タイムトラベル 本と映画とマンガ

 本ブログは、タイムトラベルファンのために、タイムトラベルを扱った小説や論文、そして映画やマンガなどを紹介しています。ぜひ気楽に立ち寄って、ご一読ください。

2020年07月

怪しい彼女4

製作:2014年 韓国 上映時間:125分 監督:ファン・ドンヒョク

 70歳のおばあちゃんマルスンは、口の悪さと頑固さが超一流で殴り合いの喧嘩も辞さないが、女手ひとつで育て上げて国立大学の教授になった息子だけが自慢の種であった。だがアクの強い性格が災いして、嫁には煙たがられているのだが、そんなことはどこ吹く風で嫁いびり、ついに嫁は精神を犯されて入院する始末・・・。
 そんなある日、街中にある古い写真館で写真を撮ると、なんと50歳も若返ってしまうのである。そして心を込めて昔の歌を歌うと、これが偶然音楽プロデューサーの目に留まって、なんとプロの歌手に推薦されてしまうのだった。

 こんな具合で進展してゆく荒唐無稽なファンタジー作品である。また2年後には多部未華子主演で、『あやしい彼女』というタイトルで日本でもリメイクされている。韓国版も日本版も大筋は同じで、どちらも評判が良いのだが、さすが感情の国・韓国版では、女性の感情表現が激しく、お涙頂戴指数もかなり高めに設定してある。
 また日本版では彼女が歌う歌は全てが、1960年代から1970年代の日本のヒットソングであり、昭和生まれの日本人には懐かしさと哀愁を感じさせるのだが、韓国版の歌は老若男女、全世界の人々の心を揺さぶるような選曲だったような気がする。従って国際的には、歌では韓国版に軍配があがるかもしれない。

 ストーリーはありきたりで、途中で結末が見え隠れしていたのだが、何と言っても役者さんたちの演技力と存在感には圧倒されてしまった。ことに彼女役のシム・ウンギョンの、個性的でありながら瑞々しい雰囲気と演技力には惹きこまれてしまった。

評:蔵研人

50回目のファーストキス

★★★☆

製作:2018年 日本 上映時間:114分 監督:福田雄一

 2004年に製作された米国版がオリジナルで、本作はそのリメイクである。50回目のファーストキスとは、一晩寝ると記憶を失ってしまう女性とのラブストーリーと言えば分かるであろう。そう彼女にとっては、毎日毎日が初めての経験なのだから、いつのキスもファーストキスと言うことになるのである。
 米国版はアダム・サンドラーとドリュー・バリモアのコンビで、ラストシーンで大泣きした記憶がある。この結果が分かっているので、日本版では大泣きはしなかったが、ホロリときたことは否めない。いずれにせよ、米国版を観ていない人なら大泣きだったかもしれないね。

 何れも舞台はハワイだし、内容も殆ど変わらないのだが、やはりキャストにかなり疑問を感じた。まず主演の長澤まさみについては、全く問題なし。ずっとその美脚に見とれていた。彼女だけはドリュー・バリモアを超えていたかも…。ただ相手役の山田孝之の背が低いのがちょっと気になったことと、ムロツヨシと仲野太賀のドタバタ演技が濃すぎてぶち壊し状況だったのがつくづく残念であった。

●ストーリーの内容については、米国版を観たときに書いたものを下記に紹介するので参考にして欲しい。

 最近少しブームになりつつある『記憶テーマ』のラブコメで、主演はアダム・サンドラーとドリュー・バルモアのぴったしコンビである。
 恋の始まりは、水族館の獣医をしているアダムが、毎朝同じレストランで、いつも同じ朝食を摂っているドリューに一目惚れするという展開。
 ある日やっと彼女と親しくなり、翌日同じ場所で、親しげに声をかけると、彼女は怪訝な顔をして相手にしてくれない。実はある事故を起こしてから、脳の一部を欠損したおかげで、彼女の記憶は一日しか持たなかったのだ。

