タイムトラベル 本と映画とマンガ

 本ブログは、タイムトラベルファンのために、タイムトラベルを扱った小説や論文、そして映画やマンガなどを紹介しています。ぜひ気楽に立ち寄って、ご一読ください。

2019年11月

恋愛睡眠のすすめ3

製作:2005年 フランス 上映時間:105分 監督:ミシェル・ゴンドリー

 なかなか興味を惹くお洒落なタイトルで、かつ内容もこのタイトルに十分に凝縮されている。2005年製作のフランス・イタリア合作映画で、監督・脚本は、あの『エターナル・サンシャイン』のミシェル・ゴンドリーである。そして主演は『私だけのハッピー・エンディング』のガエル・ガルシア・ベルナルと、問題作『アンチクライスト』での大胆な熱演が話題になったシャルロット・ゲンズブールなのである。

 またこの作品の内容をひとことで言ってしまえば、シャイで臆病な青年とクールで知的な女性の恋愛模様を、青年が見る夢と現実を交錯させながら描くロマンチック・ラブストーリーということになる。
 青年の夢と現実がゴチャゴチャになっているため、ちょっと分かり辛いが、夢のほうは背景がクラフト創りになっている。ただ余りにも青年の奇行が続き過ぎるのが難点。純粋な心を持っているのだと思うのだが、結局彼は、最後まで病的な夢想癖から抜け出せないのである。

 このあたりの展開が、ちょっとモタモタし過ぎて物足りない。『一秒タイムマシン』をもっと活用すれば、もっと面白くなったかもしれないが、全く別の映画になりそうだ。いずれにせよ、この監督は、一体何を表現したかったのだろうか・・・。悪くない映画だと思うのだが、つかみ所のない映画とも言えるだろう。

評:蔵研人

パラレルライフ4

製作:2010年 韓国 上映時間:110分 監督:クォン・ホヨン

 リンカーンとケネディとは、かなり多くの共通点がある。まずリンカーンが初めて下院議員に当選した年は1846年で、ケネディは1946年と、ちょうど100年の違いなのだ。 さらにリンカーンが大統領に選ばれたのが1860年で、ケネディは1960年とこれも100年違いである。

 また二人とも黒人の人権問題と戦争に深く関わりがあった大統領でもある。そして二人とも金曜日に、銃で背後から頭を撃たれて暗殺されているのだ。またリンカーンが撃たれた場所はフォード劇場で、ケネディが狙撃された時に乗っていた車はフォード社製のリンカーンというダジャレのような真実。またダジャレといえば、リンカーンは暗殺される1週間前にメリーランドのモンローにいたし、ケネディのほうは、暗殺される1週間前にマリリン・モンローと一緒にいたという。そして二人とも妻の目の前で撃たれたのである。

 さらにリンカーン、ケネディともに、暗殺後に大統領を引き継いだのが、ジョンソンという名の副大統領だった。そしてそのジョンソン氏だが、リンカーンの後を引き継いだアンドリュー・ジョンソンは1808年生まれで、ケネディの後を引き継いだリンドン・ジョンソンはちょうど100年後の1908年生まれなのだ。さらにさらに、アンドリュー・ジョンソンはリンカーンの死の10年後に死亡し、リンドン・ジョンソンはケネディの死の10年後に死亡するという奇跡的な偶然が続く。

 さらに驚くべきことに、リンカーンの秘書の名はケネディで、ケネディの秘書の名はリンカーンなのだという、まるで嘘のような事実もある。そのうえリンカーンを暗殺したジョン・ウィルクス・ブースは1839年生まれで、ケネディを暗殺したリー・ハーヴェイ・オズワルドは1939年生まれと、こちらもぴったり100年差なのだ。
 まだまだある、暗殺後、ブースは劇場から逃走して倉庫で捕らえられ、一方のオズワルドは、倉庫から逃走し、劇場で捕らえられたという。さらにブースもオズワルドも、どちらも裁判が行なわれる前に暗殺されたのである。そのほかにもいろいろな共通点が存在しているという。

