製作:2007年 米国 上映時間:96分 監督:メナン・ヤポ 主演:サンドラ・ブロック
 

 二人の娘と最愛の夫と共に、郊外の素適な家に暮すリンダ(サンドラ・ブロック)は、幸福の絶頂にあった。ところが出張中の夫(ジュリアン・マクマホン)が交通事故で急死し、いきなり不幸のドン底に叩き落されてしまう。
 突然の事態にパニック状態となり、疲労感でぐったりとなった彼女だが、不思議なことに翌朝目を覚ますと、死んだはずの夫がキッチンで朝食の支度をしていたのだ。夫は何もなかったかのように振舞っているし、子供たちも夫が生きていることに何の疑問も抱いていないのである・・・。

 あの事故は夢だったのかと思ったのも束の間で、翌朝目覚めると夫の葬式が待っていた。これは一体何事なのかと、彼女には事の成行きが信じられない。
 こうして目覚めるたびに夫が生きたり死んだりする。果して夢なのか誰かの仕組んだいたずらなのだろうか。結局のところ、一週間のうち毎日が順番に過ぎてゆかず、まるでカードをシャッフルしたように不規則に次の日が訪れるのだった。

 『恋はデ・ジャブ』や『タイムアクセル12:01』は、同じ毎日が繰り返され、『メメント』は過去から現在へと時間が繋がってゆくが、この作品では過去と現在がシャッフルされながら、時間は過去から現在へと流れてゆくのである。
 このように変則的に時間流を動かしてゆく作品は珍しく、なかなか楽しかったのだが、やはり前述した作品群の亜流に過ぎない。というのも、ストーリーそのものに深みがなく、主張したいテーマも感じられず、シャッフルというアイデアしか見えてこないからである。あえて言えば、「幸福も不幸も自分自身が生み出すもの」という教訓だろうか。

 またサンドラ・ブロックが適役だったかも疑問で、大味な彼女よりもメンタリティーな雰囲気を醸し出す女優は、他に大勢いると思うのだが・・・。さらにラストの展開は、余りにも正直過ぎるのではないか。もっとネットリとした恐怖感と、もうひと捻りが欲しかったな。大好きな時間テーマものだけに少し残念な気がするのである。

評:蔵研人