 そんな彼女に夢中になってしまったアダムは、毎日毎日手を変え品を変えて、彼女の気を惹こうと涙ぐましいアタックを繰り返すのだった。何度も彼女のハートを射とめて、キス迄には至るのだが、翌日になるとまた彼女は、アダムのことを綺麗さっぱりと忘れてしまうのである。そしてまた翌日を迎えるわけだが、一体何時になったら彼女は彼のことを記憶出来るのか、と不安と期待を抱かせながらストーリーは進んでゆく。

 笑いあり、涙あり、ロマンチックなムードもたっぷり・・・まさに恋人と一緒に観るには最適の映画なのだ。そしてラストのどんでん返しもなかなか洒落ていた。ドリュー・バルモアは余り好きなタイプの女優さんではないのだが、この役処はハマリ役で、アダムともピッタリと息が合っていたと思う。

評:蔵研人


テセウスの船

 ★★☆

 日曜の夜10回に亘って放映された『セテウスの船』がやっと最終回を迎えた。東元俊哉による原作マンガは未読だが、その結末についてはネットで拡散しているため殆どの人が承知しているはずである。だから原作とTVドラマには最終犯人をはじめとして、いろいろと相違点が多いことも周知の事実であろう。
 そこで原作からのネタバレを恐れ過ぎたのか、あるいはお茶の間ドラマの雰囲気に拘り過ぎたのか、余りにも辻褄が合わない脚本に失望してしまった。そしてうたい文句のSFミステリーを逸脱して、なんと家族愛に溢れたホームドラマに落ち着いてしまったのである。またタイムトラベルものとしても、ラストの結末がパラレルワールドだということ以外は、ほとんど体をなしていないし、あの『JIN仁』の足元には全く及ばない。

 ただ最終回に至るまで、かなりの高視聴率を稼いだことだけが、TV局としての大成功と言って良いだろう。確かに5話くらいまでは、次回はどうなるのだろうかと、視聴者たちが期待に胸を膨らませる展開だった。しかしその手法が余りにも単調でしつこ過ぎて、だんだんイライラが募ってきたことも否めないはずである。

 きっとこいつが真犯人だろう、と思わせぶりな展開が何度も繰り返されていくうちに、だから逆にこいつは犯人ではないだろうと推測してしまう。ところがギッチョン。最終回では、まさかこんな奴がこんな動機で、あれだけの犯罪を犯すのだろうか、という結末に遭遇してしまうのだ。これには驚くより呆れてものも言えなかった。
 これはアッと驚く結末でもどんでん返しでもない。散々犯人らしき人々をバラまき散らした上に、全てお見通しで先回りする頭脳抜群の犯人を臭わしておきながら、実はこんなオトボケ男が犯人だというのだ。
 これではさんざん好き勝手な展開を繰り返しておいて、実は夢でしたという「夢オチ同様の反則技」であり、無理矢理ザ・エンドにしてしまった感も拭えない。さらに生意気で大人顔負けのワルだったみきおが、急に誠実な子供に逆戻りというのも全く納得できない。

 バカにするのもいい加減にしてくれ!10週間もの間さんざん引っ張り続けて、多くの視聴者の貴重な時間を無駄に使わせやがって、と怒涛の如く怒りをぶちまけたくなる。そしてあっという間に家族全員が幸せいっぱいのハッピーエンドとは、視聴者全員がコケにされたようなものではないか。

 とにかくハラハラドキドキではなく、イライラダラダラの蔓延したドラマだった。また主人公が勿体ぶってなかなか真実を語らないため、状況は増々悪化してゆくばかり。さらに主人公と一緒に過去に戻ったと思われる大人のみきおは、その後一切登場しない。それなら彼は何のため登場したのだろうか。いずれにせよ、不要なものが延々と登場し、必要なものが歯抜けになっているという超ムカつく展開に終始していたドラマだった。