 前置きが長くなってしまったが、リンカーンとケネディのように奇跡的な偶然が重なり、まるで周期的に同じことが繰り返されるということが、この作品の骨格的テーマになっている。だがSFチックなタイトルとは全く異なり、スリラー仕立の韓国映画なのである。ちょっと分かりづらい部分もあるが、質の高い映画に仕上がっていると言えるだろう。ここでストーリーは余り語らないことにするので、まずは予備知識なしでこの作品をじっくり観てもらいたい。
 30年前の過去と現代の事件を結ぶ衝撃の結末に、暫くは放心状態が続くはずである。それにしても、この映画どこかで観たことがあるような気がする。それともデジャヴなのであろうか・・・。

評:蔵研人

言えない秘密5

製作:2007年 台湾 上映時間:102分 監督:ジェイ・チョウ
 
 作曲家、歌手、俳優の三枚看板を背負う天才青年ジェイ・チョウが、監督・主演・脚本・音楽を務めたファンタジックで切ないラブストーリーである。またヒロインは『藍色夏恋』のグイ・ルンメイ、父親役を香港の名優アンソニー・ウォンが演じている。

 ピアノを勉強するために、父が教師を務める音楽学校に転校してきたシャンルン(ジェイ・チョウ)は、卒業式の日に取り壊しが予定されていると言う旧校舎のピアノ室で、神秘的なメロディを奏でるシャオユー(グイ・ルンメイ)という名の女性と出会う。シャンルンは、どこか謎めいた雰囲気の彼女が気になって仕様がない。それで雨の降る帰り道に、彼女を自転車に乗せて家まで送って行く。

 それから二人は、いつも一緒に帰るようになり、互いに淡い恋心を抱くようになる。だが、なぜかシャオユーは時々学校を休んで、シャンルンを心配させるのだ。そんなある日、シャオユーはとんでもない誤解をしてしまい、それを境に二度と登校して来なかった。心配になったシャンルンが、彼女の家を訪れるのだが、年老いた母親に門前払いを受けてしまう。それから先、彼女はどうなってしまったのか、一体彼女は何者だったのか、などなど・・・謎と秘密の正体を知りたくてウズウズしてくる展開となって行く。

 映像、音楽、歌、ピアノ演奏、女優のどれもが、凛として美しい。そしてお話のほうは、ちょっとミステリアスで、ロマンチックでリリカルな流れである。そして終盤は、見事などんでん返しでエンディングを向かえる。突っ込みどころもあると思うが、少なくとも私にとっては、まさに理想的な映画であった。この映画を紹介してくれたブログ『浮浪雲のように』のしょーすけさんにお礼を言いたいね。

評:蔵研人

ミッドナイト・イン・パリ3

製作:2011年 スペイン・米国 上映時間:94分 監督:ウディ・アレン
 
  小説家志望で、社交性のない主人公ギルをオーウェン・ウィルソンが熱演し、その婚約者イネズをレイチェル・マクアダムスが演じているのだが、なぜかネットでのキャスト紹介では、キャシー・ベイツ、エイドリアン・ブロディ、カーラ・ブルーニなどの名が先行している。だから、最初は彼等が主人公なのかと思ったら、三人ともチョイ役で登場しているだけだった。確かに知名度では、圧倒的にこの三人のほうが有名なのだが、余りにも詐欺まがいのキャスト発表ではないだろうか。この映画を観ながらそんなことばかり考えていた。

 ストーリーは至極単純で、主人公ギルが金持ちの父親を持つ婚約者イネズと一緒に、彼女の両親の出張に便乗してパリを訪れる。だが派手な婚約者に対して、地味で社交性がないギルは、1920年代の黄金期のパリに郷愁ばかり抱いている。なんとなく波長の合わない二人。
 そしてギルは、イネズが友人たちと二次会のダンス行こうと誘っても、それを断って一人で深夜のパリを散歩するのだった。そして時計が12時を知らせた時、オールドカーに乗った見知らぬ人々に誘われて、仕方なく一緒にとあるバーに行くギル。
 驚いたことに、そこは1920年代のパリで、あこがれの作家ヘミングウェイや画家のピカソ、ダリなどと巡りあうことにになってしまうのである。それから彼は毎晩遅くなると、あのオールドカーが来た街角に立って、1920年代のパリにタイムトラベルし続け、イネズとの関係もだんだんギクシャクしてくるのだった。
 
