著者:草薙圭一郎
2004年4月6日のことである。突然猛烈な磁気嵐の襲来に遭遇し、北海道が丸ごと時空を超えて1945年にタイムスリップしてしまう。なんと1945年4月と言えば終戦間際で、米軍による戦艦大和の撃沈や、沖縄の占領が目の前に迫っている状況ではないか。そんな異常事態に戸惑う北海道駐屯の自衛隊だったが、悲惨な敗北や原爆の投下を防ぐため、壊滅寸前の帝国陸海軍を支援することを決定するのである。
現代兵器と半世紀前の兵器の威力の差は歴然としている。だがいかに圧倒的な威力の差があろうとも、自衛隊のミサイルは100発100中で旧米軍の弾丸はほとんどかすりもしないのは行き過ぎではないだろうか。とは言いつつも実に気分爽快なのだ。戦艦大和は撃沈されず、沖縄に上陸した米軍も叩き出し、なんとマリアナ諸島やフィリピンまで奪回してしまうのである。
さらには歴史上の人物たちも多数登場してくるし、ある意味では太平洋戦争に至った歴史的背景も描かれていてかなり勉強をさせてもらった気がする。そして最後のマッカーサーの謀反と原爆反撃には、誰もがドキドキさせられてしまうだろう。
そんなわけで遅読者の私にしては、600ページを超える長編にも拘らず、あっという間に読破してしまったのだ。さてこの歴史を覆してしまった戦争の行く末はどうなるのか、そして自衛隊たちは現代に戻ることができるのだろうか。それは本作を読んでのお楽しみとしておこう。
評:蔵研人