評:蔵研人

時をめぐる少女3

著者:天沢夏月

 本作は筒井康隆の『時をかける少女』とは、全く異なる話であり、そのオマージュでもない。ただあるとき時間の流れの中をさ迷ったことのある女性の日記帳のようなものである。

 本作は次の4つの章で構成されている。
1. 9歳(小学生)の私
2.13歳(中学生)の私
3.21歳(大学生)の私
4.28歳(社会人)の私

 9歳の時、近所の公園で、銀杏並木の奥にある「とけいじかけのプロムナード」という広場を見つける。そこで時計回りに歩くと未来に行き、逆に回ると過去に行くという。でもそれはいつでも誰でも経験できることではなく、私も通算4回しか経験がない。

 小学生の時は父と離婚して、転勤による引っ越しを繰り返す母との確執に悩む。また中学生の時は、転校生同士の葛藤により生涯の親友となった新田杏奈との交友を描く。
 大学生になると、上手くゆかない就職活動に悩み、恋人となる月島洸との出会いと戸惑いが描かれる。そして社会人となって、やっと落ち着いたかと思ったら、月島洸からの結婚申し込みによって、再び少女時代のような憂鬱が襲いかかって来るのだった。

 本作は一見タイムループ的な作品であるが、9歳と28歳の時に2度ずつ少しだけ時間の流れの中をさ迷っただけであり、本質は主人公の悩みと成長に主眼が置かれているのだ。従ってSFでもファンタジー作品でもなく、若い女性の手記を脚色するための道具立てとして、時をめぐるというメルヘン的なシーンを盛り込んだに過ぎない。

 まあ同年代の女性たちにはそこそこ受けるかもしれないが、少なくとも我々おじさんたちは、全く共感が湧かないであろう。ただ読み易かったので、それほど苦痛ではなかったのが救いであった。

評:蔵研人

21グラムのタイムトラベラー

 ★★★☆
著者:天沢夏月

 21グラム(3/4オンス)とは、人の魂の重さといわれている。それは1907年にマクドゥーガル博士が実験結果を学術誌に発表し、それを「The New York Times」が大々的に取上げたため、世界中に広く知られるところとなったものである。
 しかしながらやはり学術界では疑問視する声が多い。またヒトは死ぬ瞬間に肺で血液を冷やせなくなるため、急激に体温が上昇しスッと熱が引く現象が起きる。その際に発汗する量が21gなのだ。という説も囁かれているのだが、その真偽はいまだ藪の中である。

 21グラムの由来はそれくらいにして、つまり本作のタイトルは『魂(幽霊)のタイムトラベラー』をもじったものであろう。まず主人公の石崎すばるが、小学校の近くに咲いている紫陽花の中で美しい女性の幽霊に出会うところからはじまるのである。その幽霊は未来からやってきた大学生の相原琴奈だった。そして彼女は「今日転校してくる小学生の相原琴奈と仲良くしてはいけない」と言う。
 二人が仲良くすると、結局は二人とも不幸になると言うのである。その理由は教えてくれないのだが、二人が成長するごとに少しずつ小出しに明かされてゆく。そして22歳の梅雨がはじまり、全ての謎が解明されるのである。
 
 そして時間が巻き戻されて、今度は転校するために母親と小学校の近くを通る相原琴奈が、紫陽花の中で幽霊の石崎すばるに話しかけられるのだ。大学生の彼はこう言うのだった「今日、石崎すばるしいう男の子に出会うから、仲良くして欲しい。そして苦しいことがあったら一人で抱え込まないで、遠慮なく彼を頼って欲しい」

 エピローグは僅か4ページだが、実に感動的なのだ。このエンディングを記したいがために、延々と小学生時代から大学生時代までの二人の純愛を綴ったのだと言っても過言ではないだろう。実に見事な締めである。やはり不幸になるより幸せになったほうが泣けるよね。小説を読んで久々に大粒の涙を流してしまった。