 タイムトラベルものだと聞いてこの映画を観た訳であるが、単に昔のパリに跳んで行くということだけであり、どうしてそうなったのかは不明のままだし、タイムパラドックスなども全く描かれていない。従ってタイムトラベルものを期待すると惨めになってしまうので、そこのところは余り期待しないこと。だが間違いなく、現在と過去の美しいパリの街並みを味わえることだけは確かである。

 そして第84回アカデミー賞で脚本賞に輝いた作品ではあるが、もう少しストーリーにメリハリがあってもいいし、過去の有名な芸術家たちが、何人も簡単に登場し過ぎるのも安直過ぎる感があった。ただ人はいつも現在を否定して、過去に憧れるのだ・・・という論理には共感してしまったね。まあ結構ロマンチックな気分を抱けるので、フランス旅行に行こうと考えている人には、かなりお奨めの出来る映画かもしれないな。

評:蔵研人

黄昏のカーニバル4

著者:清水義範
 本作は1990年前後に、今は途絶されてしまった『SFアドベンチャー』誌に掲載された清水義範の短編小説をまとめた文庫本である。その中味は次の7篇のSF作品で構成されている。

1.外人のハロランさん・・・子供の頃に出会った外人の正体は?
2.黄昏のカーニバル・・・某国が発射した核による世界終末の空しい話
3.唯我独存・・・世界の全ては僕が創成したもの
4.嘉七郎の交信・・・宇宙人とコンタクトする爺さんの話
5.デストラーデとデステファーノ・・・時間が逆流する世界
6.21人いる・・・未来の自分が20人登場する話
7.消去すべき・・・全てを消去する自分とは何者

 いずれも懐かしき良き時代の読み易い短編SF小説で嬉しくて堪らない。また現役でこのようなアイデア重視で、わくわくするノスタルジックSFが書ける人は、本作著者の清水義範氏や梶尾真治氏ぐらいだろうか。

 さてこの中で一番興味深く読んだのは、「この世の全ては自分自身の想像力で創成されている」という唯我論をテーマとした『唯我独存』である。まあ唯我論について解説すると長くなるので後日に譲るとして、タイムトラベルファンとしては、プロ野球と時間逆転の『デストラーデとデステファーノ』と、押し入れから出てきた20人の未来の自分の謎を探る『21人いる』も、見逃せない短編であることは間違いないだろう。

評:蔵研人

メン・イン・ブラック34

製作:2012年 米国 上映時間:108分 監督:バリー・ソネンフェルド
 
 久し振りのシリーズ復活だが、今回は従来の作品とはだいぶ創り方が異なっていたので、ほとんどマンネリ感もなく楽しくストーリーにのめり込むことが出来た。また大ベテランのトミー・リー・ジョーンズ(エージェント K)が、年をとり過ぎてアクションをこなせなくなった代わりに、若い時代のエージェント Kを登場させてコンビを組んだことも新鮮で面白かった。

 そのためにエージェント J(ウィル・スミス)が、エージェント Kがまだ若増だった40年前にタイムスリップするという設定をすることになり、タイムトラべルファンとしては非常に興味深くかつとても嬉しかった。そして終盤にエージェント Jに拘わる謎が解明したときには、感動の涙でウルウルになってしまったくらいである。

 それにしても、若き日のKにそっくりな俳優をよく探してくるものである。最初はCGかと思ったが、現実に活躍しているジョシュ・ブローリンという俳優だという。それに彼は、トミー・リー・ジョーンズの容貌だけではなく、仕草や雰囲気もよく研究している。だからトミー・リー・ジョーンズの登場する時間が少なくても、全く気にならないのである。なかなか素晴らしい俳優じやないか。
 どうせ暇つぶしだと思って、毒にも薬にもならないお気楽な映画を選んだつもりだったが、単にお気楽だけではないプラスアルファのある作品で、意外な拾いものをしたような得した気分である。

評:蔵研人

昨日公園 『都市伝説セピア』4


著者:朱川 湊人

 家に帰ると、ついきっきまである公園で一緒に遊んでいた親友が、交通事故にあって死んでしまったという連絡を受け、遠藤少年は呆然としながらも信じられない気持ちでいっぱいであった。傷心の遠藤少年は、翌日になって、ぼうっとしながら図書館に行った帰り道のことである。あの公園に入るとそこには、昨日死んだはずの親友が元気に遊んでいるではないか。

