製作:2008年日本 上映時間:120分 監督:クァク・ジェヨン 主演:綾瀬はるか、小出恵介
未来からやって来たサイボーグとへタレ男のラブストーリー。大人版の『どらえもん』といったところだろうか。
だが決して馬鹿にしてはいけない。笑いあり、涙あり、ド派手なアクションとSFXあり、そして音楽も良い、まさに娯楽の殿堂、究極のエンタメ映画に仕上がっているのだ。
なんだ、なんだ!邦画でもここまで出来るじゃないか!と思わず唸ってしまった。また俳優もSFXも製作も日本人だが、監督だけが韓国人のクァク・ジェヨンという変り種の映画である。ということは、今まで優れたエンタメ邦画がなかったのは、全て監督のせいだという証明になるよね。
『ゴジラ』、『デビルマン』、『あずみ』、『鉄人28号』、『少林少女』の監督たちは、この映画を観て大いに勉強してくれ給え。
またこの映画の中で、主人公が故郷を訪れるシーンがあるが、これには思わず涙せずにはいられなかった。人は誰でも故郷があり、ノスタルジーを追い求める本能であろうか。
知らぬ間に涙が溢れ出して、僕の心は熱くて熱くて堪らなかった。おばあちゃん、お母さん、そして故郷の町と、少年時代の友だちの姿が、僕の脳裏に津波の如く押し寄せてくる。だから、この過去のシーンだけは、全く別の映画を観ている感があったね。
それにしてもサイボーグ役のはるかちゃんが可愛い!おじさんは、この映画を観るまで彼女の存在を知らなかった。女優というより、アイドル系という感もあるが、かなりアクションをこなせるようだね。
近々上映される『女座頭市』が楽しみになってきた。きっと彼女は、この映画を手始めにして、大ブレイクするに違いない。いずれ、今のところ第二部で頓挫している『あずみ』も演じて欲しいなあ…。と10年以上前につぶやいていたのだが、やはり彼女は大女優に成長してしまったよね。
最後にタイムトラべルにつきものの、タイムパラドックスについて一言。はじめのうち、第1回目のタイムトラべルの意味が全く判らなかったが、終盤で見事に2回目との因果関係を解き明かしている。このあたりでも、僕の瞳は濡れっ放しだったよな。
ところがラストシーンでの、3回目のタイムトラべルは、余計なお世話である。このあとの展開を、あえて描かないところは憎いが、もしハッピーなら未来への繋がりが消失する可能性が高いじゃないか!。そうすると現在の状況もなく、3回目のタイムトラべルもあり得ないことになる。
それなら、はじめから無意味なラストシーンは不要だということになる。もしこのラストがなければ、満点を付けるつもりだっただけに、とても残念である。しかしそれにしても、素晴らしい映画であることには、変りがない。ホント、実はこんな邦画を一度観たかったんだよね!
評:蔵研人