評:蔵研人

イマジン

★★★★☆
著者:清水 義範

 この著者の作品はとても読み易くて面白いので、すぐに読むつもりだった。ところがいつもの薄い短編集ではなく、なんと667頁に及ぶ分厚い文庫本だったため、恐れをなして本棚の隅っこで眠ってしまったのである。だが本棚でこの本を見つけるたびに気になり、満を持してこの長編小説を読んでみたところ、超・遅読者の私でもあっという間に読破してしまったのだ。
 もちろんタイトルの『イマジン』は、あのジョン・レノンの名曲を意味しているのだが、直訳した「想像する」という意味も兼ねているようである。ある意味「若き日の父への想像や未来の自分自身への想像」、ということであろうか・・・。

 父親と大喧嘩をして一人暮らしをしはじめた19歳の翔悟は、どうした訳か何と23年前にタイムスリップしてしまうのである。だがその世界では使える金も知り合いもない。頼れるのはただ一人、若き日の父・大輔しかいないことに気づき、仕方なく父が暮らしていたというアパートを探し当てるのだった。
 そして翔悟は偶然、酔いつぶれて路上で倒れている若き日の父・大輔に遭遇し、彼を助けることになるのである。若き日の父はちょっぴり頼りないが、とても好人物で真面目な男だった。そして二人は互いに何か引き寄せられる絆を感じ合ってしまう。だからすぐに二人は親友になり、しかも息子の翔悟が、未来では厳しい父が出世する礎を創ってあげることになるのだ。
 さらに仕事の話が一段落したあと、まだ暗殺されていないジョン・レノンを救出するために、二人でニューヨークに向かうのである。そんな急展開・荒唐無稽・とんでもハップンな展開に、清水節が冴えわたることになる。

 さてタイムスリップして「若き日の父親に遭遇」というパターンは、浅田次郎の『地下鉄に乗って』、本多孝好の『イエスタデイズ』、重松清の『流星ワゴン』さらに映画においても『オーロラの彼方へ』、『青天の霹靂』など、実によくある話なのだが、きっと誰でも感情移入してしまう特効薬なのかもしれない。
 本作ではことに、過去から現在に戻ってからの「再遭遇」が実に感動的であった。父親と息子の関係とは、照れ臭さと反発さえ除外してしまえば、それほど素晴らしい絆で結ばれているのだろうか。中学生のときに父親が他界してしまった私にとって、親父と一緒に酒を酌み交わすことは、あの世で実現させることしか出来ないのが悲しいね・・・。

 さてそれにしても本作は、かなりの引用やオマージュが鏤められているものの、矛盾が生じないよう細かい部分に神経を配りながら、分かり易くて読後感のすっきりした作品に仕上がっているではないか。ただ唯一気に入らないのが、ダコタ・ハウスで突然出現するアーノルドの存在だ。この男の任務の設定が実に安易で古臭く、手垢が付き過ぎているからである。
 いずれにせよ歴史には拘らず、パラレルワールド含みのどんでん返しで締めくくっても良かったのだ。また歴史通りの進行を選んでも、あともうひと捻りの工夫が欲しかった、と感じたのは決して私だけではないだろう。だがその部分に目をつぶってしまえるほど面白い、「時を超えた父子の絆」を描いた感涙長編ファンタジー小説なのである。

作:蔵研人


HOT SNOW2

hotsnow

製作:2011年 日本 上映時間:72分 監督:高山浩児

 主演はジャニーズ事務所に所属している8人組のアイドルユニット『Mis Snow Man』である。そして登場人物は彼等を含めてたった10人+3名(ほとんど会話無し)で、撮影場所も大半が高校の屋上という超貧乏映画である。
 テーマは死んだ母親にダンスを見せるという単純なもの。ただし過去へ跳んで、女子高生時代の母親に見てもらうというところだけが売りである。