 その親友は幽霊ではなく、実は遠藤少年がこの公園に入ると昨日にタイムスリップしてしまうのであった。そのことに気付いた少年が、親友が事故に遭わないような手だてを講ずるのだが、残念ながら親友は別の事故で死亡してしまうのだ。がっかりした少年だが翌日になって、またあの公園に入ると、またも親友が声を掛けてくるのだった。

 どうもこの公園に入ると何度でもタイムループが起こって、昨日に戻ってしまうようである。喜んだ少年は今度こそ親友が事故に遭わないように、いろいろと画策を施すのだが、やっぱり親友は別の事故に遭遇して死んでしまうのだ。何度繰り返してもダメだった。それどころか事態はだんだん酷くなり、親友だけではなくその家族たちにも被害が拡大していってしまうのである。

 というような展開で話は進んで行く。短編小説であるが、次の展開にうずうずしながら、あっという間に読破してしまった。ただ最近このようなお話は決して珍しいものでもなく、小説や映画で何度も読んだり観たりしているため、あっと驚くような斬新さはない。とはいうものの、ラストの切ないシーンには泣かされるし、なかなか完成度の高い作品であることは否めないだろう。

 なお本作は2006年に、堂本光一主演でテレビドラマ化されているようである。また原作者の朱川 湊人は、出版社勤務を経て、2002年年に「フクロウ男」でオール讀物推理小説新人賞を受賞してデビューし、2005年に『花まんま』で直木賞を受賞している。なお本作は短編のため、他の作品と併せて『都市伝説セピア』というタイトルで文春文庫から出版。その中には新人賞受賞の『フクロウ男』のほか、『アイスマン』、『死者恋』、『月の石』の五作が収められており、どの作品も素晴らしいので是非ご一読されたい。

評:蔵研人

故郷への長い道/スター・トレック43

製作:1986年 米国 上映時間:119分 監督:レナード・ニモイ
 

 スタートレックシリーズは、スターウォーズに比べるとかなり地味で、提督役の俳優も余り好きではないので、二作位しか観ていない。ただ本作では、タイムトラベルを扱っているということなので、タイムトラベルマニアとしては、放っておけずDVDをレンタルすることになった訳である。

 思った通り序盤は退屈でどうも肌に合わない。それで途中何度か、もう観るのを辞めようかと思ったが、やはりタイムトラベルが始まると、少し面白くなってきた。だが派手な事件も起こさず、タイムパラドックスも設定されていない。ただ23世紀から20世紀にタイムトラベルしただけという展開にやや失望した。

 それに彼等がタイムトラベルした理由が、ちょっとこじつけ気味だ。つまり謎の飛行体によって地球の存亡が危ぶまれ、その飛行体が発する言葉がクジラ語だというわけである。だが23世紀では、すでにクジラは絶滅してしまったため、20世紀にタイムワープして、クジラを捕獲してくるという筋書きなのだ。なんだが、クジラ愛護団体の宣伝映画のようで、ちょっと納得し難い展開なのである。まあそこそこ楽しめたが、やはり私にとってこのシリーズは、いまいちの感が拭い切れない。

評:蔵研人

タイム Time3

製作:2011年 米国 上映時間:109分 監督:アンドリュー・ニコル

 近未来のお話である。遺伝子操作により、人は25才までしか生きられない。だが時間の売買が可能であり、一部のセレブたちは時間をたっぶり保有しているため、25才の容貌のまま何百年でも生き続けているのである。
 時間がお金の代わりという設定はなかなか面白い。ただ寿命が短い人種は、フィリップ・K・ディックの『未来医師』の中でも描かれている。ただしその小説に登場する種族は、15才までしか生きられない。映画のほうに登場する超セレブの男性の名が、フィリップというところがなかなか微妙である。

