製作:2009年 日本 上映時間:132分 監督:山崎貴 主演:草なぎ剛、新垣結衣

 『クレヨンしんちゃん嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦』を原案にした、実写版タイムスリップ時代劇である。アニメのほうはまだ観ていないが、とにかくタイムスリップものときては、見逃すわけにはゆかない。
 小学生の川上真一君が巨大クヌギの木の下でウトウトし、目覚めるとなんとそこは天正二年の戦国時代なのだ。そこは春日という小国であったが、草なぎ剛扮する無敵の待大将・井尻又兵衛という豪傑が、死力を尽して国を守っていた。

 そこに現われた奇妙な姿をした真一の姿に、一同はびっくり仰天。偶然敵の鉄砲弾から又兵衛を救うことになり、真一は又兵衛の屋敷に預けられることになる。
 そしてスクリーンは現代に、いつまで経っても帰宅しない真一を心配する彼の両親。だがクヌギの木の下から発見された古文書が、真一の手書きの手紙と知るや、彼がタイムスリップしたことを確信する。そして夫婦そろって四駆に乗って、クヌギの前から真一のいる戦国へタイムスリップしてゆくのだった。

 『戦国自衛隊』のように近代兵器を過去に持ち込んでいる訳ではないが、この四駆が終盤になって大活躍するのである。まあ、当時の人々が自動車を見たら、まずそれだけで恐怖感が湧きあがることだろう。予備知識が皆無なのだから、我々がUFOを見た以上に驚くはずである。
 クレヨンしんちゃんと、バカにしてはいけない。戦国時代はかなりシビアに描かれているのだ。ことに城攻めのシーンは迫力満点で、なんとなく中国映画を思わせる戦い方であったが、かなり実戦を意識した戦法なのであろうか…。

 荒唐無稽でバカバカしいと言ってしまえばそれまでだが、SF映画なんて大体そんなものである。そう割り切って観るしかないね。そうした柔軟な思考が出来ない人には、こうした映画は薦めない。
 タイムパラドックスについては、不十分ながらもそこそこに配慮されていたので、まあ僕的にはかなり楽しい映画だったといえるだろう。 

評:蔵研人