タイムトラベル 本と映画とマンガ

 本ブログは、タイムトラベルファンのために、タイムトラベルを扱った小説や論文、そして映画やマンガなどを紹介しています。ぜひ気楽に立ち寄って、ご一読ください。

2021年02月

クロノス・ジョウンターの伝説 映画3

 製作:2019年 日本 上映時間:87分 監督:蜂須賀健太郎
 
 タイムトラベル小説の御大である梶尾真治の作品が原作となっている。
 住島重工の開発部門に勤務している吹原和彦は、毎日通勤時に通りかかる花屋で働いている蕗来美子に淡い恋心を抱いていた。ところが来美子の働く花屋の前で、タンクローリーが衝突して大惨事を引き起こす。そして悲しいかな、彼女もその事故に巻き込まれて死亡してしまうのだった。

 その頃、吹原が勤務する開発部門では、時間軸圧縮理論を採用して物質や生物を過去に送ることが可能なタイムマシン「クロノス・ジョウンター」の実験を行っていた。この実験はほぼ成功したものの、過去に送ったはずの物体などが現在に戻るのに、数分間のタイムロスが発生してしまうところが問題であった。

 そのタイムロスが起こる理由や法則は全く不明であったが、吹原は来美子を救うため過去に跳ぶ。だが実験で解明されていなかったタイムロスによって、一定の時間しか過去には存在できず、その反動でずっと先の未来に跳ばされてしまうのだった…。

 ネットの評価はそこそこ高いのだが、原作を読んでいる私には今一つ感情移入ができなかった。その最大の原因は、あまりにも低製作費であることだろう。そのため肝心のクロノス・ジョウンターがちゃちいこと、吹原が跳んだそれぞれの未来の時代考証がほとんど描かれていないこと、友人の風貌が全く変わっていないこと等であろう。
 さらにラストのハッピーエンドは、原作と乖離しているだけでなく、かなり科学的に無理があった。ともかく、SF映画はガンガン金を使い、いかに嘘を本物らしく見せるかが勝負なのである。またそれなりに納得できそうな理論体系を構築しておかないと、バカバカしくなってしまうものである。このあたりが邦画にSFものが少ないない原因なのであろうか。

評:蔵研人

三尺魂4

製作:2017年 日本 上映時間:93分 監督:加藤悦生

 奇妙なタイトルであるが、三尺とは打ち上げ花火の大きさであり、主人公が花火職人といったところである。ではこの作品は花火職人の映画なのかというと、全く的外れで自殺願望の4人が花火の爆発で死ぬたびに、自殺直前に戻ってしまうというタイムループのお話なのだ。SFというにはスケールが小さ過ぎるのでファンタジーと言うことにしておこうか。

 SNSの自殺サイトで知り合った4人が、何度もループを繰り返すうちに、タブーである本名を明かしたり、自殺の理由を打ち明けたりしてゆく。この4人の中には、一人だけ女子高生がおり、全員で彼女を説得するのだが、彼女の決意は固くなかなか説得に応じてくれない。

 低予算映画であるが、アイデア・脚本・演技力がしっかりしているため、最後まで面白く鑑賞させてもらった。製作費の少ない邦画のお手本的な作品であった。こんな映画をもっと創って欲しいものである。
 苦しいから、逃げたいから死にたい。それが冷静に考えたら違う事もあるかもしれない。やっぱり映画はハッピーエンドでなくてはね。それにしてもラストの幸福の連鎖とデジャブは実に見事だったね。


評:蔵研人

時空棋士

★★★☆
著者:新井政彦

 奨励会三段の棋士中島遼平が、時空を超えて幕末にタイムスリップしてしまう。彼は茶屋で仕事をしながらも、将棋の真剣師と対戦して連戦連勝を続け、とうとう伝説の棋士・天野宗歩の若かりし時代の天野留次郎と対局することになる。というなんとなく想像できそうなタイムスリップストーリーであるが、そのテーマが将棋だというところが斬新なのである。

 江戸の町並みや風俗に関しては、かなり丁寧に調査した跡がみられ、読みやすいし、きよとの淡い恋もなかなか楽しめる。ただ棋譜とその解説の部分が異常に長く、将棋を知らない読者は完全に置いてけぼり状態。将棋を良く知っている私も、最初のうちは棋譜とその解説部分を丁寧に読んでいたものの、だんだん面倒臭くなり棋譜部分はカットして読むようになってしまったくらいだ。
 
 この棋譜部分が特徴と言えばそれまでだが、本作は将棋本では無いのだから、棋譜部分はもっと簡略化したほうが良かったのでは無いだろうか。そのあたりの考え方は過去に大ヒットしたマンガの『ヒカルの碁』を参考にされたい。
 またすぐ天野宗歩を登場させるのではなく、もう少しストーリーに幅を持たせた方が良かったのではないだろうか。さらにラストにどんでん返しや、過去との繋がりを示唆するような何かを用意しなかったのも味気なかったね。

評:蔵研人

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