 この映画は近未来を描いているのだが、建物も車も現代そのままで、余りSFという感覚が沸かない。また25才の容貌にしては、おじさんぽい人も登場しているし、ちょっと安っぽい感がある。
 そしてスラム生まれの主人公が、セレブから時間を強奪する方法もいやに簡単過ぎるよね。どうも腑に落ちないことが多いのである。予告編では大作のような雰囲気があったが、どう見てもB級映画だな。

 それから奪った時間を、石川五衛門よろしく、貧民たちにバラまくのもどうだろうか。セレブのフィリップが言うように、百万年あっても、百万人にバラまけば、一人につきたった1年寿命が伸びるに過ぎない。良い悪いは別にして、単に秩序を乱して人々を混乱に導いているだけではないのか。
 まあ、『赤ずきん』で主役を演じたシルビア・ワイスが可愛いし、余り深く考えずにマンガだて思って気楽に観れば、それなりに楽しめるだろう。
 
評:蔵研人
 

時の添乗員4

作者:岡崎二郎

 一話完結型のショートストーリーなので、毎回登場するのは狂言回しを務める『時の添乗員』だけである。2000年から約1年間にわたりビッグコミック増刊号で掲載されている。その後コミックスとして発売されたのだが、「第1巻」の表記があるものの、なぜか第2巻以降は発売されていないのが残念である。

 内容はつぎの短編で構成されている。
第1話/あの日への旅立ち  初恋の人を訪ねて
第2話/消えた証拠       犯人の正体を捜して
第3話/交換日記      日記の隠し場所は
4話/藤子像       裸婦像の真実は
第5話/結婚指輪      消えた指輪を探して
第6話/恩人        本当の恩人とは
第7話/赤富士の赤     父親の優しさとは
第8話/時を旅する者    時の添乗員の正体は

 どのお話も『時の添乗員』が300万円で、「行ってみたい、戻ってみたい過去」に、タイムマシンで連れて行ってくれるという展開なのだが、その全てが心温まる優しさに溢れている。時の添乗員はどこで「雇い人」と遭遇したのか。そして彼にタイムマシンを与えた「雇い人」とはいったい何者なのか。謎が解かれないままで終わっているのは、良いのか悪いのか・・・。

 全般的に柔らかいタッチの絵が、ストーリーの優しさに共鳴していて、ほんわりとした雰囲気を醸し出している。ただ登場人物のどの顔も同じような絵柄なのは、ちょっぴり残念かもしれない。また今更絶対に無理な注文だと思うが、第2巻以降の発売を期待したいものである。

評:蔵研人

トライアングル4

製作:2009年 英国、豪州 上映時間:99分 監督:クリストファー・スミス
 
 ヨットクルーズを楽しんでいた男女六人のグループに、突然嵐が襲い掛かってヨットが転覆し女性1人が遭難してしまう。この絶望的な状況の中で、運良く豪華客船が通りかかり、彼等は助かったと安堵するのだが・・・。この豪華客船は誰も乗っていない幽霊船だったのである。そして彼等が広い船内をウロウロしていると、不気味な覆面を被った者によって次々に殺されて行くのだった。

 ここまでは良くありそうなホラー話なのだが、このあとからストーリーが急転回してゆく。つまり全員が死亡すると、また時間が戻ってヨットで漂流しているシーンからはじまるのである。これが何度も果てしなく続いてゆく。一体何のために、どうしてこんなことが起きるのか、観客の興味を嘲笑うかのように、またシーンが一転してオープニングでヒロインが息子を叱っているシーンにたどり着く。そして当然のようにラストは存在しない。

 まるでメビウスの輪のような展開である。これまでにもタイムループを描いた映画は、『恋はデジャブ』、『タイムアクセル』、『ターン』 、『リピーターズ』、『NEXT -ネクスト-』、『ミッション: 8ミニッツ』 など数多くあるが、本作のようにホラー仕立てのものははじめてである。

 やや理解しがたい部分もあるが、低予算映画としてはかなり完成度の高い作品だと感じた。また主演のメリッサ・ジョージの抜群のプロポーションと、情緒不安定ママという役割とのアンバランスさが、この作品にはぴったりと染み込んでいてとても良かった。
 本作をDVDで観るときは、余り予備知識がないほうが楽しめると思うので、ネタバレレビューは読まないこと。また一度観ただけでは良く分からないシーンもあるので、あとで二度三度とDVDを戻して確認するのもいいだろう。