 タイムスリップの方法は、これもありふれた雷雨と地震という設定。この学芸会レベルのB級映画は、ラストの『Mis Snow Man』たちのダンスを見せるだけの映画なのだが、そのダンスもそれほどパッとしないのだ。少なくともダンスだけは、きっちりと決めて欲しかったのだが・・・。どうしてタイムトラベルものは邦画・洋画を問わず、完成度の低い作品が多いのだろうか。なんだか悲しくなってしまった。

評:蔵研人

パーフェクト・ワールド 世界の謎を解け3

製作:2018年 ロシア 上映時間:116分 監督:セルゲイ・モクリツキー

 単に『パーフェクトワールド』で検索すると、ケビン・コスナーの作品とか岩田剛典の邦画、その原作である有賀リエのマンガが引っかかってくるのだが、本作はなかなか見つからない。そこで『パーフェクト・ワールド 世界の謎を解け』で検索するとやっと引っかかるという、余り名の売れていないロシアのSF映画なのである。

 原題は『CHERNOVIK/A ROUGH DRAFT』と言うことだが、はっきりした意味は分からないが、直訳すると『ラフな草案』というような意味のようである。邦題は意味不明だが、主人公がパラレルワールドに迷い込んでしまうため、こんないい加減なタイトルを付けたのかもしれない。

 若くて才能に満ちたキリルは、高給を手に出来る仕事と美しい恋人を手に入れて、優雅な人生を楽しんでいた。ところがある日、自宅に帰ると、見知らぬ女性が住み付いていて、ここは自分の家だと主張するのだった。そしてキリルはその日を境にして、自分を知る人が誰もいないパラレルワールドに迷い込んでしまうのである。

 こんな感じでストーリーが流れてゆくのだが、いろいろと奇妙な展開が続く割には、ストーリーにのめり込めず退屈感に襲われてしまう、という摩訶不思議な作品なのだ。2018年に創られたのだが、なんとなく一昔前のSF映画という感が否めないし、結末も曖昧なままで終わってしまった。邦題にも騙されたようで、ちょっと不満の残る作品かもしれない。

評:蔵研人

タイムトラベラー2

製作:2017年 米国 上映時間:89分 監督:ディエゴ・ハリヴィス

 タイムトラベルファンは弱いよね。このありふれた邦題に捕まって衝動的にレンタルしてしまった。
 原題は『CURVATURE』で湾曲とかひずみという意味で、こちらのほうが内容とマッチしているのだが、日本的な発音がしにくく馴染みのない言葉なので分かり易い邦題に置き換えたのだろう。
 しかし未来の自分自身が現在に入り込んでいるという設定なのだが、二人は遭遇することもなく、やっとラストにタイムマシンらしきものがチラリと登場するだけという、インチキ臭い邦題であった。

 まあそれでもストーリーが面白かったり、複雑なタイムパラドックスが絡み合ったり、ラストのどんでん返し等があればなんとか楽しめるのだが、全てないない尽くしで情けない。どうしてタイムトラベル映画は駄作が多いのだろうか。きっとアイデアだけで製作費をかけなくてよいため、安易に創られてしまうからなのだろうね。いつもながら詐欺に遭ったような悲しい気分に襲われてしまった。

評:蔵研人

マッド・ワールド2

製作:2018年 英国 上映時間:86分 監督:ポール・タンター


 舞台は2037年。赤子の命を15秒で奪ってしまうウイルスが世界中に蔓延。そんな終末の世界を牛耳っているのは、なんとバイオコープという大企業なのであった。そして荒れ果てた地球の中でも、その社員だけは裕福な暮らしを謳歌していたのである。
 そんな世界に不満を感じた二人の科学者がタイムマシンを開発し、2017年にタイムスリップする。そしてこの終末の原因を創ったバイオコープ社を破滅させて未来を変えようと画策する、というストーリー仕立てである。

