に言えばそうした繊細さに欠けているからこそ、中途半端な作品にしか仕上がらなかったのかもしれない。

評:蔵研人

アバウト・タイム ~愛おしい時間について~3

製作:2013年 英国 上映時間:124分 監督:リチャード・カーティス

 過去にだけタイムトラベルが出来る能力を持つ青年が、その能力をフルに使って意中の女性のハートをつかむというSFラブコメである。監督はあの『ラブ・アクチュアリー』でラブコメには定評の高いリチャード・カーティス。

 タイムトラベル能力を駆使することにより、何度もやり直しが聞くので彼女の好みを知った上で再度チャレンジ。このパターンは、1993年に製作されたビル・マーレイとアンディ・マクダウェルの『恋はデジャ・ブ』とそっくりだ。
 もちろんそれを期待して、やっとこの作品の上映館であるミニシアターを探し出して朝一で観たのである。だが残念ながら『恋はデジャ・ブ』を観たときのような衝撃と面白さは沸いてこなかった。

 ただ彼女と知り合った日より前にタイムトラベルしてしまうと、彼女との出会いはなかったことになり、彼女の連絡場所を書いたメモが消えてしまうとか、子供が生まれた日より前にタイムトラベルすると別の子供が生まれてしまうなどの障害が発生するというパターンは目新しくて面白かった。
 ところが父親の説明では未来には行けないはずなのに、 過去から現在に戻ることは可能なのだろうか。そのあたりがかなり曖昧で分かり難いし、ご都合主義的なところが、ちょっと引っかかってしまったな・・・。


評:蔵研人

STAND BY ME ドラえもん4

★★★★

製作:2014年 日本 上映時間:95分 監督:八木竜一、山崎貴

 藤子・F・不二雄生誕80周年記念作品として製作され、シリーズ初の3DCGで『ドラえもん』を再構築した作品である。従ってかつての名作を繋ぎ合せているため、ストーリーにオリジナリティーが欠けているという批判もあるようだ。
 だが3DCGの映像は、まるで最近のディズニーアニメのように洗練されており、映画館の大スクリーンで観る価値は十分に高い。また見方を変えれば、つぎはぎなストーリーをよくここまでまとめて、大人の鑑賞にも耐えられ総括的な作品に創りあげたものだと評価しても良いだろう。さすが『ALWAYS 三丁目の夕日』の山崎貴氏が手がけた脚本である。

 ただSFとしての発想がかなり甘い。そもそものび太の結婚相手を替えるために、曾孫がドラえもんを現代に送り込んだということ自体があり得ない。つまり結婚相手が替われば、その曾孫は誕生しないわけで、タイムマシンで過去に来ることも出来ないはずだからである。
 また現代(と言っても昭和時代?)から15年後に街中空を飛ぶ乗り物だらけというのも飛躍し過ぎているではないか。せっかく大人にも楽しめる作品を目指したのだから、そのあたりの矛盾が起こらないような設定が必要だったのではないだろうか・・・。

 まあいずれにせよ、ドラえもんのアニメを観てこれほど泣けるとは思わなかった。映画が終わって、隣に座っていた小さな子が、「面白かったね」と親に話しかけているのを聞いて、やっぱり良い映画だったんだと感じざるを得なかったのも確かである。

評:蔵研人

オール・ユー・ニード・イズ・キル4

製作:2014年 米国 上映時間:113分 監督:ダグ・ライマン
 
 なんと桜坂洋のSF小説『All You Need Is Kill』が、トム・クルーズ主演のハリウッド映画になって逆輸入されてしまった。当初主演はブラッド・ピットが予定されていたが、最終的にトム・クルーズが選ばれ、彼の年齢に合わせるため、ジョビィ・ハロルドによって脚本が書き直されたという。

 近未来の地球お話である。エイリアンの侵略とその激しい攻撃を前に、もはや人類の軍事力では太刀打ちできなくなっていた。なにを間違ったのか、そこに戦闘経験ゼロの広報担当将校ケイジが無理やり送り込まれてくる。兵器の使い方も知らない彼は、戦場ですぐに死亡してしまうのだが、その瞬間また基地に送り込まれた前日に戻ってしまうのである。
 そしてこれを何度も繰り返すタイムループにはまっているうちに、だんだん戦闘能力が向上してゆくのだった。そんな中で、英雄的な女性戦闘員リタと巡り合い、彼女も過去にタイムループを繰り返していたことが判明する。