評:蔵研人

タイムトラベル さまよえる少年兵4

少年兵
著者:内田 庶

 一也と未来は、児童館の「昭和」をふりかえる写真展で、年月の異なる何枚かの写真に、同じ青年の姿が写っているのを発見して不思議な気分になる。そしてなんと会場に、その青年が現れたのだった。はじめは合成写真ではないかと疑っていた二人だが、青年が行った「ある実証実験」を見て、彼がタイムトラベルをしていることを信じないわけにはいかなかった。

 青年の名前は西沢昭平といい、見知らぬ少女から貰った「時空大明神」のお守りによって、特攻機が墜落する寸前に、昭和天皇崩御の日にタイムスリップしたという。そしてその後にいろいろな時代にタイムトラベルをして、写真展の写真に写ったと言うのだ。
 そしてこれから、太平洋戦争の原因となった満州事変をくい止めるため、過去に戻って歴史を変えるつもりだという。それを聞いた一也と未来は、危険だからダメだという昭平を説得し、一緒に昭和6年6月26日の満州へ跳んで行くのだった。

 児童向けの小説なので、文字は大きいしページ数も少なく、分かり易い表現で記述されているため、凄く読み易くて嬉しかった。それで電車の行き帰りの一時間くらいで、あっという間に読破してしまった。

 太平洋戦争の原因について簡単に触れていることや、当時の天皇についての記述などは少年少女向けに優しく解説されていてなかなか良かった。ただどうして昭平が、はじめから空襲の東京へタイムスリップして母や弟を助けなかったのか疑問が残る。これはもしかすると、家族の安否という個人的な事情より、日本人全体に拘わる戦争そのものを重要視したからかもしれない。

 さて、それと未来の正体については、はじめからなんとなく判っていたが、彼女の役割が余りにもドライというか、マンガチックだったのはちょいと残念だった。もう少しパラドックスがらみで、ノスタルジックな展開を望んでいたのだが・・・。その辺りは児童書ということで割り引くしかないだろう。

評:蔵研人

リピーターズ3

製作:2010年 カナダ 上映時間:85分 監督:カール・ベッサイ

 毎日が何回も繰り返されるお話で、『恋はデジャブ』、『タイムアクセル12:01』と同じパターンである。だが本作は全体的に暗いイメージで、タイトルが複数形になっている通り、時間を繰り返すのが三人の男女になっているのだ。
 なぜ彼等三人が時間ループに巻き込まれてしまったのか。その原因として考えられるのは、三人とも問題を起こしていて、それを解決出来ない状況にあるということだろう。

 ただそれだけの理由では、ちょっと単純だし、物語の背景やストーリー展開にも深みが感じられない。また三人のうち一人だけが、急に殺人鬼に変貌してしまったのも納得出来ないよね。
 どうせ時間が繰り返して、翌朝になれば全てがチャラになるからと言っても、ただ無意味な殺人を繰り返す必然性がない。このあたりの描き方が安易過ぎて、なかなかストーリーにのめり込めなかった。大好きなテーマだけに、非常に残念である。

評:蔵研人

ニューヨークの恋人4

製作:2001年 米国 上映時間:118分 監督:ジェームズ・マンゴールド

 時間のひずみを通って、過去の世界から、現代にタイムスリップしてくる伯爵と、現代に生きるキャリアウーマンのラブコメディーであり、タイムトラベル映画の代表作のひとつである。
 主演はラブコメの女王ことメグ・ライアンと、超紳士的美男のヒュー・ジャックマンだ。製作当時メグは40才を過ぎていたようだが、可愛らしさから大人の美しさに変身したようでうっとりとさせられた。

 またヒュー・ジャックマンの清楚な美男ぶりにも、男ながらあこがれの気持を抱かされてしまった。
 とにかく私の大好きなタイムトラベルテーマであり、全員好感の持てるCast陣に満足したのだが、淡々とした展開で今一つ盛りあがりに欠けていたのが、唯一最大の欠点かもしれない。
 私の中では、いつまで経ってもアンディー・マグダウェルとビル・マーレの『恋はデジャヴ』を超えるラブコメが出現しないのがやや残念である。

評:蔵研人

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