製作:2009年 米国 上映時間:114分 監督:マックG

 衝撃の『ターミネーター』が製作されたのが1984年。それ以降『ターミネーター2』、『ターミネーター3』と、いずれもアーノルド・シュワルツェネッガー主演であったが、いずれも第一作を超えることは出来なかった。
 本作ではシュワルツェネッガーは、主役ではなくCGでのチョイ役に過ぎない。また舞台もターミネーターが製造された2018年になっている。つまり過去の作品で断片的に描かれていた核戦争後の未来世界でのお話なのだ。

 当然主人公になるのは、人類の救世主となるジョン・コナー(クリスチャン・べイル)なのだが、時代背景は、コナーがまだ小隊のリーダーとして活躍している頃である。従って本作では、彼はまだ完全な主人公とは言えないし、余り魅力的な人物にも描かれていない。
 どちらかといえば、今回はサイボーグのマーカス・ライト(サム・ワーシントン)のほうにスポットライトが当たっていたようだ。そしてのちにジョンの父親となるはずの、カイル・リースとのからみがキーポイントとなる。

 シリーズものといっても、毎回味の異なる展開を繰り広げてきたターミネーターシリーズだが、とうとう未来編に突入し、これまでとは全く別作品のようなストーリーが始まった。
 本作ではバイクロボの「モトターミネーター」や、巨大ロボの「ハーヴェスター」、水中ロボの「ハイドロボット」など多数のマシンが登場しする。またアクション映画というよりは、戦争映画そのものといった趣きである。

 ターミネーターは、旧式のTー600型やシュワちゃんでお馴染みのTー800型が登場するが、『ターミネーター2』や『ターミネーター3』で登場した新型マシンはまだ製造されていない。
 今回はコナーがカリスマへの道を歩み始める迄を描いているだけなので、少なくともあと2作位の続編が製作されることは間違いないだろう。
 カイルが過去の世界へ行くこと、そしてターミネーター達がコナーの存在を抹殺しに過去へ跳ぶくだりで、過去の作品とどのようにリンクさせるのだろうか。そしてこの超大作をどのような形で収束させるのか。興味深々でゾクゾクする。続編が待ちどおしくて我慢できないぜ。

 その後シリーズ5作目として、『ターミネーター:新起動/ジェニシス』が2015年に公開された。ところが、年老いたシュワちゃんが再びターミネーターとして登場するという以外は余り見所がなく、前作までのスタンスとは全く異なる作品となってしまった。
 ただ2019年11月には、シリーズの生みの親であるジェームズ・キャメロンが製作に復帰し、新作『ターミネーター:ニュー・フェイト』が公開されるので、なんとか期待を繋ぎたいものである。

評:蔵研人