 決してストーリー自体は悪くないし、『意識を過去に転送して肉体を再構成する』という『マトリックス』的なタイムマシン原理もなかなか興味深かったのだが・・・。なにせストーリー構成が中途半端というか、出鱈目というかよく商品化できたなと唸ってしまうのだ。
 オープニングでは、なにかこの作品自体が続編であるかのように、それまでに至る経緯が言葉だけでダラダラと説明される。だが余りにも映像展開を端折り過ぎているため、現状を良く理解出来ないままストーリーだけが進んでしまうのである。
 そしてなんとなくそれまでの経緯が、ぼんやりと見えてきたかなと思ったらもう終盤であり、なんとラストシーンは『次回につづく』といったような、尻切れトンボな終わり方であった。

 まさしく、上・中・下巻の中巻だけが発売されたような作品なのだ。または上映時間の短さから考えると、連続TVドラマの第何話なのかもしれない。だがそんな説明はどこにも記されていないし、ネット上にもそんな痕跡は見当たらないのだ。
 一体どういうつもりでこのような中途半端な作品を創ったのか、いやもっと言えば、映画配給会社が商品として発売してしまったのだろうか?その真意を知りたいものである。
 タイムトラベルファンのため、事前に中身をよく吟味しないまま、いきなり店頭でレンタルに飛びついてしまったことが悔やまれる。ただ『マトリックス』的なタイムマシン原理、という手法だけは唯一の収穫だったかもしれない。

評:蔵研人

コーヒーが冷めないうちに

★★★☆
製作:2018年 日本 上映時間:117分 監督:塚原あゆ子

 川口俊和の小説を映画化した作品である。過去に戻れる席(ある意味でタイムマシンの役割)のある喫茶店を舞台に、そこに訪れる客たちが体験する摩訶不思議な体験が描かれている。
 ただ過去に戻るには、非常に面倒ないくつかの掟があった。
1.過去に戻って、どんな事をしても、現実は変わらない。
2.過去に戻っても、喫茶店を出る事はできない。
3.過去に戻れるのはコーヒーをカップに注いでから、そのコーヒーが冷めてしまうまでの間だけ。コーヒーが冷めないうちに飲み干さなければならない。
4.過去に戻れる席には先客がいる。席に座れるのは、その先客が席を立った時だけ。
5.過去に戻っても、この喫茶店を訪れた事のない人には会う事ができない。
 という五つの約束である。
 これらの掟の中でも、「コーヒーが冷めるまでのタイムスリップ」というところが本作のミソであり、『謎の先客』の存在理由でもあるのだ。

 さて本作で過去に戻った客は三人である。
 アメリカへ旅立ってしまった幼馴染と喧嘩別れしたままの独身キャリアウーマン・清川二美子(波瑠)
 若年性アルツハイマーに侵された妻(薬師丸ひろ子)を優しく見守る夫・房木康徳(松重豊)
 故郷の妹に家業を押し付けて家出したスナックママ・平井八絵子(吉田羊)

 彼等のショートストーリーもそれなりに楽しめるのだが、なにせ時間的に描き方が中途半端なため、感情移入するゆとりが得られない。結局彼等はこの作品を彩るアクセサリーの一部に過ぎないのであろう。
 やはり本当の主役は、喫茶店で過去に戻るためのコーヒーを注ぐウェイトレス時田数(有村架純)なのだった。序盤の彼女はミステリアスで、陰気な雰囲気の漂う旅先案内人のようであった。
 ところが客の一人である大学生・新谷亮介と親しくなってからは、だんだん打ち解けはじめて、暗い過去の拘りが明らかになってくるのだ。そして謎の先客と彼女の秘密も解明されてくる。

 そしてラストのどんでん返しが花開き、タイムトラベルもののお約束のような見事な収束で幕を閉じるのである。またこの展開を分かり易く説明するような、エンドロールの映像配置もグッドタイミングだし、音楽もなかなか良い味付けに仕上がっていた。
 ただ登場人物が少なく、ほぼ喫茶店の中だけの話に終始するため、劇場映画というよりはテレビドラマで十分だったかもしれない。まあいずれにせよ、原作が良かったのか脚本が良かったのか、そこそこ泣けるし後味の良い楽しい映画であることは間違いないであろう。