 いずれにせよ、『恋はデジャ・ブ』にはじまって、『タイムアクセル12:01』、『リバース』、『トライアングル』、『ミッション:8ミニッツ』など、タイムループ系の映画には目のない私であるが、そのほとんどの作品に外れがない。その中でも本作はかなりの良品であると言って良いだろう。
 ことにケイジが最初は軟弱兵士だが、タイムループを繰り返しながら、何度もリタに鍛えられて少しずつ頼りがいのある兵士に変貌してゆくというパターンが、『恋はデジャ・ブ』と似ていて、私にはかなり心地良く感じられた。また主演のトムもぴったりのはまり役で、圧倒的なCG映像にも負けず劣らずの大熱演であった。

評:蔵研人

X-MEN:フューチャー&パスト

★★★☆

製作:2014年 米国 上映時間:132分 監督:ブライアン・シンガー

 基本的にシリーズものは余り観ないことにしているのだが、本作はサブタイトルが示す通り、タイムトラベルを扱っているので早速映画館で観ることにした。今回の主役も一応は、ウルヴァリンを演じるヒュー・ジャックマンなのだが、若き日のプロフェッサーを演じるジェームズ・マカヴォイと、ミスティークを演じたジェニファー・ローレンスも主役と言っても間違いないだろう。というよりウルヴァリンの活躍はかなり控え目だったような気がする。
 
 つまり現状の危機を打破するために、不老不死のウルヴァリンが過去に跳ばされて、過去の歴史を変える旅に出るのだが、そこで鍵を握るプロフェッサーとミスティークに遭遇すると言う設定なのである。さすがにタイムトラベル仕立てなので、いろいろと捻った展開になり易い。特にシリーズを通して観ていないとちょっと分かり難いのが、現在のマグニートーが味方であるのに、過去のマグニートーは敵に回ってしまうと言うことであろうか。

 暗い未来戦争や過去に戻ってそれを阻止しようとする展開には、なんとなく『ターミネーター』の臭いを感じたのは私だけであろうか。だんだんスケールが大きくなり過ぎて、ちょっと食傷気味だった本シリーズだったが、ラストでは全てがリセットされ、これからまたX-MENたちの個性を生かした新たなる活躍が期待出来るかもしれない。

評:蔵研人

青天の霹靂4

製作:2014年 日本 上映時間:96分 監督:劇団ひとり

 劇団ひとりが原作、脚本、監督、準主演を手掛けた作品であり、彼の器用さにほとほと感心してしまう作品である。ただ無理もないことなのだが、先の見え過ぎたストーリー展開や、素人ぽいカメラワーク、いつもながらの演技などに、一抹の不安を拭えなかったことも否めない。
 
 お話のほうは、両親を憎みながら自分の人生に嫌気を感じていたマジシャン轟晴夫(大泉洋)が、ある日稲妻に直撃され、その瞬間に40年前の世界にタイムスリップしてしまうのだ。そこで偶然にもマジシャンをしていた父(劇団ひとり)と母(柴咲コウ)に巡り合い、自分の出生と家族の秘密を知ることになる。
 この手のストーリーではよくある話で、かなり単調な展開なのだが、大泉洋のシリアスな演技力とマジックシーンがなかなか素晴らしく、これらのマイナス面をカバーしていたような気がする。

 本作は、『オーロラの彼方へ』、『地下鉄に乗って』、『イエスタデイズ』、などと同様に、父と息子の葛藤を描いたタイムスリップ映画であり、私の最も好きなテーマをモチーフとした映画でもある。この手の映画に絶対に欠かせないのが、子供だった自分が知らなかった両親の心情が明らかになり、心の底から感動の涙を流させることだ。
 もちろんその王道はきちっと遵守されており、母親との会話には大いに泣かされたが、肝心の父親との絡みでちょっとはぐらかされてしまったのが実に残念であった。これは劇団ひとりの照れ隠しだったのであろうか。

評:蔵研人

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