評:蔵研人

エンドレス 繰り返される悪夢3

製作:2017年 韓国 上映時間:90分 監督:チョ・ソンホ

 主人公の有名な医師が、旅客機に乗って娘に逢いに行くところからはじまる。ところがその娘は、交通事故に遭遇し死亡してしまうのである。だが次の瞬間、医師は旅客機の座席で目覚めるのだ。そして見たことのある風景と出来事が続く。つまり目覚めると、何度も同じ一日を繰り返すのである。

 そして目覚めるたびに娘が事故に遭わないように奔走するのだが、どうしても上手くいかない。そこに突如同じ事故で妻を亡くして、何度も同じ一日を繰り返している男に出逢うことになる。

 本作は私の大好きなタイムループ作品であり、この手のテーマがお得意の韓国映画ということで、かなり期待し過ぎてしまったようだ。もちろん駄作ではないし、伏線もしっかりしていてアイデアも秀逸である。だがストーリー展開にかなり無理があり、どんでん返しや感動的なシーンも無く、いまひとつのめり込めなかったのが残念であった。

評:蔵研人

テルマエ・ロマエ II3

製作:2014年 日本 上映時間:112分 監督:武内英樹

 初回作は未だかつてなかった奇想天外な展開に驚き大笑いしたはずである。だが第二作ともなるとかなか難しいのだ。ことにこうした「ショートストーリーの繰り返し」のようなパターンでは、もはや笑うことさえ出来なかった。原作にはなかったけれど、せめて上戸彩と阿部寛のラブストーリーをもっと煮詰めていれば面白かったと思うのだが・・・。

 唯一の収穫は、久しぶりに何とあの『てなもんや三度笠』で藤田まこととコンビを組んでいた「白木みのる」がラーメン屋のおやじ役で出演していたことである。いやーっそれにしても懐かしかった。83歳になったらしいけど、まだまだ元気だったんだね。
 まあもう三作目はないと思うが、これで打ち止めにして欲しいよね。さよなら、さよなら。

評:蔵研人

あなた、そこにいてくれますか4

製作:2016年 韓国 上映時間:111分 監督:ホン・ジヨン

 原作はフランス作家ギヨーム・ミユッソの小説『時空を超えて』である。またこの映画の韓国での公開時には、大幅な観客を動員してかなり注目を集めたようだ。
 ジャンルとしては韓国が得意とする「タイムトラベル系ラブストーリー」であるが、タイムトラベルの方法は、カンボジアの不思議な老人からもらった錠剤を飲むことで、30年前にタイムトリップするというやり方である。ただ一回のタイムトラベルは、20分間しか続けられないという制約があった。

 なぜ30年前なのか、それは外科医で主人公のハン・スヒョンが、30年前に相思相愛の恋人を亡くしていたからである。そして過去の自分と遭遇し、二人で協力して恋人の命を救う計画を立てる。ただし若き日の自分に、恋人とは決して結婚しないことを誓わせるのだが…。果たしてそんな希薄な約束が守られるのだろうか。私なら絶対に守らないね、と言い切りたい。
 さてさてタイムトリップ出来る錠剤の数は10錠だが、ハン・スヒョンが使った錠剤は9錠、残りの1錠の存在が本作最後のキーとなる。そうしてタイムトラベルもののお約束とは言え、ラストの見事な連続ドン伝返しへと繋がって行くのである。

 小説のほうは9年前に読んだので、大部分は記憶から消えてしまっている。そこで本ブログの過去記事を確認したところ、本作はかなり原作に忠実な展開なのだが、フランスと韓国のお国柄などの違いもあり、まるでオリジナルのような完成度を感じさせてくれた。
 ただしやはり先に読んだ小説のほうが感動的だったような気がする。そのほかにもいろいろ書きたいことがあるのだが、過去の記事と重複してしまうのでここまでにしておきたい。なお過去の記事を参照したい方は、『時空を超えて』をクリックしてみてね。

評:蔵研人

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